或阿呆のその後
或阿呆のその後










―――なーんて随分とあの頃は初心だったよなぁ。
などと、ヒカルは思わず思い出してしまっていた。


「あ、…ッ、ん」

体に掛かる心地良い重み。
揺さぶられる間隔が一気に早く忙しないものになり、ヒカルの頭もそれ以上の
まとまった思考を手放すしかなくなっていく。

「…ん、どぅ―――あ、」
「――――ッ、んんっ!」

ふるり、と伸ばした背を最後に大きく震わせて、アキラの体が一瞬動きを止めた。
同時に、体の中に注ぎ込まれる熱。
実際は、アキラは常に避妊具をつけてくれているのでそんな筈はないのだが、
行為の最後にいつもヒカルの感じるイメージは変わらない。

アキラに抱き締められる度に、熱を与えられているような。

「…ん」

喉元を少し反らして息を整えるアキラのその様は、どこか血統書つきの猫を連想させる。
そのままアキラは慎重にヒカルの上へと体を重ね、薄く汗をかいたヒカルの肌の
そこかしこを丁寧な手付きでなぞっていった。
それが少しくすぐったくて、ヒカルは小さな声を立てて笑いながら、触れてくる
アキラの手を柔らかな仕草で外させた。
まだ繋がっている互いの部分は少しばかり熱を残している。身動いた拍子に中の
アキラが外れそうになり、その感触でまたお互いに軽く溜め息みたいな吐息をついた。

「ゴメン。あまり良くなかった…?」
「え…?」

それなのに。いきなりアキラに謝罪されて、ヒカルは目を丸くした。
けれどもヒカルはすぐに言葉の意味を察し、ちゅっと音を立てアキラの瞼にキスを落とす。

「ううん。凄く気持ち良かった」
「でも…」

心持ち揺れた瞳を向けてくるアキラの目は生真面目そのものだ。
セックスは互いに快楽を与えるもの。そうでなければ意味がないと、
アキラが真剣に思っているのがよく判る。

「だけど進藤、キミ、まだ…」

ゆっくりとだが重ねた体がずらされ、熱を放出し終えたアキラはするりとヒカルの中から抜け出してしまった。
感触に、あ、とヒカルは小さく喉を震わせる。動きに合わせ、触れ合った互いの下半身で
まだ熱を持ったままのヒカルが揺れた。
アキラの手がそっとそれに添えられる。
ヒカルもそのアキラの手を拒まずに、うっとりとした顔つきで被さってくるアキラの顔を見上げていた。

「ん、平気。…違うよ。オレ、我慢してたから」
「?」

意味が判らない、とアキラの小首が傾げられた。

「オレもオマエん中、入りたい」

入れさせて塔矢。
耳元で囁くようにヒカルが言うと、アキラははんなり微笑んだ。



最後まで繋がれない自分達を切ないと思った事もあったけど。
結局、どうしても我慢が出来ず、ヒカルとアキラが互いに触れ合う行為はエスカレートしていった。

初めはキスで。
暫くしてから互いの素肌をまさぐる事も始めた。
そうして互いの手の中で熱を昂ぶらせる行為をも覚え―――それ以上はさすがに無理だろうと思っていた処に、
どこからか聞きつけたのか、アキラが男同士のセックスの方法を調べてきたのだった。
そうなると、もう歯止めなんてものは効かなくなる。2人はすぐにその知識を実践へと移した。

覚悟していた事だったが、最初はそれこそ痛みしかなく。
お互いに立場を入れ替えて試してもみたけれど、結果は同じで、2人共に泣きそうになった。

―――やっぱり男同士の恋愛って無理があるのかな?
どちらともなく呟いて。

しかし行為によってもたらされる痛みよりも、心だけでなく肉体までも繋がる事が出来ると云う充足感は
他の何よりも勝っており、2人は行為を止めようとはしなかった。



「…ぅ、ん」

体勢を入れ替え、今度は上になったヒカルがアキラの首筋を舌で辿る。
動脈の上の皮膚を掠め、鎖骨へと唇を下ろせば、アキラはゆっくりと喉を反らして
自身の感じている快楽をヒカルへと示してくる。
ぞく、とヒカルの背に熱いものが駆け下りた。
元々が熱を堪えている体だ。そう余裕がある訳ではない。

「塔矢。ゴメン、オレ、あんまり我慢できないかも」

少し切羽詰った声を出すと、アキラは薄く目を開けて、いいよすぐに入れてもと返してきた。

「でも…」
「大丈夫。この前したばかりだし、少し慣らしてくれれば平気だよ」

そう言って、アキラの手の平がするり、とヒカルの熱をなぞった。

「あっ、こら、止めろって。ヤバイんだってば」
「だったら早くおいで」

くすくすと笑うアキラ。

「もう、オマエってばさぁ…」
「なんだい?」
「…なんでもない」


痛みを堪えながら手探りで何度も何度も触れ合っているうちに、最近になってようやっと体の方も追いついて来た。
今では2人、繋がる事で感じる快感をきちんと拾う事ができる。


慌しく指とローションでアキラを慣らしヒカルが中へと入り込めば、熱く迎え入れてくれるそこに
目の前が真っ白にさえなってしまう。

「あ、すご、…いい、っ」

ヒカルの腕の中、肩で息をつくアキラの耳元でヒカルは素直な快感を告げた。
言葉に、アキラは自ら足を広げて更に深くヒカルを受け入れようとしてくれる。

「塔矢、は…?気持ち、いいの?痛くねェ?」

達したばかりのアキラの体はまだ少し硬い。ヒカルは慎重に動いて、
アキラが中で感じることのできる部分に体を押し付けるようにした。
上手くポイントを押さえる事ができたのか、ひく、とアキラの喉が鳴る。

ふふ、とそこでいきなりアキラが笑い出し、ヒカルは目を丸くした。

「な、なに?」
「いや…昔はボク達も随分と初心だったなぁと思い出してね」
「―――こんな時に考えるネタじゃねェだろ?」
「そう、かな…っあ、―――でも、キミ、だって、」

バレてたか。

「最中に他所事を考えれるようになるなんて、随分な進歩だよね」

抱き合ったままで笑い合い、それからは2人で、真剣に体を繋げる行為に没頭した。


―――でも、オレはあの頃よりもっとオマエの事が好き。
―――ボクもだよ。

そんな風に言いながら。
キスをしながら。
いつまでもいつまでも囁きあっていた。




*****




「或阿呆の恋愛」アキラと「ジャンクフード」ヒカアキ対談




「うわ、マジで塔矢だ。何かすげー。ちょっとオマエ等並んでみろよ。
 (並ばせる)おもしれー(げらげら)」

「笑ってる場合か進藤!
 同じボクがこんなに悩んでいるのに、少しは親身になってやれ!!」

「えー(ぶつぶつ)で、なんだっけ?ええと、オトコ同士のエッチのやり方、だっけ?」

「(大真面目顔してこっくり)こちらのボクから同性同士でも可能だと聞きまし
た!(身を乗り出し)ぜひ正しいセックスの方法を―――!!」

「わーーっ!!オマエ、真面目な顔してこんなトコ(喫茶店)で大声出すな!」

「うるさいのはキミだ(ぼかり)。
 …ええと、それでちょっと聞くけど、キミの処の進藤は?」

「まだそんな事が可能と云う事も知りません。
 もしここで下手に喜ばせて、実はデマだったと知ったら可哀想で」

「あー(ぽん!)
 なるほど、そりゃショックだよな。オレって結構、繊細なトコロあるから」

「自分で言うな(呆れ)」

「ええと、それで…あの…(ジャンクヒカアキの間で目線をウロウロ)」

「あ、ゴメン。それと、これって結構重要なんだけど―――」

「はい?」

「そっちってさ、どっちが受け?…って、怒るな塔矢!(注:自分トコの)
 これって、だって重要じゃん!別にオレは好奇心で聞いてるんじゃねェ!(逃げ腰)…で、どっち?」

「…普通の男女間でも、初めては痛いって言うので、最初はボクが女役で―――」

「えっ!?キミ、それでいいのかっ!?本当に痛いんだぞ!」

「オマエ、一番最初のこと覚えてないじゃん…(ぼそぼそ)」

「何か言ったか、進藤?(ぎろり)」

「なんでもありませーん(腰引け)」

「あの…」

「あ(存在を思い出す)、オトコ同士でもできるできる。問題は知識と経験値だよなぁ。
 知識は、オレらが教えるとしても―――」

「経験はどうしようもないからね。手探りでやっていくしかないんじゃないか?」

「まぁでもオレ達も適当に慣らしていったしさ。何とかなるんじゃない?」

「うん、そうなんだけどね…(自分が痛い目にあうのが気に入らないらしい)」

「…そちらのお2人は、その―――(もごもご)」

「ん?なにー?(目をくるりん)」

「(自分トコのを思い出して赤面)いえ、あの…どれくらい回数をこなされてるのかな、と。
すいません、失礼な事を」

「いや別に平気平気。
 (隣を振り返り)えーとオレら普段どれくらいヤってるっけ?」

「キミの忍耐が足りないから週ニ回くらいのペースじゃないか?
 まったく、盛りのついた犬猫みたいに圧し掛かってくるんだから(ぶつぶつ)」

「はぁ…(それって平均なんだろうか?)。じゃあそれくらいでこなせば何とかなるんですね」

「うーん、でもそれはやっぱ人それぞれじゃねェ?」

「参考程度に覚えておくくらいでいいと思うよ」

「はい、判りました(こっくり)」

「うわ、やっぱこっちの塔矢って可愛いー、素直ー。チクショウ、そっちのオレって良い目みてるよな」

「…何か言ったか、進藤?(でろでろでろ)」

「(びくぅ!)何でもありませんっ!」

「―――で、実践なんですが(急に目がキラキラ)」

「うん?」

「やはり百聞は一見に如かずだと思うので、一度実地を見せていただけませんか?
(あくまで真面目顔)」

「(真面目に頷き返し)そうだね、確かに口でどうこう言うよりも実地訓練が一番だとボクも思うよ。
 碁だっていくら理論を学んでも、実戦で打つ方が何十倍も為になるし」

「お、おい、オマエら…(何とはなくイヤな予感)」

「ボクにはボクの進藤が居ますので、体験はできかねますが、
何かお手伝いできる事があればやらせて頂きます」

「そうだね。じゃあちょっとコレ(隣を指差し)を適当な場所へ運ぶのを手伝ってもらえるかな?」

「あの…もしもーし、塔矢さーん?(冷や汗)」

「(振り返ってにっこり)ちょうど今度はボクの番だったよね。
 いつも適当に理由付けられて順番狂わされてるから、溜まったツケをここで返してもらおうか」

「あの…」

「有難うございます!それじゃあさっそく(がっしり)」

「そうだね、そろそろ出ようか(がっしり)」

「あの…」

「進藤、良かったな。ボク達の手慰みも決して無駄な遊びじゃなかったよ。何しろ『ボク』の役に立てるんだから」

「・・・・(たーすーけーてー)」




「―――っくしゅん!…あれ?オレ、風邪でもひいたか?んー、それにしても塔矢、
一体どこに行っちゃたんだよー。あー、明日はオフだって言ってたし、早くぎゅーってしたいーなー。
えへへー」(一人だけ平和)








LAND風見愁さんに頂きました! 
  50000打リク「或阿呆の恋愛」を注文してくださったんですが、乙女な彼等の後日談です。

  ってをいっっっ!!どこが乙女ーーー!!!
  人にあんなむずい注文しといて・・・と、つっこんでしまいましたが
  まあラブラブエロエロな二人を要求されてもそれはそれで困ったと思うし(笑)
  いやあ、相変わらずB面炸裂!
  エロいですなぁ、甘いですなぁ!
  個人的に「泣きそうになった二人」ラブくてラブくて堪りません!
  そして最早当たり前にリバ、と(笑)
  「入れさせて」とか言われてはんなり微笑んじゃうアキラさん、
  お互いに凄く大切にしあっていて、心が洗われるようです。
  「ジャンク」の二人に爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。

  最初、或阿呆の恋愛がピカ一人称だったのに三人称にしてしまったから
  忘れてくれとか言われましたが、んな勿体ない事しますかな!
  カザミン、今回も素敵エロ(笑)ありがとう!

  で、おまけなんですけど。
  板で「ジャンクの二人と会わせたい」という話が出たのですが
  私もそうですが彼女もそれに非常に萌えたらしく、書いて下さいました!
  おお、久しぶりにジャンクの二人だ。元気にやってて良かった良かったv

  てか、塔矢同士の会話が・・・(笑)
  二人ともやっぱり真面目なんだねぇv
  にしてもジャンクヒカアキの弟分みたいな乙女塔矢は可愛い・・・
  非常にイレギュラーな設定だと思うんですが、滅茶苦茶萌えます。
  ジャンクと乙女を対比させるなんて、なんて力技でなんて見事な発想なんでしょうか。
  イレギュラーと言えば「仔犬」もそうだもんな、カザミンはそういうの上手いよね!

  てことでナイスエロ&爆笑対談、ありがとうございました!
  ダブル塔矢にひっつかまったピカに合掌しつつ(笑)

  (あ、もう一人の自分がどうなってるか知りもせず「ぎゅーってしたい」とか言ってる
   乙女ピカもめごいv)
  

※追記・以下は、更にこのおまけ(笑)
  ジャンピカアキに指南される乙女アキラさん、という話から板で展開して下さった小ネタ♪





カザミン

ししゃもさんの「縛りの次は露出プレイ」に反応されて(笑)

「お、おおおオレっ絶対嫌だからな!人に見せるような趣味はねェ!!」
「いいじゃないか、別に他人でなし。だって『ボク』なんだよ『ボク』。ちょっと手の数が増えるくらい何だって言うんだ」
「(はっ!)もしかしてこちらの進藤とボクの進藤の性感帯って同じなんでしょうか?だとしたらその辺りの事も詳しく…」
「(あ)だったらオマエ(或アキラ)も、オレんトコの塔矢と同じかも!?ちょ、ちょっと触らせろ!」
「(バキ!)この変態っ!まだ清純な『ボク』に何をするっ!?」



あきなさん

初心なアキラに実践手ほどきの先輩アキラ

「ぎゃ!」
「…と、こうするとかーなーりー痛いから気をつけてね」
「ぎえ!」
「んでもって、こう云う体位もビデオなんかではよくあるけど、実際するとこちらもかなーなーりー危険だからね、やめたほうがいいよ」
「ぐお!」
「ってか時にこう云うのもよくあるけどねー、一体これ、どこから湧いて出たんだろうねぇ? こんなプレイでホントに感じるのかなあって感じだろ? あっはっは」
「ふんぎゃー!」
「って訳で、結論としてはね、AVはあんまり参考にしないほーがいい、と。映像的にいやらしく見えるように作ってあるからね、実際のえっちで試してみると、とんでもないものが多いんだよ♪」


「わーv ありがとうございます、とっても参考になりましたvv(にっこり)」



タマネギさん

よこにいるジャンクピカみながら「こんな雑草みたいに育っちゃいけない」。
ジャンクアキラ、初手から惑乱させて翻弄するんすよ〜。
乙女ピカさながら若紫。乱れたままにボーゼンと(<バカ)。
ジャンクピカがその有様みて

「うわ、おまえサイッテー。だいたいオレとこいつ素材
イッショだよ?ナニ めちゃめちゃ乗り気になってんの?」
「男ならキミもわかるだろう」
「う……そーだけど」







  ※みなさんありがとうございますv
  阿呆ヒカアキとジャンクヒカアキのコラボは、色々楽しめそうですね〜v
  また参考にさせていただいて書いちゃうかも☆ゲッヘッヘ。 



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