King and Queen 3
King and Queen 3








前から感じていたが、どうも夜神は私の役に立たねばと焦っている。
特に意味も期待もなく頼んだニアの世話や滞在の支度に全力で取り組み、
予想を遙かに上回る成果を上げているのがその証拠だ。

そして更にハードルの高い仕事を待ちこがれてじっと見上げてくる、
これだけ見れば本当に忠犬らしい。

その裏に何を隠しているのかは分からないが。
最悪自分の体を差し出してまで私に尽くそうとする、その真意は何だろう。


「大体、あなた無理でしょう。男とするなんて」

「おまえはどうなんだ?僕に勃起できるのか?」

「正直……分かりませんね。基本男性は無理という事にしたいですが、
 可能性はゼロではありません」

「嫌な気の持たせ方をするね」


そう言いながらも余裕を伴った笑みを浮かべているのが
何故か気に障った。
もう、私は安全な人間か?油断しても良い相手なのか?


「……なら、確かめてみましょうか」

「え?」

「0か1か。はっきりしておいた方が後顧の憂いがないでしょう。
 私を気持ちよくさせてみて下さい手だけでいいですから」


予感はあった。
私が戯れに言った「ニアの世話係」をあっさり受け入れたように、
このまま夜神が私を受け入れてしまう可能性は低くない。

それでももし、困惑した顔の一つでも見せてくれたら白星一つだ。


「嘘だろ?明日は取引だぞ?」

「だから何です?」

「いや、コンセントレイションを高めておきたくないのかと思って」

「へえ……あなたでも、心の準備が必要な時があるのですか」


白々しい、凡人のようなセリフを吐く夜神に嫌味の一つも言いたくなる。
入試の日もその前の日も、全く緊張した様子を見せなかったくせに。
数え切れない程の監視カメラの前でも、平然と殺人を行った癖に。


「私は、あなたにとって何なのですか?」


誘惑したり拒んでみたり、一体何がしたいんだ?
何を企んでいる?夜神月。
おまえにとって私は、どんな利用価値があるんだ?

夜神は、不愉快そうにも困っているようにも見える眉の寄せ方をした。


「……それは、おまえが決める事だろう。
 おまえは僕をあの穴蔵から出して、ここまで連れてきてくれた」

「はい」

「何故だ?おまえにとって僕は、一体なんなんだ?」


喧嘩腰にも聞こえるが、その表情は心底不思議に思ってもいるようだった。

『公私に渡って私のサポートを頼みたい』

以前そう伝えた筈だが、それだけでは不足なのだろうか。

私にとって夜神は何かと言うと……やはり、「有用」な人間だとしか。
彼はこれからルークにでも、もしかしたらクイーンにでも化ける。
上手く使えれば生涯キング(L)を守り続け、キングの為に死ぬだろう。

逆に敵のクイーンにでもなられたら、厄介なことこの上ない。
どうしても手元に置いておきたい駒の一つだ。


「本音で言っていいですか?」

「ああ」

「飼い犬……飼い慣らしたい犬、ですかね」


わざと屈辱を与える言い方をしたが、鼻白んだ顔もせず
真面目に頷いた。


「ならばおまえは、僕の飼い主だ」

「飼い主の言うこと、聞けますか?」


夜神は少し目を見開いた後、一つ私を睨んで上半身を起こす。
いきなりバスタオルをめくって、私の陰茎を掴んだ。


「痛いです」

「我慢しろよ」


言いながらも手を離し、一旦私の性器に触れた手を、躊躇いもなく
ぺろぺろと舐めた。
犬呼ばわりした事に対する嫌味か。

それから再び私に触れ、見下ろすと白い四本の指が
萎えた茎の上を行ったり来たりしている。
それはどう見ても男性の指で、しかも動きは機械的だった。
本当に私を勃起させるつもりがあるとは思えない。


「……勃たない?」

「顔を、上げて下さい」


俯いて、私の股間に顔を向けていた夜神の顎に指を掛ける。
少し抵抗があった後、渋々私に顔を見せた。
屈辱のせいか羞恥か、その目の淵は少し赤らんでいる。


「私、当時からあなたの顔だけは、割と好きだったんです」

「……ああ、そう」


美しい、ある意味女性的とも言える夜神の顔。
キラの顔。
それが屈辱を強いられて歪んでいる様を見ると、
嗜虐的な興奮があった。


「ほら。硬くなってきました」

「おまえって変態っぽいよね」

「変態と言えば、私を変態呼ばわりしたミサさん。
 彼女もなかなか可愛かったので、あの事件は目の保養にはなりました」

「そんな目で彼女を見ていたのか?」


彼女を想像して勃起してしまうかと言えば、そんな事はない。
しかしそう思って貰った方がまだマシだった。
夜神の手で、それを完全に認識している状態で、勃ったと思われるよりは。

……だがきっと誤魔化せてはいないだろう。


「そう言えばあの人、死神と二回は目の取引をした筈ですよね。
 一回で本来の寿命が半分になるんですよね?今もお元気ですが」

「彼女は二回、死神に助けられてもいる。聞いた話では助けた死神の命が
 彼女に乗るらしいから、当分は死なないんじゃないかな」

「そうなのですか……では、ワイミーの命も、
 彼女に乗っているという事になりますね」

「……そうなるね」

「それは、長生きして貰わねば」


弥海沙は、第二のキラであったが個人的には嫌いではなかった。
愚かで、良くも悪しくもとても女性的で、真っ直ぐで。

私を敬いも恐れもせず、友人だと言ってくれた女性は
英国女王と彼女だけだ。






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