ヴァレンタインズ・デイ 3
ヴァレンタインズ・デイ 3








例によってバスルームから適当なローションを持ってきて、
指をくわえた竜崎に凝視されながら自慰をする。
この奇妙な癖もこうして見ると物欲しげな仕草に見えるから恐ろしい。

普通は絶対に勃たないシチュエーションだが、まあ年齢が年齢だし
数日出してないし……と自分で言い訳したくなる程度には勃った。


「さすがです、月くん」

「……こんな事でさすがとか言われたくないよ……」


竜崎の体を、出来れば視界に入れたくないがそういう訳にも行かない。
膝を抱えている今の状態ならまだしも、もし大股でも開かれたら。
う〜ん、ここは性器が目に入らないように、後ろからするべきか。


「月くん、お願いがあるんですが」

「自分でやれ」

「どうして言う前に分かるんですか?」

「一応肛門性交の仕方は知ってるよ。おまえこそよく知ってたな」

「それはもう、ネットで熟読しましたから」


何だかやる気がなさそうだったが、それなりに何か調べてると思ったら
そんな事だったのか!


「私は嫌です。自分のお尻に指を入れるなんて」

「他人の尻に指を入れる方がもっと嫌だ!」

「もっと大事なモノは入れたいのに?」

「いや……っていやいや!入れたいわけじゃないから!」


「怒張」というのは、青筋が立つ程堅くなる、という意味もあるのだろうが
怒りに勃起する、という事もあるのかも知れない。
僕としたことが目の前がくらくらする程の怒りに苛まされながら
それでもその感情に比例するように堅くなっていた。


「仕方ないですね……まあ、何とかなるでしょう」


何が仕方ないのか、竜崎はたっぷりとローションを手にとって
それをボク自身に塗りたくり始めた。


「い、いきなり?」

「ああ、その前に愛を確かめ合いましょうか。
 愛してますよ、月くん。キスしていいですか?」

「本音で頼む」

「ペッティングとか面倒くさいんですよねー。されるのは嫌いじゃないですけど。
 勃たないのなら仕方なくしますけど、勃ってるんだからいいんじゃないですか?」

「……」


いや、まあコイツはこんな奴だ。
悪びれもせずにぬけぬけと大嘘を吐く質は十分に承知している。


「じゃあ、入れていいんだな」

「どんと来いです」


竜崎は頭の後ろで手を組んで、ぽふんと仰向けになった。
誘っているつもりか戯けているのか、
黒い脇毛を見せてくねくねと体を揺らして見せる。


「……出来れば後背位でお願いしたいんだけど」

「それは困ります。前立腺を効率的に刺激して欲しいので
 後ろからしたいのならご自分のモノの形状を変えて下さい」


思わず自分の腹を見下ろす。
そこに反り返った物を見れば、人体断面図を想像せずとも
前から入れた方が前に当たる事は必然だ。


「分かった」


僕は竜崎に覆い被さり、その腰を持ち上げると、目を閉じた。
要は視界を遮断すれば良い訳で。
手探りで、竜崎の性器に触れないように後ろに指を這わせる。
その窄まりの場所を確認して、べたべたにされすぎた自分の先端を当てた。


「痛いかも、知れないけど」

「痛いと思いますよ。
 でも私は痛みに強い質ですしそれなりに訓練も受けてるんです」

「アナルを犯される訓練?」

「痛みに耐える訓練です」


少し押しつけるとぎゅっと筋肉が収縮して拒まれた気配がしたが
しばらくすると緩んできたので、その機に思い切って一気に突き入れる。


「……ッ!!」


僕とした事が……いつも用心深い僕とした事が、

なんて事をしてしまったんだ……。

どうして今日に限って、何も考えずに突き進んでしまったんだろう。
竜崎にペースを崩されたせいだろうか。
所詮相手も人間の肉体と、舐めてしまっていたのか。


何とかなるだろうか。いや何とかなる。
いつでも僕は自分で何とかしてきた。

何とかならない筈がない。
ならない訳、ないよな?

脂汗が、出てきた。



「……月くん。落ち着いて聞いて下さい」

「……」


竜崎が、挿入してから初めて声を出した。
この落ち着きぶりを聞くと、コイツは痛くないのだろうか。
そんな筈はないと思うのだが。


「これは、救急車を呼んだ方が良い事態だと思います」

「や、め……」






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