ジャンクフード5
ジャンクフード5










ある日進藤に呼び出されて彼のアパートに行くと、
既に体を清めて、全裸で正座して待っていた。





「どうしたんだ今日は。」

「オレ、決心した。」

「何を?」

「オマエ、オレに入れていいよ。」


入れていい・・・って。

入れて欲しい訳じゃないだろう。
ということは、これは。


「それは・・・ボクにもさせろってこと?」

「当たり前じゃん!誰がタダでさせるかよ!」


だろうね。
しかしそれは・・・。


「うーん。考えるな。」

「だよな。まあいいよ。ゆっくり考えろよ。」


進藤はどこかホッとしたように、ベッドにうつぶせに寝転がった。

ジャケットを脱ぎ、ネクタイを弛めながらベッドに腰掛ける。
片足を曲げて、意識しているのかしていないのかしどけない恰好の進藤。

考えながら滑らかな肩に手を置いてみると、ビクッと震えた。
構わずそのまま背中をなぞり引き締まった尻を撫でてみる。

・・・堪らない・・。魅力的だ。
魅力的すぎる申し出だけど、終わった後のことを思うと。

でも、こちらを期待に満ちたような、でも不安そうに見ている進藤と目があった時に、
カタリと音を立てて理性が崩れたような気がした。





シュッと音をさせてネクタイを取り、ワイシャツのボタンを外す。
それを見て進藤が「ああ・・・」と溜息のような息を吐いて目を閉じる。


「初めてだけど上手く行くかな。」

「うん・・・。大丈夫。オレの言う通りにしてくれれば。」


言う通りって何か特別なやり方があるんだろうか。
彼はそんなことまで調べたんだろうか。


「今こそこれが役に立つ!」


ビシッと進藤が水戸黄門の印籠の如く差し出したのは、いつか進藤が買ってきたコンドーム。
フェラチオをし合う時、口に出されるのがいやだからコレ越しに、と提案したら、
嫌になるほど素早くも、次の回には購入してきた。

それも何を考えているのか謎の味付きコンドームを大量に。

予想はされたことだが甘ったるい匂いとゴムくささの絶妙のコンビネーションに二人とも閉口し、
結局生で我慢するしかないという話になって使わずにそのまま置いてあったものだ。






「取りあえず付けてよ。」


ボクのズボンのファスナーを下ろし、半立ちになった物を取りだして扱く。





「よし!準備完了。」


にっこり笑った進藤。
ボクの股間にはストロベリーなロリポップ。
そこに顔を埋めて舌を這わせる進藤を思い出すとそれだけで大きく脈打ってしまうが、
客観的に考えると我ながら大概間抜けな姿だ。

思わず萎えそうな気がして、慌てて押し倒した。
目を閉じて、進藤に少し似た昔のハリウッド女優(彼女がここの所のボクの仮想恋人だ)を思い浮かべながら
キスをする。
柔らかい産毛の生えた耳、首筋・・・。
ほっそりとした腰を抱き寄せると、自分がクラークゲーブルかAV男優にでもなったようで・・・
気分がいい。


さていよいよという段になって。


「ちょっと待った!」

「何。」

「あのな、取りあえず指入れてくれる?」

「指?」

「うん。ちゃんと洗ってあるけど、嫌なら自分でするけど。」


何の必要があって・・・?
というか嫌、も嫌だけど。
それ以上に自分の尻に指を突っ込む進藤が見てみたい。


「じゃあお願いする。」


普通に言ったつもりだが、語尾が笑いで震えてしまったらしい。


「あー!オマエ笑ったな?」

「いや・・・。」

「笑い事じゃねーよ。少しづつ広げねーと滅茶苦茶痛いんだぜ?」

「そうなのか?経験あるのか?」

「オマエじゃあるまいし。」

「キミが言うな。」


少しの間睨み合ったが、やはり二人して吹き出してしまった。


「はははっ。いいよ、ボクがやるよ。」

「うん、頼む。まず指にこのローション付けて。」


言うとおりにする。


「で、まず一本入れて。入り口だけでいいんだから奥まで入れんなよ。」

「うん・・・。」


意外と簡単にぷすりと入っていく。
ああ・・・この締め付け、気持ち良いかも・・・。
離れたところにあるボク自身がびくりと反応し、もっと奥まで入れたい衝動に駆られる。


「大丈夫・・?」

「うん。思ったより痛くない。」

「気持ち、いいとか?」

「んなわけねえ。」


まあまさか指を入れられて気持ち良いなんてことはないだろうな。


「もう一本。」

「うん。」


という要領で3本まで入れた。
広がっていく進藤の穴に自分が異様に興奮するのが分かる。
変態か、ボクは。


「痛い?」

「何とか、ってオマエのって指3本くらい?」

「うーん、もうちょっと・・・。」

「でも4本となると。」

「そうだね。小指は他の指を奥まで入れないと届かないね。」


さっきから動かしたくて仕方がない。
中を掻き回したくてうずうずしていたので少し期待したが、
進藤はすっ、と腰を引いて、逃げた。


「いいや。なんとかなるだろ。入れていいぜ。ローション忘れずにな。」


と、四つ這いになった。


「後ろから?」

「ん〜、いや、どっちでもいいんだけど。」

「じゃあ、まあ遠慮なく。」

「うん・・・。」




いよいよ。初体験か・・・という感慨はなかったが、予想される快感への期待に
胸を高鳴らせながらローションを塗り、あてがう。
細い腰。
いいのかな。壊れないかな。
でも進藤がしろって言うんだし。

と。

カタ・・・カタカタ・・・・。

微かな音が。


進藤の、歯の根が合っていない。
あてがったまま体を前に倒して顎に手を当てると微かな振動が伝わってきた。


「・・・怖い?」

「いや・・・武者震い。」


全然用法が違うだろう、と思ったが。
今はつっこまないで置いてやろう。そこには。


「行くよ。」


進藤の口を押さえたまま一気に腰を押しつける。


「〜〜〜〜〜〜〜!!!」

「しん、どう、」


殺された悲鳴、そして・・・頭の、中が、真っ白になるほどの快感。
柔らかくて、キツい。
ぬるぬるとした肉が隙間なくボクに絡みつく。
脈打っているのはボクなのか。進藤の中なのか。

思わず進藤の口から手を離して、ベッドに手を突く。


「・・・ってえっ!!!」

「止めて、欲しい?」


勿論止めるつもりなんかない。
こんな言い方をしたらきっと進藤は意地を張ると思った。


「・・・いや、いい、でも、ちょっとそのままでいて。」


キツい・・・。締め付けられるのがキツい。
動けないのが、キツい。
もっと刺激が欲しい。
張り裂けそうな進藤の穴。
その肉でもっとボクをさすって欲しい。


「・・・慣れて、来た。もういいよ、動いて。」


という言葉を聞くやいなや激しく腰を打ち付けてしまったのは我ながらガツガツしていた。
でも、我慢できなかった。

進藤の言うとおりだ。
イメージは大切だ。
ビジュアルも、大事だ。

女性ではない、でも尻に入れているというだけで、怖いほど理性が飛んでいく。
進藤を思んばかる余裕もなく勝手に、と言っていいほど腰が動いて
どん欲に快楽を追い求める。


「〜〜〜〜!」

「、進藤、もうイっていい?」

「てか、早く、イきやがれ!」


一層強く突き入れると、重力からすらも解放されたような、気がした。






次は、ボクか・・・・。

終わった後、始末をしていると現実に引き戻される。
自分だけ満足してハイ終わり、という訳には行かないだろう。
でも進藤はぐったりしていた。


「どうする?」

「・・・いや、今日はも、いいや。オレは。」

「そう?」


基本的に嫌なことは先に済ませたい質なので少し複雑だ。


「何か作ってくるよ。」

「あー、今日はスパゲティ買ってあるんだ。例によってインスタントだけど。」

「へえ、珍しいね。」

「ん〜、今日は喪失記念日になると思ってさー・・・。」

「何の。」

「尻処女。」

「ああそりゃいい記念になったね。」


進藤が横目でボクを睨む。

それでもまだ力無く横たわっている様に自分の未来を見ると
ちょっと怖い。
進藤の棋風を見ると、彼の方が肉体的にも精神的にも痛みには強い気がするので。

ボクにはあんな危ない橋は渡れない。
渡りたくもない。



でも、この橋は、渡らなければならないのだろう。
渡った先に何があるのか分からなくても。



「・・・何考えてる?」

「いや・・・お湯を沸かしてくるよ。」

「次回が、楽しみだな。」


上半身を起こしてニヤリと笑う進藤を、訳もなく張り倒したくなる気持ちを抑えて
台所に向かった。









−了−






※答えて上げようアキラさん。変態だ。キミは。




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