トゥーランドット「誰も寝てはならぬ」3 Lのジーンズのファスナーを下ろし、前をはだけると、Lはぼそりと 「私、仕事の話をしに来たんですが……」 と呟いた。 「そうですか。ならばやめましょうか」 「いえ!早く終わらせましょう」 そう言ってLは不意打ちで体勢を入れ替えようとしたが、許さない。 車のシートは狭いんだ、一旦下になったらもう挽回は不可能だろう? Lのペニスを露出させると、痛そうに張り詰めている。 手に唾液を付け、摩ってやるとぴくぴくと震えた。 スカートの後ろをめくり上げ、その倒錯的な感覚に射精をしそうな目眩を覚える。 下着をずらして急いで尻の穴に唾液を塗り込む。 「……」 ……何をしているんだ、夜神月ともあろう者が……。 一瞬の躊躇い。 を、押し流すようにLのペニスの先を二本の指で挟んでそこに導いた。 一気に腰を沈めると、痛みが脳天まで突き抜ける。 いや……痛みなのか、快感なのか。 分からないままに、下から突き上げられて、やがて甘い痺れに息が止まって。 「ああ、これだ」と感じた瞬間、僕はLのTシャツに盛大にぶちまけていた。 「月さん……いや、ライトくん」 「……」 「夢の、ようでした」 「……」 「ライトくん?」 「……」 あああ……馬鹿な事をした。 頭がおかしくなっていたとしか思えない。 「あなたが興奮してくれて、私も凄く興奮しました」 出して、頭が冷えてみるととんでもない事をした、と思う。 僕が、唯一Lに対して上位に使える「セックス」と言う切り札を、 こんな風に使ってしまうなんて。 ……まるで僕の方がLを欲しがってるみたいじゃないか……。 「今回は自制するつもりでしたが、あなたの方から誘ってくれるなら 話は別です」 いや。 今回は、正々堂々とLと推理勝負をするつもりだったんだ。 自分の体を使ってLの優位に立とうなんて、そんな甘えは早めに捨ててしまえて 逆に良かったかも知れない。 「今日はこのまま、私の部屋に泊ま」 「仕事の話をしよう、L」 「……」 突然態度を変えて、さっさと後始末をして服を直す僕に、Lは戸惑ったように 自分のシャツに飛び散って乾き掛けている精液を眺めた。 「まず、僕がトゥーランドットの謎かけに答えた理由だが」 「あ、その前に、先程立ったトピックを見て下さい」 Lも頭を切り換えたのか、後部座席からノートPCを取り出す。 その下半身は露出したままだが。 「『プリンス復帰』……?」 その内容を見てみると、プリンスとはどうやら僕の事らしい。 『相変わらず綺麗だよね』 『前より格好良くなってない?』 『若くなったように見える』 『整形?』 『大きなマスクで顔を隠してるものね』 養護教諭だし、特に改まって復帰を生徒の前でアナウンスする必要はないと 言われていたが、どうやらあちらこちらから見られていたらしい。 そこまで目立っていた教師なら、予め言って欲しかった。 『でも、何だか雰囲気変わったよね』 『そうかな?気さくに話してくれて感じ良いけど』 『ちょっと生徒に踏み込みすぎ。プリンスらしくない』 『プリンスに投影しすぎでしょ、彼女も普通の二十代の女性だよ』 『普通?あんなにハンサムな二十代の女性はそう居ないでしょ』 ……キャラフは、一部の生徒達のアイドルだったのか。 この、僕と会話したような事を書いている生徒はある程度特定出来る。 昨日廊下で話したエミリーとか言う少女か、化粧の濃いパン、 あるいはリューか、リューの連れてきたアマンダ。 「中々人気者のようですね」 「そんなに目立っているとは気付かなかった」 「女性をプリンスと呼ぶのも好き好きですが、それが本当に男性なんですから 皮肉な物です」 「絡むなよ」 何故か拗ねた様子のLに構わず、画面をスクロールして自分の書き込みを 確認する。 ……心臓の鼓動が、跳ね上がった。 「L」 「はい?」 赤く、炎の如く熱いが、火ではないものは? Re:「キラ」 正解 驚きました
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