Unchain 3 発信器のモニタに目をやると、発信器の場所を示す赤い点が、 今までより早く明滅している。 「バッテリー切れですね」 小さな発信器だ。 いくら性能が良くとも一週間、よく保った方だと思う。 がりがりと爪を噛みながら見つめていると、点は、三十秒程点滅を続けた後、 不意に消えた。 非科学的だが、していた話が話なので夜神の命が消えたような気がした。 「これで、気持ちが少し楽になりましたね……」 「別に何も変わらない」 ニアに心の内を見透かされて、思わず不機嫌に否定してしまう。 あの発信器の明滅と夜神の命は、何の関係もない。 それどころか夜神が発信器を捨てた可能性の方が高いのだ。 「今更ですが、何故発信器は壊されなかったんでしょう?」 「あり得るのは、お粗末すぎるが私をおびき寄せる囮のつもりか」 発信器を壊したつもりで壊せていなかった、 というような間抜けな事は教授にしろ夜神にしろないと思う。 「敵に気付かれる前に落ちたとか、夜神が隠したという可能性は?」 「それは形状的に、有り得ない」 「ピンじゃないんですか?どんな形の発信器なんですか?」 「見た目はネックレスだ。おもちゃの」 「ネックレス」 ニアは、瞬きもせずゆっくりと首を横に倒した。 確かに、外されない事を優先して妙な形を選んでしまったと思う。 「留め金は自力で外せないし、チタン合金製でとても引きちぎれない。 無理に取るなら、それ用の工具を用意して切断するしかないな」 「普通に外すには?」 隠すつもりもないが、一応シャツの中に入れていた 柔らかい紐を手繰る。 「この鍵で、解錠出来る。手錠型のデザインだ」 紐に通した小さな鍵を示すと、ニアは微かに目を見開いた。 そして何故か、突然眠そうな顔になる。 「……それは、洒落が利いていますね」 「そういうつもりはなかったが」 「少女趣味なチョーカーをしだしたと思ったら、そういう訳でしたか。 でも別にあなたは首に掛けなくてもいいのでは? そういうの、大嫌いですよね?」 「夜神に、首の回りに鬱陶しい思いをさせるのだから、 私もこのくらいのペナルティは受けなければ」 「と、思っていたのですね。ご愁傷様です」 ニアが妙に私に突っかかる。 遅れてきた反抗期か。 それとも本当に、機嫌が悪いのか?ニアが?
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