背水の陣 6 「竜崎、ねえ、達きそう、先に、達ってくれよ」 「……」 不自由な体に、不自由な動き。 それで射精出来そうな所まで持ってくるのに、さすがの僕も息が切れた。 それはLも同じで、額に汗が浮かんでいる。 だが、僕と同じく硬く張り詰めてもいた。 必死で腰を捻ろうとしているのは、感覚を逃そうとしているのだろう。 つまり、Lも最後が近い。 「疲れて、来たね。お互い無理しちゃいけないね」 試しに一度動きを止めてみると、あからさまに安堵して大きく息を吐いた。 目の前の腹が、肋が、荒れた海のようにうねる。 「だから……もう終わろう」 言いながら不意打ちでスパートを掛けると、目を見開いて 真っ直ぐ僕に向き直った。 揺れる、髪がぱさぱさと目元に掛かって鬱陶しそうだ。 やがて僕が突く度に。 目元が潤んでくる。 「泣いてる?ねえ、」 「生理、的な、涙で、」 「僕と……キラと一つになれて、涙が出る程感動した?……L」 それ以降は、僕にもLを弄る余裕はなくなってきて、 後は本能に身を任せて腰を動かした。 出口が見えて来た、と思った所で、急に髪を掴まれて顔を持ち上げられる。 L……。 両手で僕の髪を掴み、至近距離から僕を視線で射抜く。 「夜神、月」 目で人が殺せるなら、僕は既に死んでいるな。 「何」 「私はおまえが、嫌いだ」 「……」 僕は、Lよろしく目を見開いて……思わず笑ってしまった。 「ははははっ!」 腰を振りながら、下半身の痛みに似た疼きが、 一点に集中して行くのを感じる。 それなのに、笑いが止まらなかった。 「はははっ!……は、はは、あははははは!」 僕は、狂ったように笑いながら、Lの中で暴発した。 どくどくと注ぎ込みながらも動いていると、 すぐにLも、僕の頭を引き寄せたまま二人の腹の間に飛沫を飛ばす。 笑いに揺れる視界の中で、その瞬間、Lの目尻から 涙が零れるのを見た。 「……夜神くん。覚悟は出来ていると、言っていましたね?」 「ああ。もう、実現できる範囲で思い残す事はないよ」 「普通は実現出来ないんですけどね……Lを犯すなんて」 終わった後、無言でLの手を拘束していたタオルとTシャツを解くと その手を下げる前にLは僕を殴り倒した。 「……痛った!筋肉ないのに凄い力だな」 「人を殴るのは筋力ではなく力学です」 「ああ、そう」 「それに私、我ながら真面目に筋力トレーニングしてましたから ある程度は筋肉戻ってると思いますよ」 「え……」 なら……何故? 何故僕に倒された時に抵抗しなかった? 何故唯々諾々とベッドに縛られた? 「流石に、体力が回復してきたキラと密室で二人きりなんて怖いですよ」 「?……」 「この部屋、カメラは死んでますがマイクは生きてます」 「ガムで、何かを塞いでなかったか?」 「ええ。振りだけです。安全策というだけではなく、マイクがないと思えば あなたが最中に可愛い声を聞かせてくれるのではと思いまして」 「……」 馬鹿じゃないのか……! 確かに昨夜僕は、声を出さなかったけれど。 というか、という事は……。 「ニア……聞こえて、るのか?」 沈黙の後、微かにプツ、というような音がして、 『はい』 スピーカからあの性別不明の声が聞こえてきた。 「そんな訳で、この部屋にさえ来ればニアに助けて貰えると思ったんですが 私、見捨てられたみたいです」 「何だそれ……」 ずっと聞かれていたのか……あいつに。 頭を抱えると、右手がずきんと痛んだ。 『私は、夜神に無茶をしないように頼みはしましたが それ以外は関知しないと、表明した筈です』 「その話は、後で二人でつけましょう。ニア」 Lが、天井を見上げて少し投げやりに言うと、 また細い糸が千切れるような音がして、スピーカが切れたようだった。 「寝間着は自分で着られますね?では」 と、Lが去ろうとするのに、慌てて声を掛ける。 「待ってくれ竜崎。 僕はどんな死に方をするのか、教えてくれないか?」 「さあ、私には。何故ですか?」 「……どうせ残り少ない命なんだ。 最後は自分の手で、決着をつけさせて貰えないだろうか」 言いながら、自分でも無理だろうな、と思った。 何せ、奴らにとっては僕はクレイジーな大量殺人犯なのだから。 「考えておきましょう」 案の定Lは面倒臭そうに答えると、背を向けて小さく手を上げ 部屋から出て行った。 --了-- ※ここまでのL月、Lニア、月L部分を、17000打ご申告頂きましたクロさんに捧げます! リクエスト内容もそのものズバリ、 L月/月Lの前提で、L二ア/二アL風のお話。 横文字シリーズの設定も、他の設定もいいです。 難しいわよ〜!(笑)何がってL+月+ニアを揃えるのが。 最初は横文字で考えようとしていたんですが、リバもお好きとの事で L月Lは是非入れたくなりました。 で、横文字では今の所難しいので、三人が揃う新シリーズをやらかしております。 最初の設定説明がやや冗長になりましたが、L月、Lニア?月Lを 入れることが出来て自分的に満足です。 あ、後、色々伺った中で「受けLの珍しいリアクション」というのがあって それも入れたかったんですが、落涙……ってそんなに珍しくないか。 逆に爆笑しながらいっちゃう月の方が珍しいですよね。 考えすぎて不気味な事になって申し訳ありませんでした……。 クロさん、こんなんで良かったでしょうか? キリ踏み&ご申告ありがとうございました!
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