黄 11
黄 11








ぶつ、とした感触の後、自分の口の中も鉄臭くなる。
軽く噛んでいたつもりの自分の人差し指を、犬歯でどうやら
傷つけてしまったようだ。


「そうですか」


私はそのままベッドの上に立ち上がり、横たわった夜神を見下ろす。
人差し指から飛び散った血が、その白いシャツに小さな斑点を付けた。
下から睨み上げてくる夜神は、口惜しい程に扇情的だ。

ポケットに手を突っ込んだまま、片足を上げると
蹴られると思ったのか両足を上げてガードする。

その脚の間の膨らみを、足でゆっくりと踏んでやると、小さく呻いた。

それでも程なく、膨らみは硬度を持ってジーンズが張って来る。
夜神は目を閉じて眉を顰め、感覚に耐えていた。

やがて。


「竜崎……」


その口から、か細い声が漏れた。
「お兄さん」ではなく、その名前で呼ぶという事は、そういう事か……。


「何ですか?」

「……」

「言って下さい。どうして欲しいのか」

「…………して、くれ」

「何をですか?」


意地悪く問い詰めると、何故か興奮した。
やはり自分自身にそういった性癖があるらしい。
あるいは未だ、キラを、許していないか。

だが。


「……このベルトを外して、僕を一人に、してくれ……」


夜神も、可愛くなかった。


「月くん」

「でなければ……」


まどろっこしい物言いに私の方が耐えきれず、その足の間にしゃがみ込んで
ジーンズを脱がせる。
夜神は協力的だった。


「犯して欲しいんですね?キラとして?」

「竜崎」

「良いですよ。お互い、もう面倒な手続きは省略しましょう」


唾液で濡らした指を、穴に当てると。
意地なのか、それとも久しぶりなせいか、固く閉ざされていた。


「良いですね……無理矢理な感じが」

「……変態」

「変態で結構。私は自分を殺した相手に欲情する狂人です」


無理矢理突っ込んだ指を掻き混ぜると、夜神は再び息を荒げる。


「竜崎……竜崎」

「そろそろ、良いですか?」

「……っ!」


まだ感じてなどいないだろう。
知った事ではないが。

本能のままに突き入れた瞬間、夜神は痛みにか屈辱にか……
あるいは喜びにか、涙を浮かべた。

熱い肉の圧迫に、自分自身も脈打つのが感じられる。


「痛いっ……!動かさ、ないでくれ……」

「これはレイプですよ。何寝言言ってるんですか」


言葉では嬲ったが、勿論夜神を傷つけるつもりはない。
少し休んだ後ゆっくりと動かし始めると、束ねられた手首を腹の上で捩り、
長い指がシャツを握りしめる。

そして張り詰めた物を摩りながら何度か動かしただけで、
夜神は低く呻いて……達した。


「ああ……早かったですね。良かったですか?」

「……」

「私はまだなので、動きます」


しばらく、人形のように脱力した夜神に出し入れし続けていたが
やがて急に背を反らせたかと思うとまた勃起する。


「はぁ、元気、ですね……そして、重くなりました。
 中学生の時とは違って、腰を持ち上げ続けるのが辛いです」


そう言うと、動きを助けるように足を私の腰に絡ませる。
欲情を煽られて、私は痙攣するように腰を打ち込み続けた。


「やはり、あなたと私は、相性が、良いと思います」

「……ん、……あっ、」


もう大丈夫だろう、と手首のベルトを外すと、待ちかねたように
腕が私の首に絡みついて来る。


「一つになっていると、何か、満たされませんか?」

「ああ、い、……い、く……」


結局一度では終わらず、回数を重ねるにつれ夜神は理性を飛ばして
私にしがみつき、私をせがんだ。

時折、「今だけだ」「もうしない」と譫言のように言っていたが
その口を唇で塞げば自分から深く舌を絡めて来るので説得力がない。

夢中になって腰を振り、何度か射精した後、夜神は気を失うように
眠り込んだ。

私は湯で絞ったタオルで夜神の身体を拭き、シャワーを浴びて眠りに就いた。






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