恋愛勘定 7 「私に何か言う事はないんですか?夜神くん」 「何を……言えって、言うんだ……」 「恨み言とか」 「……これ以上、……」 僕をいたぶるのか。 という言葉が喉の奥で引っかかって出て来ない。 また涙が、零れそうになる。 体はまだ、刺激を求めて悶えそうになる。 すぐにシャワールームに向かいたかったが、竜崎はしゃがんで 僕の手首を掴んだ。 「いいえ。申し訳ないと思っています」 「……だから?」 「だから、あなたの乾きを癒してあげても良い」 「余計な、お世話だ……」 何が、「乾きを癒してあげても」だ! 誰のせいでこんな目に合っていると思っているんだ。 ああ、ぐらぐらするんだよ。 頭が。 誰かさんのせいで。 「大丈夫ですか?」 大丈夫じゃないよ。 出したくて、堪らないんだよ。 擦って、擦って、出して、出して、出して、出したいんだよ! 頭がおかしくなりそうなんだよ。 からだが、べたべたして気持ち悪い。 目眩と、倦怠感と、獣のような性欲と、を、持て余して ふらふらする。 手が、ふるえる。 立ち上がろうと膝立ちになった、その時。 目の前に……グロテスクな、肉の棒が突き出された。 「……」 「あなたのプライドに配慮して、言い方を変えましょう。 ……そんなしどけない姿を見せて置いて、放置プレイなんて…… 私が耐えられません」 「ふ、ざけ……」 罵ろうと口を開けたが。 開けた所でそれが。 限界だった。 僕は、形振り構わず竜崎の勃起にしゃぶりついた。 竜崎はバランスを崩して後ろに倒れる。 それでも僕は離れず、竜崎に小さな悲鳴を上げさせた。 「竜崎。入れていいか」 「あ、あなたのを、私にですか?それとも逆ですか?」 「どちらでも」 「なら、私が入れる方で」 僕は竜崎の腰に跨がり、自分の物を扱きながら腰を沈めた。 きっと一生で一度の……いや、二度と体験したくない……快楽、だった。 ……どろどろになるまでお互いの体を貪って。 竜崎も僕と同じくらいべたべたとした体液まみれになって。 入れた状態のまま二人で気を失った後、最後は射精もせずにずるりと抜いて、 二人して這うように重い体をバスルームに運んだ。 「……で。やっぱり、興奮薬だったのか」 「興奮剤というか……勃起不全治療薬の、試薬です」 「最悪だな」 「はい。私も、あそこまで効果が出るとは、思いませんでした」 広めのバスタブに湯を張りながらバスルームで転がってまた少し寝て、 溢れた湯に目が覚めて二人で浸かる。 「何故?」 「はい?」 「どうしてそんな物を、僕に注射したんだ」 「ああ……それは」 考えるまでもない事だろうに、竜崎はぼんやりと天井を見上げた後、 「あなたが私に、京子さんと付き合えと言ったからです」 ぽつりと呟いた。
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