ジャンク・ノート 4
ジャンク・ノート 4








「竜崎。こうしよう。セックスっぽい事をしよう」

「はい?」

「さわりだけ教えてやるよ。ついでだから」

「はあ。よく分かりませんがよろしくお願いします」


出来る、僕なら出来ると踏んで出した言葉だが、受け入れられるとやはり
「断れよ!」と思ってしまう。

僕は取り敢えずパジャマのズボンと下着を完全に足から抜き、
少し迷ったがやはり上だけ着ているのも間抜けなので全て脱いだ。

竜崎に目をやると、人差し指をくわえて踞ったままこちらをじっと
見つめていたので「寝ろよ」と敢えて微妙に居丈高な口調で指図する。


「後は竜崎は力抜いててくれるだけでいいから」


ゆっくりと押し倒し、竜崎の足の間に膝をつくと、また深い穴のような目と
目があった。

は虫類っぽい……僕は変態だ……。
僕が男じゃなくても、コイツと何か性的な関係を結ぼうとするのは
変態くさいと思った。
人間扱いしない訳じゃないが、獣姦ぽいというか何だか猟奇的だ。

そこまで思っているのに、やはり萎えない自分にも幻滅する。
心は萎えまくっているのに、体がそれを裏切る。
そんな自己に向き合いたくなくて、竜崎の目をそれ以上見ていたくなくて
体を倒して竜崎の首の辺りに顔を押しつけた。


「月くん……」

「なに」

「愛しています」

「……pardon?」

「あいしています」


中学の頃から英語は満点以外取ったことのない僕が、
知らない英単語を言われたのかと思って思わず聞き返してしまったじゃないか。

いや、いやいやいや。それよりいきなり何を言い出すんだコイツ。


「と、言うのではないのですか?このような場合には」

「……いや、別にいいから。普通に本音で話してくれ」


気持ち悪い小芝居をするな。
少しでもドキッとしてしまった僕の気持ちを返せ。


「そうですか。この際男でも我慢してやるから早く気持ちよくしやがれ。
 少しでも痛いことしたら即蹴り入れるぞ」

「……」

「です。本音は」


本音すぎるだろ竜崎……。
そんな事言われたら萎えるぞ普通。
……萎えてないから言わないが。

でも僕が自分のと一緒に竜崎の物を握った時、微かに身を捩らせたのには
やはり初心者なのだと感じさせられた。

可愛いとまでは言わないが、乱暴なことをするべきではないと思う。


「性欲処理だから、気にしないで」


優しくするのと、多少の優越感を示す意味を込めて囁く。
男とこんな事をするなんて僕だって初めてだが、
片手で握っておかないといけない以外はいつも通りで良いと思った。

ゆっくりと腰を動かすと、毛が挟まってざりっとしたが
お互いの亀頭がすれ違う時にぶるっと身震いしてしまう程の快感が走った。
唇とも舌とも指とも違う、得も言われぬ丁度良い刺激。


「あ、ちょっ、月くん!」

「気持ち、良い?」

「はい!ええ、とても、気持ち、」


竜崎は淡泊そうに見えたが、快楽を追う事には意外にも貪欲らしい。
良い所に当たれば、恥ずかしげもなく気持ちよいと訴えてくる。
プライドが高そうだったが、僕に追い上げられている事に関しては
別に良いんだろうか。


「ちょっと、ごめん……腕が疲れたから休む」

「私、持ってます。月くんは両腕を突いて下さい」


でもだから、竜崎とのセックスもどきはそれなりに楽しいものだった。
こんなに積極的に協力して自分の感じた事を教えてくれる女の子に
出会ったことがない。


「ああ、ん、月、くん、気持ち良いです」


竜崎の長い指が、いつも汚そうに物憂げに、しかしいつまでも
甘い物を口に運び続けている指が、しっかりと自身とボク自身を掴んでいる。
ぬらぬらとした感触の、竜崎と摺り合わされて
何とも言えない倒錯的な快感があった。


「竜崎、ねえ、そろそろイク?」


一層硬くなって震えた事から、限界が近いことは分かった。


「いく?よく……、分かりま……あっ、」


竜崎は突然痙攣して、白濁をぶちまけた。
僕ももう近かったので、頭で自分の体重を支えて竜崎の腰を掴む。
スパートをかけると、竜崎のぬめりがぐちゃぐちゃと卑猥な音を立てた。
竜崎はぐったりしていたが、律儀に僕の物を握り続けていてくれた。






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