女か虎か 9
女か虎か 9








「っつぁっ!」


涙が出そうになる快感と共に、射精する。
中に思い切り注ぎ込んだ。

竜崎の都合を聞かなくて悪かったが、僕的には妊娠しても良い、と思う。

責任は取る。

彼女は最高だった。

手放したくないと、思った。


ただ目を閉じて、桜色に染まった頭の中で、ぼんやりと幸せにたゆたった数瞬。


が。


突然破られたのは、その直後だった。


「熱っ!じゃなくて冷たっ!……え?」


胸に、何か液体がびちゃっ、とぶちまけられたのだ。


「な、何?何?」

「……ああ、すみません。顔に掛かりました?」

「え?」


唇にまで飛んできた飛沫。
を、ぺろりと舐めると。


「苦っ」

「そうですか」


そう言って竜崎はティッシュを取り、僕の口元から胸に掛けてを、
丁寧に拭ってくれた。


いや待て。

待て待て。

待て待て待て!


「おい……竜崎……」

「何でしょう?」

「おまえ……」

「はい。自分で扱いてイきました。
 お尻にペニスを入れられたまま、というのも意外と興奮出来ました」

「……!」


頭に、血が上って、
ヤバい、横たわっているのにふらふらする。


「抜け」

「はい?」

「抜け。とにかく抜け」

「はぁ」


ずるりと、扱かれてまたびくんと震えてしまうのが浅ましい。
だが、腰を浮かせた竜崎から雫が垂れて、自分の下腹にぽたりと落ちた時。
汚い、と思った。

汚された……。

強姦された女の子みたいな気分だ。
いや、それを言うのなら逆かも知れないが。


「どうしました?夜神くん」


どうしたもこうしたも。
こんな屈辱は、初めてだ。
自分も射精してしまっているのがまた情けない。


「放っておいてくれ。自己嫌悪に浸ってるだけだから」

「本気で私が女の子だと思ったんですか?」

「……」

「可愛いんですねぇ、夜神くんは」

「……」

「キラ」

「!」

「……は、自己嫌悪に浸った事、ないんでしょうか?
 罪人とは言え、あれだけの数を殺しておいて」


何を突然、言い出すんだ……こんな時に。
それどころじゃないだろう?
というのもおかしいけれど。


「さあ。僕には分からない」

「そうですね」

「……」

「気持ちよかったですよ。夜神くん」

「……」

「じゃあ、シャワー浴びて来ますね。一緒にどうですか?」

「……後で良い」

「そうですか」


……僕も、気持ち良かったよ。
などという言葉が口に出来るはずも無く。

僕はただ、項垂れていた。






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