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サイエンス・フィクション2 「塔矢・・・。」 「ああ、布団は客間に出しておいただろう?」 「うん、サンキュ。でもその前にちょっと話したい事があってさぁ。」 塔矢の部屋で、既に敷いてある布団に座り込む。 「オレの身体の事なんだけど。」 枕にカバーを付けていたパジャマの手が、止まる。 目を閉じて、大きく溜息を吐く。 「そう、だったな。あれ以来何も言って来ないからもう戻ったか、 あれはやっぱり夢だったのかとか思ってた。」 「夢じゃねえし、戻ってねえ。」 「それは・・・ご愁傷様というか。」 「ふざけてる?」 「ふざけてない。」 それから、オレの胸元に目をやって、痛ましそうに眉を寄せた。 「あれからボクも少しは考えたんだ。」 「何を?」 「直らないならやはり医者に行くべきだと思う。」 「だめだよ、そんなの。」 「何故だ。ボクらだけではどうしようもないだろう。餅は餅屋だよ。」 塔矢が、少しは心配してくれてたってのと「ボクら」って、自分の事みたいに 考えてくれてたのが、嬉しかった。 何だかんだ言って、コイツ結構いい奴だからさ。 「医者だって、こんなの分かんねえって。」 「でも他にどうしようもないじゃないか。」 「それに、オレが女だって棋院にバレて見ろよ。プロ資格剥奪とまでは行かなくても、 少なくとも女流プロって事になるだろ?」 「あ・・・。」 「そうなったら、おまえと公式戦で戦う機会なんてねえぞ。 それでもいいの?」 「それは・・・困る。」 だろ?と言って、オレは塔矢の手を取って引き寄せ、自分の胸に押し当てた。 塔矢は特に感慨もなさそうに胸に当たった自分の手を見て 「幸いにもキミは胸が小さいタイプみたいだから、今すぐバレるということはないみたいだな。」 「うるせーよ。」 「ご両親には言ったのか?」 「言ってない。家ではほとんど部屋に閉じこもって、食事の時とかも顔合わせないように 気を付けてるんだ。」 「それは・・・親御さんは寂しいだろうな。」 呟くように言って塔矢は、無意識のように胸に当たった手を動かし、 「あ。ゴメン」と言って離そうとした。 そうはさせない。ぐっと手に力を込めて、掴んだ手首を更に胸に押しつける。 「・・・何するんだ。」 「ちょっとはコーフンしろよ。」 「何故そんな事言われなければならない。」 「オレさ、何とな〜くだけど、いつかは戻れるような気がするんだ。」 「根拠はないんだろう?」 「まあな。でも、それまでは色々と楽しもうと思ってさぁ。」 オレはそこで塔矢の手を解放して、ジャージを脱ぎ、Tシャツを捲り上げる。 「自分の身体、色々と調べてみたんだ。」 「キミは・・・。」 「だって、興味あるじゃん?」 「じゃん、と言われても。」 「だから、おまえにもお裾分け。」 トランクスと一緒にズボンを下ろした。 「止めろ!ボクは見たくない。」 「またまたぁ。無理すんなよ。男で興味ねえ奴なんていないだろ?」 顔を逸らしたのの前に素っ裸で移動すると、赤くなって目を閉じた。 結構・・・可愛いとこもあんじゃん。 「いいじゃん。減らねえから見ろよ。」 「結構だ!キミの裸なんて・・・それに、キミも女の子だったら、ちょっとは自分の身体を大事に、」 何かもう、結構ボロボロというか、狼狽えまくってる塔矢。 わはははっ!貴重なもん見たなぁ。 目を閉じているのを良いことに、そうっと近づいて不意打ちで頭を抱えて 頬に乳を押しつけると、カッと目を見開いて、凄い勢いで立ち上がった。 「何す・・・!」 オレは勢いでひっくり返されて、裸のまま大股を開いてしまった。 塔矢の目は大きく見開かれたまま・・・もう、隠しもせずに足の間に釘付けで・・・。 「・・・いいぜ。ゆっくり見ろよ。」 膝の裏を自分で抱えて、塔矢に見えやすいようにソコを曝す。 塔矢はさっきの勢いから一転して、無言でゆっくりと、膝をついた。 「うわっ!触っていいって言ってねえだろう!」 「あ、ごめん・・・つい。」 不意に塔矢の指を感じて、オレは慌てて足を閉じた。 「いや、驚いたよ。もう少し・・・その・・・植物的なものを想像していたから。」 「んだよ。股間にバラの花でも咲いてると思った?」 「そこまでは思わないけれど、もうちょっとその、綺麗というか。」 「うん。オレももっとシンプルかと思ってた。ケツの穴がもう一個あるような。」 「さすがにそれは違うと思うが。」 塔矢とオレは、腕組みをしてしみじみとしてしまった。 ああだけど、当初の目的はそうじゃなくて。 「で・・・さ?」 「何だ。」 「その・・・身体はこんなんなっちゃっても性欲はあるわけよ。」 「性・・・。」 それくらいで顔を赤らめる奴が、さっきいきなりオレの。 「そう。『穴があったらツッコみてえ。』」 「げ、下品な事を言うな!それにそれ、無理じゃないか。」 「そうなんだ。でも頭の中では、まだあるんだ。それが虚しい。」 「仕方ないね。実際にはなくなってしまったんだから。」 「それでだな、折角女になったんだから、戻る前に、」 「ちょっと待て。それはやめた方がいい。」 オレが全部言う前に、制止する塔矢。 読み早すぎ。 「何でえ?」 「男性経験がしてみたいと言うんだろう?でも、自分の身体はもっと大切にするべきだ。」 「大切にしたいからおまえに頼むんじゃん。」 「・・・やっぱりボクか・・・。」 「だっておまえがしてくれなかったら、行きずりの知らない奴に頼む事になるけど? それはさすがにオレも怖いからさぁ。」 「当たり前だ。変な病気を伝染されて早死とか、妊娠しておめでた引退とかやめてくれよ。」 「だから、」 「ちょっと待ってくれ。」 塔矢は拳を額に当てて、考え込んだ。 やがて。 「・・・こうしよう。もしこのままキミが戻らなかったら、ボクが偽装結婚してやってもいい。 だが、喩え偽装でもボクの妻は処女が望ましい。だから、キミも処女を守ってくれ。」 「バカじゃねーのかてめえはよお!」 「何だと?」 「おまえと結婚してオレが女だって世間にバラしたら意味ねえっての! それともおまえが『ボクは実は女でした』って言ってくれるのかよ!」 「ああ・・・そうか。」 もう塔矢目が虚ろ。 疲れてるってか、限界を超えちゃったんだろうか。 「まあ・・・とにかく、風邪をひかないように服を着て。客間に戻ってくれ。 くれぐれも早まった事しないようにな。」 そう言って、オレの背中を押して自分の部屋から追い出した。 −続く− ※『ジャンク・フード』・・・っすか。 |
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