優勝杯妻 1
優勝杯妻 1








「月くん……少し、力抜いてくれませんかね」

「精一杯抜いてるさ!」


僕の上で、昆虫のような男が身を屈める。
言動に色気の欠片もない所が、唯一の救いだと僕は思う。




僕がキラとしての記憶を取り戻した夜。
竜崎は、「キラ」を抱いた。

証拠を掴ませず、万が一録音されていても、冗談だったと言える程度の自白。
それでも、竜崎には真実だと分かっていて。

だから僕を滅茶苦茶に犯した。
暴行と言って良いほどに、僕をモノ扱いして冥い性欲をぶつけた。


そのせいで僕の体は、本来なら一日二日入院した方が良いんじゃないかという程
ボロボロになったが……。
色々と攻防があって、現在は一時休戦という形になっている。

というか、竜崎は完全にキラに勝利したと思っている。
僕を自分のペットに出来たと思っている。

だが、僕は諦めていない。

何とか……僕の体につけられた爆弾(勿論比喩だ)を解除して
Lと対等に渡り合えるようになる方法を考え続けている。

そうなれた時Lを殺すかどうかは……まあその時次第だ。





「あなたの体は抱き心地も感度も抜群なんですが、毎日し続けていないと
 すぐに狭くなるのが玉に瑕ですね」


そんな事を言いながら、ローションの助けを借りてじわじわと押し込んでくる。

数日出来なかったのは、おまえが酷く扱った結果だろう!
と言いたいが言わないのは、竜崎が文句を言いながらも楽しそうだからだ。
僕が言い返せば、きっともっと面白がるだろう。


「狭い方が、いいんじゃないのか?」

「もう少し緩い方が動きやすくて好みです」

「ああ、そう」

「何度も処女を奪うみたいで、後ろ暗いですし」

「うるさい!」


ああ……遂に怒鳴ってしまった。
腹に力が入り、痛みが増す。

確かに僕にとって竜崎が初めての男だが、本来男に抱かれる予定などなかったし
これからもそのつもりはない。

……まあ、竜崎がそれを命令すれば今の所拒む事は出来ないが、
竜崎自身が「浮気は許さない」(浮気って!)と言っているので大丈夫だろう。


「前から言ってるけど、男に処女とか言うなよ」

「ではanal virginの事を日本語で何と言うのですか?」

「知らない」

「virginじゃ『童貞』という意味もありますしね。
 私が月くんにvirginを卒業させたと言ったらいらぬ誤解を招く恐れもあります」

「どちらにしろ人に言うなよ!」


怒鳴って力を入れて、弛緩して、を繰り返す内……我知らず解れて来たようで
竜崎が動いても痛くなくなってきた。


「ああ……だんだん具合が良くなって来ました」

「……」

「月くんもですよね?」


確かに、前も触られた事もあって勃ってきたけど!
言うなよそんな事。

竜崎は、確かに上手い。
感じたくなくても気持ちよくなってしまう。

けれど、こうやって最中に言葉で弄る癖はいただけない。
それにきっとすぐにあの名前を出すだろう。


「ああ……『キラ』が、私の下で、こんな風に乱れていると思うと、」


ほら。
竜崎は、「キラ」を苛めて喜ぶ。変態だ。


「とても興奮します。殺してしまわなくて良かった……」

「……ああ。そこの所は、感謝して、る……」


突き上げられて、腰が勝手に動く。
このまま、少しづつ理性が溶かされて行って……最後には
竜崎にしがみ付いて達ってしまうのだろう。

恐ろしいのは、そうこうする内に本当に溶かされてしまう事だ。

キラとしての思考をやめ、竜崎の性奴隷として生きていく事に甘んじてしまう……
自分がそうなる事が、一番恐ろしい。


だから僕は自分に言い聞かせる。

僕はキラだ。竜崎はLだ。
何とか、僕がキラだという証拠を取り上げて始末しなければ。

……その為には、やはりデスノートを使って竜崎の行動を操るしかないか。
そうすると結果的に殺す事になってしまうが。

とにかく、出来るだけ早く、レムとコンタクトを取らなければ。
捜査本部のデスノートの処分を、止めさせなければ。






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