ジャンクフード6
ジャンクフード6









その日は進藤の部屋に向かう足が重かった。

逃げるつもりはない。
彼はボクに快楽を提供してくれたのだし、それに報いない事は潔しとしない。

だが。




チャイムを鳴らすと、待ちかねたようにドアを開けたのは上半身裸の進藤。


「よお。」


朝教室で出会ったような、明るくて無造作な挨拶だ。
でもその顔の下の裸の胸を見ると却って痛い。


「入れよ。」


背を向ける、褐色の肩。
何で今日に限ってそんな男みたいな肩胛骨なんだ。




部屋に入ると、見慣れたベッドが目に入って妙に落ち着かない。
枕元にゴムだのローションだのティッシュだの一式きれいに並べてあるのがまた
神経に障った。


「・・・・・・シャワー浴びて来るよ。」

「ああ。よおーく洗って来いよ。」

「うるさい。」


狭い脱衣所でシャツのボタンに手を掛けるが、どうしたことか上手く外れない。
進藤も。
前回進藤はボクが来たとき既に全裸で石鹸の匂いがしていたが、
彼もこんな風に服が脱ぎにくかったのだろうか。




大きなバスタオルを羽織ってどんな顔をして部屋に戻れば、と眉間にしわを寄せながら
戻ると、トランクスの進藤がベッドに腰掛けて待っていた。
大股を開いて


「いらっしゃい、いらっしゃい、」


脳天気に両手で手招きする。
溜息を一つついて歩み寄り、足の間に膝を突くとバスタオルごと抱きしめられた。


「あー、オレ、凄くドキドキしてる。」

「ボクも多分別の意味でドキドキしてるよ。」

「うん。」

「こう、初めて男に抱かれる女の子ってこんな気持ちなんだろうか。」

「初めてじゃないくせに。」

「正気の時は初めてだ。」

「そうだな・・・。ああ。遅いと思ったら髪洗ってたんだ・・・いー匂い。」


ボクの湿った髪に鼻を埋める。
染髪なんて時間稼ぎと取られても仕方のない行動だと思っていたが、彼に怒った様子はなかった。
それが逆に余裕を見せつけられているようで少し腹立たしい。
更に進藤は


「先に何か食う?」

「どうして。」

「いや終わった後食えないかも知れないし、今日はハンバーガー買って来たんだ。」

「ハンバーガー・・・。」

「ああ。オマエ一度食ってみたいって言ってたろ?」


そんな気遣いが、心憎い。
ボクのカラダの代償がハンバーガーか?
いや、前回させてもらったんだから、全然そんなこともないだろうが。
ひねくれた自分が嫌になる。
でも、物なんか食べて押し出されたら困るだろうに。


「・・・いや、いいよ。」

「そう。んじゃ早速。」


無造作にバスタオルをするりと肩から下ろした。
ボクは何も考えないように自制しながらベッドに横たわる。


「なあ、こないだの『インラン教師丸かじり』みたいにしていい?」

「頼むから最初くらい普通にしてくれ。」

「普通ってってもなぁ・・・。」


進藤は困ったように少し上を見た後ボクの上に屈み、
やはりキスをしてきた。
胸を撫で回されても何もなくて悪いけど。


「入れるね。」

「え!」

「指。」

「ああ・・・・・・。」


そういえば少しづつ広げないと痛いとか言っていたな。
ボクとしたことが手順をすっかり忘れていた。
やはりどこか平常心でないと見える。


ぬるりとした進藤の指が、肛門に触れた。
気色が悪くて少し鳥肌が立ったが・・・・・・。
純粋な感覚としては、特に悪くないかも。

進藤の指だと思うから気持ちが悪いんだ。何も考えなければそれはそれで・・・。

指はすぐに入ってこないで、周辺のあたりをぬるぬると撫で回している。
ボクはいきなり入れてしまったが、あれはもしかして申し訳なかっただろうか。

と。
撫で回す延長のように、抵抗もなくするりと指が。
体は抵抗なくても・・・ってボクはそんなに入れなかったぞ!


「ああ・・・オマエん中、やーらかい・・・キモチいい・・・。」


言葉でも嬲るとは何事だ!
なんだか無性に腹が立った。

指は、くるくると向きを変えて中を動き回っている。
それは執拗に。


「おい・・・?」


長すぎる、し、ボクはそんなに中で動かさなかったし、それにさっきから・・・?
指一本くらいでは、痛くないと予想してはいたけれど、痛くない以上に。
自分の意志と関係なく足が震える。

また冷たいローションの感触がして、やっと指が増えた。

そしてまた中でばらばらと。
何かさっきから時折かすめる感覚に、冷や汗が滲む。


「はぁ・・・・・・。」


それは眉を寄せて熱い吐息を漏らす進藤の顔を見ているからか。
進藤とこうなった最初のきっかけは、ボクがどうも色っぽい顔をしたかららしいが
その気持ちも今となってはよく分かるというか十二分に利用させて貰っている。
けれど。

でもそれとはやはり関係なく、リアルに体の中から押し寄せる快感がある。
また足が震えた。
と。


「・・・ねえ塔矢、もうさせて。多分大丈夫だと思う。」


押し殺した、かなり切羽詰まった進藤の声。
もうすこし焦らせば入れずに爆発してしまうんじゃないか、などと一瞬考えて、
そんな姑息な自分を心の中でたしなめる。


「いいよ。」


でも、実際進藤の先を当てられると、その温度に、指と違った太さに、
ダメだダメだやっぱりダメだ、と思った。


「え、えとあの、前から?」

「うん。オレセイジョーイが好きなの。・・・力抜いてね。」


「女性上位」という言葉が浮かんで消え、次に「ジョーイ」という謎の固有名詞が浮かんで消え、
やっとああ前からすることか、と思い出したが漢字は思い浮かばなかった。
ええとだからどうすれば、と頭が混乱する内に、一気に押し入って来る。


「・・・・・・!!!」

「痛いと!思うけど、じっとしてたら割とすぐに、慣れて、来るから。」

「入った、のか。」

「うん。でも取りあえず先っちょだけ。」


痛かった。それはそれは痛かった。
でも、進藤も耐えた痛みだし、記憶がないとは言えかつて自分も耐えた痛みだ。

進藤の荒い息。
少しづつ慣れてきて目を開けると、ボクの上で泣きそうな顔をしていた。


「だめ・・・このままイッちゃいそう。」

「イけば。」

「い・や。」


先にボクにカラダを差し出した潔ぎのよさと言い、さっきの指遣いの長さと言い、
もしかして進藤の方がボクよりも我慢強いんじゃないかという嫌な考えが
ちらりとよぎる。


「オマエ、慣れてきたんじゃねえの?」


そういえば、もう痛みは、ない。


「そうだな・・・・・・して、いいよ。」


などと付け加えたのは前回の進藤に対する礼なのか、それとも意地か。

すぐに進藤は腰を押しつけてきた。
思った以上に内臓を圧迫され、一瞬吐き気に似たものが訪れる。
そんなボクに斟酌なく、その圧力は激しく動き始めた。

痛みは、まだ少しはあるけれど、恐れていたほどでもない。
それよりも有り得べからざる質量の出入りに、気分が悪くなる。
気分が悪くて・・・でも・・・・・・何か、


「・・・・あっ・・・・・・・!」


三こすり半とは言わないが、手でしている時とは比べモノにならないほどの早さで、
進藤は達した。







「・・・・・・進藤。」

「何?」


そそくさとティッシュを連続して引っぱり出す進藤に、これだけは聞いておきたい。
聞いても彼が答えを知っているとは限らないが。


「何故ボクは勃起しているんだろう。」

「そりゃ・・・オレの腹で擦れたからじゃねーの。」


なるほど。
と納得しかけたが。
進藤は目を合わせずにボクの股間に顔を寄せ、ぱくりとくわえた。

・・・彼にしてはサーピスが良すぎないか?

心に不審の雲が沸き上がって来る。
快感に持って行かれそうな頭で一生懸命考える。


前回ボクが終わった後、進藤は萎えていた。
それに相当痛がっていた覚えがある。

今回ボクは・・・気持ち悪かったが・・・自分でも驚いたが少し気持ちが良かった。
それに、進藤に比べて痛みが少なかったように思う。


彼のケースとボクのケースの違いはなんだろう・・・?

双方共に事前に覚悟は、していた。
直前にシャワーを浴びたのも同じだ。
だが・・・進藤が言ったように体位が違う。
そして指の入れ方、本数、深さ。

ああ、あとボクは二回目ということもあるな。


進藤が強く吸う。

もしかしたら先天的な個体差かも知れない。
だが結論を出すのはもう一度進藤を抱いてからだ。



考えが落ち着くと、ボクは目を閉じて快楽に身をゆだねた。










−了−







※やっとヒカアキサイトらしくなってきた。



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