ラプラスの悪魔 11
ラプラスの悪魔 11








夜になり、部屋に戻ったが竜崎は昼間の話には一切触れなかった。
僕も、いつものように文句を垂れる事も出来ない。

何故なら、既に選択肢は僕に委ねられたからだ。

この膠着状態から、僕はいつでも抜け出せる。
Lに、キラじゃない事を証明させてくれと言って、ミサや火口に会うだけ。

だたそれだけの事なのに……僕は、決断できなかった。


「竜崎」

「はい」


いきなりだが、何の話か分かったのだろう。
竜崎は覚悟を決めたような顔でシンプルに答えた。


「僕がキラだという、証拠を見せてくれないか?」

「そんな物はありません。あなたの記憶の中に鍵はあるはずです」


そうだな……客観的に証明出来る証拠があれば、こんな事はしていない。
ただレイ・ペンバーが調べていた数少ない者の中に、僕がいた。
バスジャック事件で会ってもいる。
それに、竜崎には言っていないが、南空ナオミに最後に会ったのは、僕だ……。

そして。
受験生時代だけでなく、大学に入ってからも、度々ある記憶の欠落。
見た風景は覚えていても、その時の自分の気持ちが思い出せない不安。


「えっと、キラが死刑囚を使って寄越したメッセージの写真って
 まだあったっけ?」

「ありますが。覚えてますよね?」

「ああ……でも一応」


  えるしっているか 死神は りんごしかたべない


何度見直しても、記憶と同じだ。
他に解釈はない。


「因みに、これはフェイクでした」


  手が赤い


……ああ。知っていたよ。
おまえが最後に出してきた一枚、これはLが作った物だと、
何故か僕は「知って」いた。

そして、火口が語り、ミサがビデオで送ってきた、「死神」という言葉。

と、僕が何故か、何度もリンゴを大量に買った、記憶。
あのリンゴ、どうしたんだ?

果物籠に入れた事もあったけれど……僕は、食べていない。
一度や二度なら、まだしも。
こんなに何度も。


誰かの罠だと、思いたい。
記憶を操作されているのだと。

だが客観的事実と記憶に相違がある場所はなく。

僕が自分がキラでないと言い切れる根拠は、
自分の記憶だけ、という現実は、全く変わらなかった。



「竜崎」


気がつけばLは、両手をポケットに突っ込んだまま、僕の顔を見つめ続けていた。


「ベッドに行こう」

「はい。分かりました」


時間が一日巻き戻ったように、Lは素直に答えて着いてくる。


「服、脱ぎますか?」

「ああ……」

「はい。分かりました」


言って、思い切りよくTシャツもジーンズも全て脱ぎ捨て、
昨日と全く同じに、ベッドに横たわった。

昨日と同じ、白い身体。
昨日と同じ、赤く垂れた陰茎。

僕も誘われるように、全て取り去ってその足の間に膝を突く。


「……自分でも、どうしてこんな事をしているのか分からない」

「怖いんですよ、きっと」


そうかも知れないな。
自分で自分が分からない、信じられないという体験は初めてだが
Lが唯々諾々と従ってくれると、気が晴れた。
「はい分かりました」だけでない事にも。

僕が萎えたままなのを見て、Lが身を起こす。

それから……掌を舐めだして、予想通り僕の性器を手にした。


「なんか……悪いな」

「……」


Lは答えず、ちらっと上目遣いに僕を見て作業を続行する。
やがて。


「もういいですか?」


僕が十分勃起すると、Lは無造作に言って僕が頷くと共に横たわり、
少し腰を持ち上げて自分でクッションを入れた。

「良いか」などとは今更聞かない、自分の物に手を添えてそこに当て、
背中に入った力を少し緩めると、少しの抵抗の後、
なめらかに内部に飲み込まれていく。


「……っく……あ……」


Lが、昨日は上げなかった呻き声を上げた。
慣らさなかったせいだろうか。
それでも、何度か胸を上下させて荒い息を吐くと、だんだん落ち着いてくる。


「大丈夫?昨日は、入れても勃起してたけど」

「あ、あなたにも、味わわせて、あげましょうか?
 前立腺を、中から刺激される感覚」

「……いや。いい」


苦しげに顔を顰めながらも、Lはどこか冷めているように見えた。
どこか他人事で。
何となく苛々して、そのペニスに手を当てる。


「な、なに、」


戸惑ったように言うのを、無視して入れたまま扱き始める。
だんだん硬くなってきたので、少し腰も動かしながら、刺激を続けた。

しばらくすると、さすがのLも、身を捩りだす。
歯を食いしばり、大きく見開いた目の縁に、涙を溜めて。


「や、夜神くん、」

「何?」

「も、早く、イッて、下さい」

「そう?中に、出して良いね?」

「……はい……分かりました」


Lのペニスから手を離して腰を抱えたが、Lは萎えなかった。
見ていると両腕を顔の前でクロスさせ、表情を隠す。

動き続けていると、声を殺して、呻いていて。
僕が達した後も、その陰茎の先端からは、とろりとした汁が溢れ続けていた。






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