トライアングル・トライアル 3 三日目。 朝、起きたらもう社はいなかった。 眠い目を擦りながら這っていって、茶の間との境の襖を開ける。 その向こうは台所で、早寝早起きの塔矢は多分もう・・・ ・・・って? 冷蔵庫の前で、二人の影が重なっている。 背の高い社の足の間に塔矢の二本の足が見える。 塔矢の顔は見えないけど、社の腕を掴んでいる。 オレはそのままそうっと襖を閉めて自分の布団に戻った。 ・・・と・・・だよな。 あれって、社が塔矢に迫ってたんだよな? 何故だか、胸がどきどき、どきどき、動悸が早くって仕方がない。 あの塔矢相手によくやる、とも思うけど、確かに塔矢ってある意味美少年系というか 男に好かれそうな感じもするし。 男とは何人でもヤリたいって、言ってたもんな。 あ・・・もしかして、今回の仕事で塔矢ん家に滞在する事にしたのは、最初から 塔矢が目当て・・・? って、やめとけよー、あんなきついヤツ。絶対無理だって。 見た目より、ずっとおっかないぜ? それに、塔矢行洋先生の息子だし、怒らせたら不味いって。 と、思うのと、 もしかして、オレって社にとってはお邪魔虫だったのかな。 「ノンケを落とすのが楽しい年ごろ」って、オレなんて、雰囲気に飲まれやすくて 確かに簡単だったと思うし。 オレは塔矢の身代わり?練習台・・・? と何だか胸が苦しくなるのと同時で。 自分の動悸が耳障りだ。 どうしてこんなにどきどきしてんのか、自分で全く分からない。 社が好き、って訳では勿論ない。 あの塔矢にあんな事、社って勇気ありすぎってか向こう見ず?って思うと、他人事ながら・・・ ああそうか、それでオレ、こんなにどきどきしてんのか? 朝メシの時、社と塔矢はちょっと気まずそうだった。 社が普通に振る舞おうとしてるのに、塔矢が不機嫌を隠せない感じで。 でも、オレがあのシーン見てなかったら気が付かなかった程度の不自然さだと思う。 二人に気を使わせてるな、って思ったけど、勿論「見たぜ」なんて言えない。 白々しい空気の後社が一足先に仕事に行った時、オレはめちゃめちゃホッとした。 昼休みの対局室。 メシを食いに行こうと思ったオレを、塔矢が珍しく呼び止めた。 「キミ、今日も泊まりに来るか?」 無表情で訊く。 本当はもう、今日は泊まるつもりはなかった。 だって・・・、最初から一泊の予定だったし。 社に・・・邪魔だと思われてるかも知れないし。 と、思ってたけど、塔矢からすれば社と二人きりになるのは怖いのかも知れない、と今気づいた。 勿論、コイツの事だから絶対拒否するだろうし、社が力尽くで来てもさせる訳ない。 二人で気まず〜くても、間に碁盤さえあれば全く気にしないタイプだ。 でも、こうやってわざわざ訊いてくるって事は・・・? 「・・・うん。塔矢が、よければ。」 「ボクは構わない。」 そうして、望まれているのかどうかよく分からないままに、今日もまた泊まる事になった。 夕食は二人とも和やかだった。 塔矢も落ち着いたのか、気にしない事にしたんだろう。 でも、その後の塔矢と社の一局は、見ていてちょっと落ち着かなかった。 塔矢が、妙にしつこく社に絡んでるような感じがしたんだ。 気のせいかもしれない。 塔矢はいつだって丁寧に打つし。 でも、何だか、いつもはあっさり切り上げる所で・・・微妙にねちっこいというか。 対局時間伸ばそうとしてるとか幼稚っぽい勘ぐりする訳じゃないんだけど、 な〜んか・・・やらしいというか。 塔矢くん、ちょっと積極的すぎるんじゃない?みたいな・・・。 もしかして、社に、少しだけ心が動いたんだろうか。 と、思わずにいられなかった。 いや、いんだよ?別に。他人の嗜好はそれぞれだし、塔矢がホモになっちゃったとしても。 少し離れていたオレは碁盤から視界を広げて、テレビを見るように二人を眺める。 そして想像する。 このまま社の手が伸びて、塔矢を抱き寄せたら。 碁盤の横から近づいて、押し倒したら。 昨日オレと社としたような事を、コイツらがしたら。 ・・・どうしよう。嫌だ。 どうしてだか、物凄く嫌だった。 気持ち悪い(自分もしといて何だけどさ)ってだけじゃない。 何か何か、やだ。 いつも取り澄ました顔をした塔矢が、あんな事するなんて嫌だ。 オレを抱いて興奮していた社が、塔矢相手に同じ事をするなんて、嫌だ・・・。 その夜部屋に戻って、オレは自分から社にキスをした。 ファーストキス。 厚めの唇、生えかけたヒゲがざりざりとして、オレの人生でこんなキスをするなんて 全然予定になかったんだけどな。 舌が入ってきた時、ツバが混ざる!やだ!って一瞬思ったけど、どんどん舌を絡めて もう混ざりまくって、そんなツバ飲んじゃった時から、どうでも良くなって、 そしたら何か凄く気持ちよくなってきて。 口の中で、ねちゃねちゃ。ねちゃねちゃ。 唇を離したら、糸が引く。 「・・・どうしたんや?」 黙って唇を動かしてた社が、今更不審そうな顔をして尋ねる。 オレはちょっと無理して笑う。 「う・・・ん、おまえとすんの、気持ちいいし。」 だから、塔矢とはしないで。 なんて勿論言えず、服を脱いだ。 多分社より、オレの方が気持ちイイ。奉仕してもらい度が高いと思う。 社がゲイで、オレはそうじゃない以上、それは当たり前だと思ったけど 同じ事を塔矢にされるのは、物凄く嫌だった。 「転んだん?」 「何が?」 「男が、ようなったんかっちゅう話。」 「んなんじゃねーよ。」 違うん、だけど。 オレは自分から積極的に社に絡み、ねちっこく竿を舐めた。 飲めはしなかったけれど、口の中で社のを、受けた。 −続く− |
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