ラプラスの悪魔 8 思わず止まり、Lの顔を見ると、Lも目を開いて少し驚いたような顔をしている。 「何?」 「十二時に、なりました」 「ああ」 ……ゲームは、終わり。 僕の誕生日も、Lの誕生日プレゼントも、終わりだ。 だがLがタイマーを掛ける程、一日の終わりを待ち望んでいたのかと思うと 何だか可笑しい。 そしてこの、男同士でベッドの上で重なり合って…… おまけに、片方の尻に片方のペニスが入り込んでいる状況。 Lが、僕の言葉に「はい分かりました」と答えなくて良くなっただけで、 何も変わらないのだけれど。 意識も連続しているのだけれど。 まるで魔法が解けたかのように、何をやっているんだ……と、我に返ってしまった。 Lも、同じ状態なのだろう。 だが、僕は勃起したままで。 Lの中を感じていて。 「……ええっと。どうする?」 「すぐに抜かなかった所を見ると、最後までするつもりなんですね?」 「まあ……そうかな。良い?」 「仕方ないですね……」 何だか……「はい分かりました」でないL自身の言葉を聞くと、 急に生身の人間になられたようでどうにも照れてしまうが。 僕は、出来るだけ何も考えないように、腰を動かし続けた。 射精すると、搾り取ろうとするかのようにLの中が動くのが感じられた。 「本当に、男に慣れてたの?」 「そんな訳ないじゃないですか」 事後、ずるりと抜くと何とも言えない空気になって。 無言でバスルームに向かうと、Lも手錠に引きずられて着いてきた。 僕がシャワーを浴びている間も、トイレに座ってじっと僕を睨んでいる。 「もしかして、初めてだった?」 「何がですか。という前に、Lの情報はいかなる事も教えられません」 いつも僕が一人で怒って流されて…… こんなにLがあからさまに不機嫌なのは、初めてかも知れない。 「でも、まさかの予言通りだな」 「予言ではありません。計算による、限りなく『知っている』に近い予測です」 「僕が、誕生日だから外出させろと言い出す所から予測していたのか?」 「いえ……そこまでは。ただ、あなたのフラストレーションの溜まり具合、 その解決を色々考えると、他の展開はありませんでした。 既に殴り合っただけでは収まらないようでしたし」 Lを一番痛めつける方法……。 確かに、議論しても殴り合っても、カエルの面に水の男に、多少なりとも 屈辱を与える方法となると、少し考えるな……。 自分のデメリットを押してまで、僕がそれを実行するかどうかは微妙だが……。 実際、僕は実行した。 僕の性格を、僕よりも読んでいるL。 ラプラスの悪魔説を、多少信じたくなる。 ……僕が、キラだという説も。 「L……おまえの予言では、この先、僕はどうなるんだ?」 「予言は託宣ではありません。 材料が集まっていなければ、何とも言えません」 「なら。未来を占うのに、必要な情報は?」 「あなたが、真実を知る事です」 「……」 えらく普通の事を言うな。 真実って、おまえの言う、僕がキラだという話か? 言ってやりたくなったが、その「真実の口」のように真っ暗な目を見ていると 何となくぞっとして、何も言えなくなった。
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