Spider man1








・・・進藤、ええ加減にしとけ。気ぃ失のうとるやんけ。


朦朧とした頭に、少しエコーのかかった社の声がぼんやりと響いた。
体が重い。
揺すられているようだが、もう感覚がない。


・・・大丈夫だよ、ホラ、勃ってんじゃん。


ぐい、と内臓が押し上げられる感覚がして、僕はまたゲッ、とえづき
横を向いた口からだらだらと胃液が流れた。


うっ・・・締め、すぎ・・・。


進藤のそんな声を聞きながらボクはいよいよ暗い淵へと落ち込んでいった。






次に意識が戻ったのは、顔にシャワーを掛けられた時。
上半身が持ち上げられて、温かいものを背中に感じる。


「大丈夫か?」


薄目を開けると、風呂場のオレンジがかった電灯で逆光になった
社の顔があった。
その素肌の肩で水の玉がきらりと光る。


「吐くもんがあったら吐いてまえ。」

「も・・・ない・・・。」

「さよか。」


それから口にシャワーのぬるま湯を入れられたが、飲まずにいると
口の中のべたべたを洗って流れ落ちていった。
どうやら僕は社の足の間に凭れているらしい。


「ち・・・。」

「あ?」

「血・・・出てないか・・・。」


社は「ああ、」と言うとそうっと僕を俯かせ、尻に指を這わせた。
シャワーを掛けながら肛門あたりをなぞり、少しだけ指先を入れて中でくるりと回したが
もう何の抵抗もなかった。
あまりにも長い間異物を入れられていたから、もう体の中というよりは外のような感覚だ。


「赤なっとるけど、血は出てへん。」

「そう・・・。」


社は少し躊躇うように言葉を溜めた後、


「こっちも、出せるもんは出してまえや。」


と言った。


「・・・もう、ないよ・・・。」


何度か中で出された進藤と社の精液が浣腸液代わりになったのか、
僕は初期にほぼ排泄を済ませていた。
社は息を吐いて、


「・・・ほな、アレだけでも出しとこか。」


そう言って、尻の中に二本ほど指を入れた。
奥まで突っ込んで掻き出すようにするのも、先程までと比べたら楽なものだが。


「・・・やめ・・・。」

「気持ち悪いやろ。」

「しん、どうは・・・。」

「コンビニへメシ買いに行った。」


メシ、と聞いただけでまた胃が収縮しそうになる。
内臓がきゅ、と締まり、思わず身じろぎした所で社の指が・・・当たった。


「う・・・。」

「ここ・・・ええんか?」


意図的に触られる度に、ひくひくと自分の股間が充血して勃ち上がっていくのが分かる。


「い・・・や・・・。」

「そういうたら自分、さっきから何回も勃っとるけど結局イッてへんやん。」

「あ・・っ」


イけるんやったらイッとき、と言って社は繰り返しそこを攻めた。
ずっと、好き勝手に僕の中で動いていた進藤や社に、時折かすめられては
痛みに殺されていた快感が、今は何の障害もなく膨れ上がる。


「ん・・・あ、あ・・・。」


さっきまで感覚もなく、脱力していた手足。
もう当分力が入らないのではないかと思っていたが、あっけなく突っ張り、
勝手に腰を持ち上げて社の指を追う。


「・・・そんな自分も、色っぽい。」


いやだ、見るな、こんな、僕を。
ヴィデオを見るように、冷たい目で。


「社・・・来て・・・。」

「・・・・・・。」

「キミが、欲しい。」


微妙にそうじゃないけれどそうじゃないけど。
キミの目を逸らす為になら何でもする。


「ね・・・。」


いやだ、自分だけが狂うなんて。
逆だ、
狂っているキミ達を冷たく見つめるのが僕の役割で特権のはずだ。


振り向いて首をべろりと舐める。

社は少し首を反らせた後、息を吐いて両手で顎を掴み、突き出した僕の舌を
ソフトクリームのように舐めて、そして口の中に含んだ。
僕は後ろに手を回し、十分に固くなった社自身を、導いた。






進藤がいた時とは違い、社は用心深く浅く突いて僕の体を気遣った。
進藤が居ないから、というよりはもう満腹だからなのかも知れない。


「あ・・・そこ・・・。」

「ここやな。」


腰骨を掴み、小刻みに揺らす。
その冷静な声音と、僕だけを追い上げる機械のような動きに舌打ちしたくなった。


「・・・ね、もっと、」

「あんまり動いたらおまえイかせる前にまたオレがイッてまう。」


やさしいね。
それが狙いなのに。


「いい、から。」

「ええんか?」

「・・・狂って。」

「凄い事言うな。」


もっと凄い事言ってあげようか。


「死ん、で・・・。」


社はニヤリと笑い、深く突き入れた。


「!・・・」

「死ぬんは、おまえや。」






・・・やしろー、まだ風呂か?


遠くで進藤の声がした。
ぺたぺたと足音も廊下を近づいてくる。
いつの間に玄関が開いたのだろう。


「ふっ・・・!」


社は応えようとしたらしいが、途中で諦めた。
本能のままに、獣のように腰を動かす。
その背中に手を回そうとしたらすべったので、腕を上に上げて首に絡ませる。


「あ・・・ああっ!」


高い声が出る。
元々そのつもりだったが、狙った以上に淫らな声になって頬に血が昇った。


ガラ・・・。


「社?」

「ちょ・・・待て・・・。」


振り向きもせず呻くように言って僕の背を抱き直し、ラストスパートを駆ける。

薄目を開けると進藤がビニールの買い物袋を足元に置き、腕組みをするのが見えた。


「社・・・社、来て・・・。」


陳腐なセリフ。


「ああ・・・、」


返事なのか喘ぎ声なのか分からないままに、突き入れられ、
散らばった快感を拾う。
社も無意識にか僕の反応のある所に合わせて来るので僕は身も世もなく身を捩り。



あッ・・・。



社の首を引き寄せたので、水に濡れた髪が頬に触れ、耳を塞ぐ。
足に力を入れ、引き攣らせる。
震える。
行き場のない快感を絞り出すように、足指の先まで一直線に力を込め、ひくひくと震える。


イッた印に。

僕が達した事が、進藤にもよく分かるように。




「死ぬ・・・。」




社に肉を貫かれて

進藤の冷たい視線に貫かれて


僕は、死ぬ。








−続く−






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