サイエンス・フィクション4
サイエンス・フィクション4








ある日棋院の帰り、最寄り駅で降りた時だった。


とっぽい男が乗った原付の後ろから女の子が降りている場面を見た。
あれ、原付って二ケツ駄目だったんじゃないっけ。

でも、いー女・・・。
胸がおっきくて、お洒落だ。

カツカツとサンダルを鳴らしながらオレとは逆に駅の方へ歩いていくのを
何となく横目で見ながら通り過ぎようとすると、


「進藤?」


前から声を掛けられた。
見るとさっきのねーちゃんが乗ってた原付に跨った男だ。
いかにもチャラチャラしてそうなソイツがゴーグルを上げると、


「加賀・・・。」


懐かしい、顔だった。






「今仕事帰りか?」

「うん。久しぶり。」

「ああ。おまえ、ちょっと痩せたな。」

「そうかな。どの位ぶり?」

「相変わらず先輩に対する口の聞き方知らねえ奴だ。」

「だからー。加賀は先輩じゃねえじゃん。筒井さんって元気?」


しばらくそんな立ち話をして。


「そうだ、ついでだから家に送ってやるよ。」

「原付で?」

「ああ。偶々メットもう一個あるし。」

「あっちゃまずいんじゃないの。」

「気にすんな。」


単純に楽出来るのが嬉しくて何気なく加賀の後ろに跨った。


「そうだ、オレ今家出てんの。アパートだから○町の方行って。」

「へいへい。しっかり掴まってろよ。」




・・・女の子も乗ってたし、そんなに怖いもんだとも思わなかったんだ。
でも結構スピード出すし、不安定だし。いっぺんバランス崩した時はマジ死んだと思った。


「悪りぃ。ちょっと重心が、」

「こえーー!気ぃつけてくれって!」


半分悲鳴みたいに言いながらオレは、
加賀の背中に思いっきりしがみついていた・・・。





ッドッドッドッドッドッ・・・クシ。


「ほい。お疲れ。」

「ああ・・・。サンキュ。」


アパートの前に到着して、よたつきながら降りたオレを加賀がじっと見る。
いや、マズイんじゃないかな〜とは思ってたんだよな。


「・・・何。」

「いや・・・。」


ヘルメットを外して、ニヤリと笑う。


「オレ、おまえは男だと思ってたぜ。」


・・・万事休す。
やっぱりな〜。胸、当たってたもんな〜。
・・・・・・。


「ええっと、さぁ・・・今日時間ある?」

「ああ?・・・まあ。」

「じゃ、ちょっと上がってってよ。」

「あ、ああ。」


貰い物の缶のお茶、まだあったっけ?
まあいいや。加賀だしな。なんちて。






「・・・ていう訳なんだ。」

「・・・んな事オレに信じろって?」

「でもオレが今女なのは事実だろ?」


オレはまた上半身脱ぎ体勢で加賀の前に胡座をかいている。


「いや、本当に胸があると思ってた訳じゃ。」

「でもあるじゃん。」

「まあなぁ。微かだが。ホントにシリコンじゃねえの?」

「何でオレがシリコンまで入れなきゃなんねーんだ。下も脱ごうか?」

「いや、いい。それで元々女だった訳でもねえんだな。」

「だって、小学校6年、中学3年、性別誤魔化すなんて絶対無理だろ?」

「そうか・・・。世の中には、不思議な事もあんだなぁ・・・。」

「ホントに。」

「緊迫感のねえ奴だな。」


加賀は、信じられないという顔をしながらも目の前の事実に唸るしかない。


コイツなら・・・今のオレとは接点がないし、ちょっと態度デカいけど口が軽いとは思わない。
オレがこんなだってのを、触れ回ったりしないだろう。
まあ言っても実際昔のオレと今のオレ、両方のハダカ知らなきゃ信じられないし。
それに。
この部屋に連れ込んだのには、下心もある・・・。


「で、これからどうするわけ?」

「取り敢えず知ってるのは今のとこ加賀と塔矢アキラだけなんだ。」

「塔矢って、あの塔矢?」

「そう。」

「嫌な名前思い出させるな。っつーか凄いラインナップだよな。」

「んでさー、オレ塔矢に断られたんだよね。」

「何を。」

「ヤッてくれってったら。」

「はぁ?!」


と、話を省略しすぎたか。


「つまりさー、急に女になった訳だから、いつ戻るか分かんないんだよな。
 それまでに是非!女として経験したいワケ!」

「え・・・やっぱアレ?」

「うん。アレ。」

「気持ち悪くねえ?」

「そうか?」

「オレだったら女油断させてコマしたいとは思うかも知れねえけど、男とはなぁ・・・。」

「はははっ!レズじゃん!まずノーマルでしょ。」

「う〜ん・・・。」

「じゃねえと絶対勿体ないっての!処女のまま戻ったら後悔するよ、絶対。」

「まあ、気持ちは分からんでもないな。」

「だろ?ドーテーのままこうなっちゃったのもかなりしまったと思ってんだ。」

「童貞・・・。」

「まあその話は置いて置いて!加賀さんにお願い。」

「オレかぁっ?!」


オレは有無を言わせずすくっと立ち上がり、ズボンとトランクス(もう生理終わってるし)を
一気に下ろして、全裸になった。





近づいても、加賀は塔矢みたいに逃げない。
ただ無表情でオレを見上げてる。
その目の前に横たわってパカッと足を開いたら、


「おまえなぁ・・・。」


眉間に皺を寄せて、頭をガシガシとかきむしった。


「んだよ。オレじゃイヤなのか?」

「あー、ちょっとな。」

「でも、やれば出来るだろ?」

「まあ、なあ。でも塔矢の気持ちも分かるぜ。
 もうちょい色気の欠片ぐれえあってもいいんじゃねえの?」

「欠片って何だよ。こんなに股開いてるのに。」


オレはグラビア写真なんかは、露出度が高ければ高いほど嬉しい。
全裸サイコー。
着物で襟元から胸の谷間が見えてるなんてえのに喜ぶのは、ジジイか変態の趣味だと思う。


「違うっての。そういうんじゃねえんだよな。」

「何だよ。何だかんだ言って彼女が怖いのか?」


加賀は舌打ちをした後かなり長いこと考え込んでいた。
考えてけどやがて・・・苦笑して、服を脱ぎ始めた。





裸になって覆い被さって来た身体に、少し触れると何だか懐かしい感触。
オレはどこもかしこも肉柔らかくなっちゃったしな。

男の裸だけど不思議と気持ち悪いとは思わなかった。
オレって元々ホモの素質あったのか?

ごつごつした手に胸を揉まれて、物凄い気持ちいいかと思ったけどそうでもない。
勿論自分でも一番に揉んでみたんだけどな。
意外とどうでもいい感触っていうか、オレが不感症なの?それとも胸小さいから?

でも加賀の舌が、あるかなしか乳房に触れ、舐め上げて乳首を舌先でれろれろした時。


「あんっ!」


幻のオレが、ピクリと勃ちあがる。
血が、集まる。


「加賀、いいよ、そんなの、すぐに、入れて、くれたら、」

「気持ちヨくなりてえんだろ?」

「うん、だけど、どうせ最初は痛いんだろ?」

「だろうな。」

「じゃあ、いいよ、今回は、処女・・・、」

「少しでも痛くねえように、してやるよ。」


あちらこちらに触られて、胸や臍を舐められると・・・オレ・・・。
だんだん・・・自分でも・・・。
気が付いたら、他人の声のようなオレの声が、繰り返している。


「・・・触って・・・。」

「触って・・・。」


オレのに触って。こすって。握って。・・・・・・入れさせて。
頭が朦朧と。

思わず自分で手を伸ばした。

が・・・その場所には、スカッとした空間しかなかった。
涙が出そうになった。


ない。

ない。

オレの。


じゃあ、一体何処から来てんだよ?この快感!


・・・それは疑問というよりも、絶望。
どこから来てるにしろ、あの可愛い、オレの息子じゃないことは、確かなんだから。

でも加賀は答えるように、オレの足の間にするりと指をめりこませた。
変なとこ触るなぁ。別に痛くないからいいけどね。

・・・?


「あ・・・・・・。」


・・・急に、急に、前立腺を、直接触られているような、
ヘンなとこが、気持ちイ・・・

そんなに優しく触らないで、もっと、
いややっぱりやめて、



それからしばらくして、冷たい指が・・・まさかと思ったけど、身体の中に、入って来た。
ナイフを差し込まれたように身体が硬直し、加賀の肩を強く掴んでしまう。


「痛いか?」


痛・・・くもない。落ち着いてみると。


「・・・そうでも、ない。でも気持ち悪い・・・。」

「そうだな。きつい。」

「当たり前じゃん・・・。」


それから加賀は、自分のリュックを開けて、ゴソゴソしていた。
オレは横たわって天井の木目を見ながら、なんか萎えたような、
でも腰が疼くような、へんな感覚を持て余していた。


「ホントにいいのか?」

「何が。」

「オレで。」

「何言ってんだよ。いいも何も他に頼める奴いねえよ。」

「塔矢じゃなくて、いいのか?」

「はあ?だからアイツには断られたんだって。」

「それが・・・、」


加賀は何か言いかけて、小さく息を吐いて「知らねえぞ」と呟いた。





多分、上手かったと思う。

初めてじゃないな、とも思ったし、足を持ち上げられて押しつけられて「いいか。」と言われたとき、
はっきり欲しい、と思った。

今まで感じたことのない欲求。
快感の源が、身体の内側に入り込んだ、実感。

それでも・・・痛かった・・・。
実際入れられると、僅かな快感なんて粉みじんに吹っ飛んだ。
オレはただただシーツを強く掴んで、歯を食いしばって、耐えていた。
自分から頼んだことだから、やめてくれだなんて絶対言いたくなかった。







「・・・あー。進藤とヤッちまうとはな。」


加賀が、煙草を吹かしながらぼやく。
オレは、股を閉じることも出来ず、ジンジンした痛みに耐えていた。


「おい、大丈夫か?」

「痛い。大丈夫じゃないよ・・・これって何回ぐらいで気持ちよくなるの?」

「さあ。」

「これが続いたらちょっと辛いな。」

「まあ今日が多分マックスだろう。」

「次はもうちょい柔らかい時に入れてくんない?」

「んなの調節出来る筈ないだろ!って次もあるのかよ!」

「頼むよ〜。このままで終わったらなんか損した気分。」


実際、今戻っちゃったらオレには痛かったという記憶しか残らない。
そんなんでこの先女の人と正常に出来るかどうか、不安だ。


「大丈夫!ここなら誰にも見つからないで出来るよ。」


加賀は答えずにぷか〜、と煙を吐き、


「知らねえぞ。」


また言って空き缶の中に吸い殻を捨てた。
中で消え損ねたのか、しばらく缶の飲み口から細い煙が上がっていた。






−続く−






※そういや加賀好きー。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送