Violence 4 外には白塗りのセダンやキャデラックが並んでいる。 そしていかにもなヤクザ者が、マシンガンを構えて数人下りてきた。 「ヨンイ!永夏はどこだ!」 「あの車の裏ですが、ちょっと待って下さい。 もう一人怪しい男が一緒だ」 「怪しい男?」 「永夏のボディガードのようですが、警察と繋がってるような話もしていました」 脈絡もなく、突然マシンガンが連射される。 夜神と私はそれぞれ前輪と後輪の後ろにいたが、弾が当たってパンクしたのか、破裂音の後車体ががくんと傾いた。 「万事休す」 夜神が呟いたので目を遣ると、こちらを向いてニヤリと笑う。 「一度言ってみたかったんだ」 「え、言った事ありますよね?死んだ事もあるし」 「おまえだってあるだろ!」 「今度はこちらが時間稼ぎをする番ですね」 私は声を張り上げた。 「どうしてこの場所が分かったんだ!」 夜神が顔を逸らして、肩を震わせる。 自分やヨンイも含め、あまりにもステレオタイプな台詞の連続に絶えきれなくなったのだろう。 「GPSって知ってるか?」 馬鹿にしたような物言いに、私も思わず苦笑した。 「……ヨンイの携帯か!しくじりましたね」 相手に聞こえるように言うと、今度はヨンイが声を張り上げる。 「形勢逆転だ!いくつか聞きたい事があるからまずは出て来い! 出て来なかったら、このまま車ごと蜂の巣だ。 嘘を吐いたりしても、撃つ」 威勢の良いことだ。 だが、こちらもこのままではいられない。 「どうします?」 「それは、ご自由に。 永夏としては出る訳には行かないだろ。頭を出した途端に殺される」 「まあそうですね」 銃を夜神の方に滑らせて渡し、両手を上げて車の影から立ち上がる。 いくつものマシンガンの銃口がこちらを向いていた。 「永夏もだ」 「永夏は……出たら殺すでしょう?」 「どちらにせよ1分も違わないぞ?」 その時。 微かな振動が、倉庫の蛍光灯を揺らした。 不審な顔をしてこちらを見た男達に、人差し指を口に当てて見せる。 素直に口を噤むと、やがて振動はバタバタと大きくなり、倉庫の外が明るくなった。 「何事だ!」 「ヘリ?」 「誰だ!」 風に煽られて、倉庫前に駐められたキャデラックが微かに揺れていた。 「どうします?今の内に逃げます?」 「何故? だってあれ、おまえが呼んだんだろ?」 「ええ、まあ」 タタタタタタ…… ヘリの中からいきなり機関銃掃射されたらしく、六人いたマシンガン隊の内三人が吹き飛んだ。 残りの三人は慌てて銃を捨てる。 ヨンイや腕抜け、ボスらしいコートの男も両手を上げた。 一際強い風が吹いて微かに地面が軋む。 倉庫の外の車の向こうに、黒いユーロコプターが現れていた。 やがて中からマシンガンを構えた軍人のような男が二人下りて来る。 ヤクザ達の武器を回収すると、手早く縛り上げて行った。 「ま、待て!これは一体どういう事だ! 私を誰だと、」 ボスが言いかけるのに、軍人が無言で銃口を突き付ける。 その時ヘリの中から、帽子を被り白いワイシャツに地味なスラックスの中年の男が現れた。 その辺の公園で散歩をしている老人のような出で立ちだが、雰囲気がただ事ではない。 「あ、あんたは、」
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