Living dead 5
Living dead 5








メロが飛び、ビルの下方に向かってその姿が見えなくなると
Lと夜神が近づいて来た。


「行っちゃいましたね」

「……後は、このノートを投げ捨てれば良いんですね?」

「ええ。地面に着く前に絶対回収すると言っていたから大丈夫でしょう」


私がノートを投げようとすると、夜神が「あ、ちょっと」と声を掛けてきた。


「ニア。ほっぺにチョコレートが付いてる」

「え?」


思わず頬に手を当てる。
そうか、さっき……。


「メロはその、私が女性と勘違いしたままだったようで、」


悪い事をしたわけでもないのに、早口で言い訳じみた事を言ってしまった。
いや、メロは間違ってもフェミニストではないから、余計に墓穴……。


「いえ。メロは最初から気づいてましたよ?」

「は?」

「というか、あなたが着替えていた辺りから居たそうです」

「……」


開いた口が塞がらない……とはまさにこの事か。


「言わないでおこうかとも思いましたが……
 あなたを揶揄うと楽しいと言っていました」


あいつ……!


「あ、でもあなたが心配だったのは確からしいです。
 月くんと寝室に下がった後、覗きに行ってましたし」

「L……それ以上言わないで下さい。立ち直れなくなりそうです」

「すみません。けれど……きっとまたいつか、会えますから
 文句はその時本人に言って下さい」


私は、風下に向かって立ち、抱えていたノートを手に持った。


「いいえ。何もかも忘れます。私はノートを、」


捨てます、と言いながら投げると、白い紙束は風に乗って面白い程に飛び
やがてビルの下へ消えていった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「……あれ?」


誰でも、いきなり覚えのない場所に立っていたら、こんな声が出るだろう。
だが辺りを見回すとLも夜神もいたので、一先ず安心する。

そして、白い表紙のノートの事を思い出した。


「……と言う事は、やはり本物のデスノートだったんですね」

「そうだ」


私はデスノートを拾い、計画通り破棄した……筈だが、
ここは、Lが建てたビルの屋上らしい。
何故ビルから出てすらいないのだろう。
外で二度と使えないようにして破棄するのではなかったか?


「死神は、現れましたか?」

「はい」


でも、Lも夜神も、何とも微妙な表情だ。
私が聞けば説明してくれるだろうが、自分達からは何も言うつもりが
ないらしい。

なら、聞く必要はないという事だ。


「デスノートは、確かに破棄出来たんですね?」

「それは間違いないと思います」

「なら、寒いので戻りましょう」


エレベーターの鏡面扉に映った自分を見て、そう言えばこんな格好を
していたと改めて思った。
まあ。見られたのは死神なのだから問題ない。


「……」


しかしよく見ると、片頬に何か黒い物が付いていた。
掌でこすり落とすと、どうもチョコレートのようだ。

Lや夜神に気づかれていないと良いが……いや、それはあり得ないな。
言ってくれればいいのに。
というか一体どうしてこんな所にチョコレートが付くのだろう。



部屋に戻ると、自分のドレスが入っていたダンボールの山が目に入って
うんざりする。
そう言えば、この上鬘だのヘッドドレスだの付けると言っていたな。
おもちゃ屋の代償にしては、高い気もしてきた。


ふと見ると、足元に白い羽根が落ちていた。
拾ってみると、先が焦げている。


「どうした?」

「これ……どこから来たんでしょう」


私が見た死神の翼は黒くて、どちらかと言うと蝙蝠に近い物だったし
それとも、私か夜神の衣装の飾りか何かか?


「おい、ニア、」

「……不整脈です。少し、胸が苦しい、」


何だろう。
焦げた、羽根を拾った途端に、胸が……
血圧は前回の健康診断で正常だった筈だし、まさかこの年で心筋梗塞……。


「夜神?」


夜神が、いきなり私を抱きしめた。


「やめなさい。何なんですか」

「いや、苦しいのなら、こうしたら少しは気分が楽にならないかと思って」

「なる訳ないじゃないですか!」


全く……何を考えているんだ殺人鬼のくせに。
余計に心臓に悪いだろう。


「それに……気分で言うなら、何故か非常に軽いです」


そう……何か、どこかに引っかかっていた小さな小さな棘が……
自分でも、そこにあるとも気づかなかった程の棘が、
抜けてみると思いがけず楽になるような。

あるいは、夢見の良かった朝のような。

そんな、体の軽さを感じる。
一体、何故だろう。
デスノートと何か関係があるのだろうか。

まあ、それは考えても仕方がない事だが。


「今なら、あなたと出掛けるのも悪くないと思えます。
 お腹が空きました。お昼ごはんは外で食べましょうか?」



夜神は、笑いながらホテルのランチとファーストフードとどちらが良いか聞いてきた。


私は、ファーストフードと答えた。





--了--





※横文字シリーズの中では少し異色です。
 リクエストもののボツです。

 前の話の終わりで月とニアが変装する、という流れになっていまして
 悩んだ末、ニアはロリータファッションに決めてありました。
 で、そのままメロを登場させたので変な感じに(笑)

 この後も何事もなかったかのように話は続きます。


 一応リクエスト内容を書きます。(リク主さんご了解済)



"原作通りに死んだメロが、死後死神になって

(レムが死んだりジェラスが死んだりで、死神が少なくなった為、
最近死んだやつの中でいい奴いるー?ってなった死神大王に
シドウが、"めっちゃ怖いやついるー"って進言して例外的に決まった

いきさつはシドウから、生前の自分や状況についてはシドウを通じてリュークから、
紆余曲折の後、ある程度聞いた)

生前の記憶はないが因縁はあるらしいし
とにかく暇なので、取り敢えずニア(と、リュークが言っていた)の目の前に
メロの持つ白いデスノートを落として、硬直するニアとLと月…。

結局、一般人に渡されるのは危険すぎるので、話し合った結果ニアが妥当と考え、
ニアが所有権を持つことに ーメロと対面ー??

…複雑すぎて絶句するニア(でも嬉しい)と月と、少しの応答の間に死神になっても
性格と頭の回転が変わっていないことに気付き、面白く感じているL"


※メロのビジュアルは、メロが思うかっこいい感じの皮服とか適当に。
顔はヤケド痕のある時の顔。眼は黒。髪色、髪質は変わらず。
パッと見、人と大差ないが、黒い爪は死神っぽく尖ってて、背中には焦げた天使の羽が(mihaelだし)ある。

※あくまでもメインは、 2人の微妙だったもやもや関係がなくなって、
何となく執着してた生前のメロへの気持ちがスッキリした、
思春期(遅れ気味)の青い(比較的)ニア です\(^o^)/


 出来れば横文字シリーズとの事で挑戦してみましたが、我ながら無茶でした。
 でもリクエスト頂けなければ書かなかった話、
 通った方のリク文にはない、月とメロの絡みも書けて大変楽しかったです。
 ありがとうございました!






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