男前Lお題---コスチュームプレイ 4
男前Lお題---コスチュームプレイ 4








「意外、だな」

「何がですか?」

「ヤガミが、男同士のセックスに、慣れてるなんて」

「ご冗談を。昨日も言いましたが男に興味ありません。
 こんな事をするのも初めてですよ」


じゃなきゃ、もう少し上手くやれる。
今度はもっと柔らかく握り、ゆっくりと、優しく動くと
やがて僕だけでなくLも、木の枝のように硬くなってきた。


「ああ……気持ちいい、ですよね?」

「……うん。まあ」


動いている内に、Lのジーンズがずり下がって、自分の尻も
露出してしまった感触がある。

このまま出したら、汚れるな……。
まあLの服だから良いか。

ああ、僕のシャツは脱がせよう。
Lに掛けられる前に。

動きながらLの胸に顔を埋めると、懐かしい家の匂いがした。


「ああ……ワタシの匂いだ……」

「本っ当に変態だな、ヤガミ」


答えず、片手でシャツのボタンを外して行く。
やはり見慣れた自分のシャツであるせいか、現れたのがまるで
自分の肌のようだった。


「やっぱり確信したよ。筋金入りのナルシストだな、ヤガミ」

「リュウザキくんはどうなんですか?自分に抱かれるのは」


Tシャツの袖を持ち、手首でその目を隠す。
今Lは、視界を塞がれ自分の匂いに包まれている。


「ワタシ、ワタシを抱くのはかなり好きかも知れません。
 ……興奮します」


声の違いが目立たないように。
敢えて囁き声で耳に吹き込むと、Lの背が大きく反った。

人の事、言えないだろ?
おまえだって自分に、自分の服を身に着けた男に抱かれて喜んでる。

ボタンを外し終わり、はだけたシャツ。
現れた乳首をぺろりと舐めた後、軽く歯を立てた。


「ああ……自分を抱いたら、こんな感じなのかも知れませんね……」


思わずうっとりと言うと、Lは大きく身震いをして僕を凝視した。


「本当に、自分が一番、なんだな……。
 世界中で自分が一番正しいと、思ってるんだろ?」


それからLは、昨日乱れたのが演技だという言葉を証明するように、
無表情に、声を殺して達する。

だがその耳と頬は、妙に生々しく紅潮していた。







……何やってるんだ僕は……。


自分も出した後、仰向けに横たわり、足を開こうとして思うように開けなかった時。
自分が、Lのジーンズを半脱げで穿いている事に気づいた時。

我に返って、僕は落ち込んでしまった。


「ごめんヤガミ。おまえのシャツ、汚してしまった」


なのにまだ、相変わらずアナウンサーのようにはきはきと夜神月を演じ続けるL。
寒すぎる……。


「……もういいよ。僕の真似は」

「そうですか?なら、今晩も私の勝ちですね。
 改めてすみません。クリーニングに出しておきます」

「ああ……」


全く。
最中は気にならなかったが、Lの服を着てLの口調で喋りながら
Lを抱いたなんて、どう考えても前代未聞の変態だ。

Lが僕のシャツを脱いだのを見て、僕もLのTシャツを脱ぐ。
ついでにジーンズも脱ぐ。
一刻も早く、元通りに戻りたかった。

全裸になると、普段はそこはかとなく心もとなくなるのだが、
今回に限っては酷く落ち着いた。


「どうしました?夜神くん」

「いや……我ながら変態くさすぎたな、と。
 落ち込んでるんだ」

「まあそうですね」


Lはあっさり肯定した後少し考えて、再び口を開いた。


「でも夜神くん、私が頭を下げたからと言って約束を守るなんて、
 まだまだ人が良いですよ。
 私なら何度か『嘘です』を繰り返して遊びます」

「……ああ、そう」


褒められたの……か?
全く嬉しくないし、第一変態くささのフォローにはなっていない。


「竜崎は?こういうのって……ちょっと自己嫌悪に陥らないか?」

「私は、楽しかったです」

「マジで?!」

「マジです」


今回は自分が救いようがないと思ったが、もしかしたら
Lの方が気持ち悪い人間なのかも知れない。性的に。


「プレイが、ではなく、ゲームとして楽しかったという意味です」

「お互いの真似が?」

「はい。夜神くんにとっては暇つぶしでしょうが、私にとっては
 命懸けのゲームです。面白くない訳がありません」

「……普通逆じゃない?
 リラックスしてる方が楽しめるだろ?」

「いいえ。遊びは真剣にやればやる程楽しいんですよ。
 命を賭けて遊んだ事のない人には分かりません」


あるさ。
……と思わず言いそうになって思いとどまった。

確かに、キラを追い詰めようとする、Lとの駆け引きは楽しかったが。
記憶を捨てるにあたって、全て自分の計算どおりに進む事に人生を賭けた時は、
背筋がゾクゾクする程興奮したが。

命懸けのゲームをした事が「ある」と言えば、Lはその内容について
必ずしつこく問い詰めてくる。
嘘を吐いても、僕の言葉の少しの矛盾をいやらしく突いて、キラを暴こうとするだろう。

ゲームを止めて、つい一息ついた所でまた罠だ。

全く。
おまえといると、本当に退屈しないよ。



「それに、緩い格好をして指を咥えている夜神くんは
 なかなか可愛かったです」

「……」


Lは、これまで我慢していたのを取り戻そうとするかのように小さく体を丸め、
肩を竦めて激しく指を吸っていた。


「私ももしかして可愛いですか?」

「おまえ本当はバカだろ」


……考えすぎか?
Lは、単に野生的に思いついた事を次々言っているだけなのだろうか。


既に相手を出来る気分でもなく、殴る気力もなく、
僕は背筋を伸ばして、自分の服を出すべくクローゼットに向かった。





--了--





※真面目に遊ぶバカ二人。

 それにしても物凄く読みにくかったと思います。ごめんあそばせ。
 名前まで入れ替えると完全に月とLを間違えるので(自分が)
 入れ替えずカタカナにしました。

 月「ねえリュウザキくん」
 L 「なんだヤガミ」

 という感じ。





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