Silent Assassin 6 「だとしたら安すぎますね。あなたは仮にも“L”の所有物なんです。 ハードにしろバッテリーにしろ、売るならもっと高く売って下さい。それと、」 私は備え付けのバスローブの紐を取り、夜神の両手首を縛った。 「ソフト(魂)なんぞに興味はありません。勘違いしないで下さい」 手首の紐をベッドヘッドに結びつけ、今度は夜神のベルトを抜き、右足首を縛る。 それをベッドの足に結ぶと、夜神が自由に動かせるのは左足だけになった。 「おい……」 「あなたの言葉に甘えて縛りました。これから殴って犯します。 覚悟は良いですね?」 「……」 夜神は本当に歯を食いしばる。 私はその胴を跨ぎ、思わず笑ってしまった。 「冗談です。殴られてもいないのに殴ったりはしません。 そうですね、まずはそのお口で私を楽しませて下さい」 片手で髪を掴み、片手でその口を開かせて喉の奥まで自分のペニスを入れる。 「あぐっ、げっ、」 「歯を立てないように気を付けて下さいね?五万バーツの口淫ですから」 私としたことが。 夜神に煽られて、いつになく乱暴になっていた。 自分がそんな事に興奮しているのが、何とも興味深い。 夜神は何度も嘔吐いて涙ぐみながらも、律儀に舌で私を刺激し続ける。 自らの唾液でぬらぬらと濡れた唇。 苦痛と屈辱に歪んだ顔。 ……予想外に早く追い上げられてしまった。 「あっ、出し、ます月くん」 「んっ……」 「このまま全部飲んで下さいね?」 夜神は顔を横に振ろうとしたようだが、両手で押さえつけて腰を動かす。 そのまま喉を犯して奥に射精した。 「っ……うっ、うっ……」 吐き出そうとする動きを抑え、ゆっくりとペニスを出し入れする。 唇で扱くようにすると、残った精液がびゅる、とまた喉に落ちていった。 夜神は苦痛にか怒りにか、充血した目を見開いて私を見上げる。 だがやがて、そっと唇を閉じて、ごくりと口内の粘液を嚥下した。 私はベッドサイドに放り出したままの五万バーツの札束を取ってその頬をはたいた。 「美味しいですか?」 夜神の目が、今度ははっきりと怒りに燃える。 本来ならば金なんぞいらない、と怒鳴りたい所だろうが、 「……美味しい、です」 「もっと飲みたいですか?」 「……はい。もっと飲みたいです」 男娼に徹するしかない立場に自分を追い込んだのは、彼自身だ。 「でも下のお口が寂しがっていますね。欲しいでしょう?」 「はい……欲しい……」 情欲に満ちた台詞とは裏腹に、夜神は遂に目を閉じた。 目尻に溜まっていた涙が、こぼれ落ちる。 勿論泣いている訳では全くないが、それは私の血を更に滾らせた。 我ながらどうしようもない性癖だ。 一旦ベッドから降りて夜神のキャリーバッグを探ってみると、いつも使用しているローションが当たり前のように入っている。 その事にまた、少なからず興奮した。 彼はどんな顔でこれを用意し、荷物に詰めたのだろう。 目の前に突きつけてやりたかったが、残念ながら目を閉じているのでそのまま自分の物にとろとろと垂らし、夜神の左足を持ち上げる。 開かせて胸に押しつけると、「痛いっ!」と悲鳴を上げた。 「身体、硬いですね。ゴーゴーボーイを見習って下さい」 「悪いな。臨時雇いなもので、」 話している途中に押しつけると、小さく歯を食いしばる。 腰に弾みを付けて、少しづつ押し入れると、逃げ場のない夜神は喉を震わせて反らした。 「どうですか?」 「いい……気持ち、良い……」 いつも最初は痛がるくせに。 「どの辺りが?この辺ですか?それとも、」 知り尽くした身体だ、わざとらしく前立腺の辺りを擦り上げてやると、刺激が強すぎたのか「ああっ!」と高い声が漏れた。 それでもその身体は、明らかに欲望を兆し始めている。 狭いその肉は、私を奥へと誘うように蠕動していた。 「凄く、感じていますね……」 「……んっ、あ……」 「あなたの身体は、私の形を覚えている。 快感を与える物として認識し、触れるだけで受け入れる」 「あ……や、だ……」 「気持ちが無くとも射精出来る。 ゴーゴーボーイと同様に、あるいはそれ以上に、あなたは身体を売る職業が向いていますよ」 言葉で嬲るとゴーゴーバーでの少年達の痴態を思い出したのか、夜神は身を捩って暴れる。 「大丈夫です。命を張らなくとも、あなたはキラだ。 その事実だけで、あなたの身体には五万バーツ以上の価値がありますよ」 「やめっ……!」 夜神は遂に激昂して、殆ど自由の利かない身体で暴れ始めた。 私は満足して、そのきつすぎる程の締め付けを味わった。
|