Second contact 4
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とは言え、勿論本当に本人が狙われている可能性も十分ある。
また、殺人ターゲットがまだ残っている確率も低くはない。

もう一度洪秀英のメールを見直していると、その洪から追加メールが届く。
現在知りうる限りの高永夏のスケジュールと動きだ。
本当に気の利く男だ。


「来月末、交流棋戦の為に来日するんだな。
 その時会ってみるか?」

「ナシでしょう」

「何がだ?」

「関係者と直接顔を合わせるのが、ですよ。
 あなた、前回の囲碁界連続死事件で目立ちすぎました。
 模木さんと松田さんに生きている事がバレているのをお忘れなく」


夜神は、眉をぴくりと寄せると聞こえよがしに溜め息を吐いた。


「さっき僕の韓国語能力検定しなかったか?」

「録画や録音を聞かせた時に私が通訳する手間があるかどうか確認しただけです」

「……なら、どうするんだよ」

「普通に、韓国に繋いである“犬”に調査をさせ、その結果を元に推理します」

「嫌だ」

「はい?」

「い・や・だ。自分で調査したい」


思わず目を見開いて凝視してしまう。
夜神は、堪えきれないように噴き出した。


「……ええと。もしかして、我が侭なのが可愛いとか思ってます?」

「僕はお前に可愛がって貰わないと生きて行けないんだろ?」

「はぁ……でもキラですし可愛くないですよ。イラッとします」

「タイで確信したんだけど……」


夜神は椅子から立ち上がり、私の椅子の背に手を掛けて屈んだ。
鼻が、私の耳に触れそうに近付く。


「おまえは結構、バカな女に弱い」


……は?

思わず向き直ると、夜神は笑いながら顔を離した。


「なんですって?」

「思えばキラ事件の時もミサには甘かったしな」

「甘かったら拘束監禁なんかしませんけど」

「それはお前の趣味だろ」


頭が痛くなる。
下らない誤解をされた物だ……。

いや、「誤解した振り」が夜神の策略か。

下らない。


「……手放しませんよ」

「ん?」

「私を怒らせて『好きにしろ』とでも言わせようと考えているのなら無駄です。
 ミサさんの真似でも何でもして下さい」

「……」

「バカな女の振りをしているあなたも面白いですし。
 それに、」


まだ私の椅子の背もたれに手を掛けている夜神の、尻に手を回して引き寄せる。


「私がミサさんを気に入っていたと仮定するならば、ミサさんを抱くようにあなたを抱いていいんですね?」


夜神は笑いながら、頬を引き攣らせる。


「……興味深いね。でも」

「いくら犬でも噛み付くのはなしですよ?平手打ちも」


夜神はこっそり振り上げようとしていた手を下ろした。


「分かった。考えればおまえが女性とどんな関係を持っていたのか僕は全然知らないな。
 いいよ、抱けよ。僕をミサだと思って」

「バカな女に弱いとは思いませんが、私、女性には優しいですよ?」

「……それはそれで怖いな。でも、その代わり」


するりと腕を私の肩に回す。
再び耳元に口を寄せて、囁く。


「ミサのお願いを聞いて?」






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