なつやすみ7
なつやすみ7








進藤は落ち着いてくると、自分のシャツで鼻をかんだ。


「あ。ダメじゃないか。汚い・・・。」


えへへーと、まだ涙の跡が残った顔で笑い、いきなりTシャツを脱ぎはじめる。
この期に及んでボクは、記憶を失ってから進藤の上半身の裸を見たことがない事に気付き、
狼狽えた。

薄い腹、尖った肋の上に筋肉が付き始めた胸が、脇の窪みに色の薄い脇毛が、

その横に顎が現れ、目を閉じて額を剥き出した顔が現れ、スポっと首を抜いて
脱ぎ終わった進藤が軽く頭を振って髪の乱れを直した。

そんな仕草が、昔通りだなんて。

進藤の体の記憶も、それを覚えているボクの記憶も、なんて残酷だ。


「塔矢・・・こわい顔。」

「・・・あ、ごめん。」


ボクはまだ、進藤のキレた二の腕の筋肉を見ていた。
少し驚いたのだ。
いや、いくら頭の中が6歳だと言っても、服の下までぷよぷよした6歳の体だと?
そんなわけない。
分かっていたことじゃないか。

暑い。
今まで泣いていたせいだ。きっと。


「塔矢もぬいで。」


進藤がボクの首に手を掛ける。


「おかあさんにせんたくしてもらう。」


ボクのシャツの肩は、進藤の涙でぐしょぐしょだ。






裸のままでボクのシャツのボタンを外していく進藤。
進藤とは思えないほど無器用で、要領が悪くて、いつもならイライラして
「自分でやるよ」と言ってしまいそうだが、ボクは彼のなすがままだった。

全部脱がせ終わった進藤は、首を傾げてボクの上半身を見た後、


「塔矢、しろい。」


と言って肩や胸を撫でる。

そんな事をしたら、ボクは・・・。



立ち上がってズボンを脱ぎ始めたボクを、ぼーっと見ていた進藤だったが、
ボクが素裸になると笑い始めた。


「塔矢、おしりおしり〜!」


どうして子どもというのはこんなに、尻だの、何だのが好きなんだろう。


「キミも・・・。」


ボクが覆い被さると、進藤は「いやん」と言って押し返したが、本気ではないようだった。
むしろ、素肌の接触を楽しんでいるようだった。

だが・・・、ボクが彼のパンツに手を掛けた時、押し返す腕に力がこもった。


「塔矢、いやだよ。」

「嫌じゃないだろう?」

「いや。いや。」


それでもボクは進藤を裸にして、彼の物を愛撫した。
逃げようとするものだから、押さえつけた。
いつものような接触を最小限にした「作業」ではなく、抱きしめ、首に、胸に、舌を這わせ、


暴れていた進藤の体から、徐々に力が抜けていく。

いやだ、やめろ、と喚いていた口から、甘い喘ぎが漏れ始める。


ボクが自分を押しつけた時、もう一度抵抗したのを最後に、
進藤は溺れた。






一緒に握りこんで動いていると、二人の肌が湿って来る。
ボクにとっては、随分久しぶりの感覚。
そして、進藤にとっては・・・始めての。


「すごく、すごくきもちいい・・・。」


目を閉じて、ひっきりなしに快感を訴えてくる。
進藤らしくないようにも思うけれど、進藤らしいような気もする。
前は・・・どうだったかな。

なんて思っている内にボクの脳もとろけてきて・・・。




「・・・・・・ま。」









「・・・かみ、さま・・・。」


「・・・・・・。」




・・・背筋が凍った。

熱くなっていた頭が一気に冷える。






「とうや・・・?」


ボクは、何を。
一体何を。


固まったボクを不審そうに見上げていた進藤が、焦れたように自分で動き始める。
それでもボクは動けなくて、


進藤は熱を逃すのを恐れて、体位を入れ替え、ボクの真似をして動き始めた。


再び体は熱くなってきたけれど、頭の中は凍ったまま何も考えられず。
見上げた進藤の、顎の先から汗がぽとりと落ちる。
その顔はほとんど無表情だったけれど口の端だけが僅かに吊り上がっていて
それは、大人びた表情に見えた。

ボクの真似でもなく。
以前の16歳の進藤でもなく。

成長し始めている。
成長し始めている。

未曾有の16歳の肉体を持った幼児が。


何かに流されそうなボクは、「彼」に、抱きつき、縋った。








結局ボクは初めて彼の前で射精してしまい、その後進藤もイった。


「塔矢、塔矢もだしたりするんだ。」

「・・・・・・。」

「すごく、きもちよかった、よね?」


ボクは、何を。
ボクは、6歳児とセックスを、してしまった・・・。
彼は、嫌がっていたのに。
無邪気な彼の裸に勝手に欲情して、無理矢理獣欲を引きずり出して。


「塔矢。」


今までのように彼の為にでなく。
彼の性欲を満たす為でなく、自分の欲を満たすために。


「塔矢。泣かないで。」

「え・・・・?・・・・泣いて、ないよ?」

「だいじょうぶだよ。」

「・・・・・・。」

「オレたちが泣いたからね、ピーちゃんはきっと天国にいけるよ。」

「・・・・・・。」





・・・そうだね。
ボクはともかく、キミがあれだけ泣いたんだから天国に行かなきゃ嘘だ。


この世の、天使。


16歳の進藤はどうだっただろう?





「あのね、オレがね、泣いたの、だれにもないしょな。」

「・・・進藤。」

「ん?」

「ボクを・・・許してくれるか?」

「なんで?」

「ボクはキミに・・・許して欲しい。」

「え、何を?」

「『許す』と、一言言ってくれたら・・・。」

「わかんない。」

「・・・そうだね。ごめん。」




「でも、ゆるすよ。」







ボクは、本当に涙をこぼした。
進藤は困ったように、ただ黙っていた。









−了−



※エロらしくないエロ。

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