女か虎か 12 無理だ……ノートで殺すのと自分の手で殺すのでは全然違う。 それに、Lを殺せたとしても僕の立場はキラから殺人者になるだけだ。 キラだけなら裁判では不能犯として無罪になる可能性もなくはないが、 殺人犯は……相当以上の正当防衛の証拠がなければ無理だ。 「おまえは、女、なのか?」 「かも知れませんね。あなたがキラでないと言うのならば」 おまえは男だ。 と、僕が十分認識している事を知っているからこその台詞。 それを、確かめる事はあるまいと。 再びおまえを抱く勇気などないと、高を括っているのだろうか。 「ならば」 僕は徐に。 Lに、覆い被さった。 何だか酷く興奮していた。 熱病に浮かされたように。 何だか酷く憔悴していた。 今日世界が終わるかのように。 それでも、この場は絶対に切り抜けてやる。 どんな事をしてでも。 「おまえは、女だ」 囁きながらその首筋に軽く噛み付くと、Lは小さく身を捩った。 悪くない反応だ。 色っぽい。 と言えなくもないよ。 「させてよ、L」 言いながらTシャツの中に手を入れ、ジーンズの前ボタンを外したが Lは息を荒げただけで抵抗をしなかった。 「自棄ですか、月くん」 「何が」 僕がキラである確率と、おまえが女である可能性が同じくらいだって? だとするならば。 「哀れですね、言葉尻にしがみついて。 私が女性であるという可能性に賭けてるんですか?」 「女じゃないって言うのか」 「はい」 お前は女だよ。 女で無ければならない。 女で無ければ、何だと言うんだ。 僕を骨までしゃぶり尽くす……人食い虎か。 「なら、僕が、女にしてやる」 Tシャツの襟首を両手で掴む。 「あ、」と制止する声を無視して力一杯裂くと、思ったより簡単に破れた。 その下には初めて目にした、白い胸と引き締まった腹。 僕は、破滅なんかしない。 「月くん?!」 ああ、思ったよりも気持ちが良い。 おまえの肌触り。 前回は着衣のままだったし暗闇だったから。 そういうのも嫌いじゃないけど。 Lは僕の予想外の行動に、混乱を来しているようだった。 「やめなさい、」 「やめない」 逃げようと四つ這いになったのを、足を掴まえて引き戻す。 Lのジーンズと下着を太股まで引き下ろし、自分も勃起した物を取り出した。 「あっ……!ちょ、痛っ……」 先を唾液で濡らして拗込むと、中はぬるついていた。 「痛い、です」 気持ち良いよ、おまえ。 やっぱり最高の女だ。 「月くん、嫌、です、」 「そうでもないだろ。だってお前の中」 僕を逃がすまいと、凄い力で締め付けて来る。 そう耳に囁くと、Lは喉を反らして喘いだ。 「ま、待って、下さい」 「待たない」 「私……そこ、駄目なんです」 「駄目?」 片手で愛撫しながら片手で腹を抱いて腰を動かしていると、 Lの肌もどんどん湿ってくる。 「止めて下さいって!そこ、弱いんです」 みっともなく弱音を吐けば、僕が手加減するとでも? 甘いよ、L。 どちらか少しでも油断した方が、負けだ。 そうだろ?僕たちは。 「大概の人はここが弱いと思うけど」 「ああ……っ」 僕が初めてだと言っていたけれど。 だとしたら、なんて相性が良いんだろう。 「もっと声、出してよ」 「誰が……っ、んっ」 恐らく生まれて初めての快感に、無意識のように腰を蠢かせるL。 に、僕自身も酷く興奮した。 やがてびくびくと、震える足の付け根が「その時」が近い事を示す。 「なぁ、L」 「こんな、こんな……おか、しい、」 「僕の女に、なれよ」 「駄目だ、こんな、」 「返事をしろ」 「やめろっ!いや、やめないで、下さい……」 「返事をしなければやめる」 「分かり、ました!から!だから」 僕はニヤリと笑い、顎の先から汗を滴らせながらスパートを掛けた。 こっちだってとっくに限界を超えている。 「イくっ……!イくよ、L」 「ああ……駄目です、駄目……あっ」 僕は再び「彼女」の中に、ありったけの精子を注ぎ込んだ。 そして崩れるように、気を失った。
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