男前Lマニアックお題---「縛り 2」 「夜神くん……すごいですね」 何が、と思ったが、どうももぞもぞと腰の辺りを動かした所を見ると 僕が既に硬くなり始めているのに気づいての事らしい。 「それとも元々ゲイですか?」 「だったらどうする?」 「私には全くそう見えませんでした……自分の見識のなさを反省するばかりです」 「安心しろ。全くそうじゃないから」 言いながらTシャツを脱がせる。 Lは為すがままで、まるで幼児の世話をしているようだった。 「では、どうやってコンセントレーションを高めているのでしょうか? 私自身は、今からセックスをするとはとても思えない精神状態です」 「……ただ、僕とおまえの子は、さぞや優秀な頭脳の持ち主なんだろうなと 想像しただけだ」 「気持ち悪いです夜神くん」 隈のある能面のような顔でそんな事を言われてもな。 と思うと少し笑いそうになり、部屋の四隅を見る振りをして顔を逸らす。 「この部屋、今誰かに監視されてる?」 「いいえ。最重要容疑者を監視できなくなったので、カメラは 全て切ってあります」 「良かった」 僕は、先ほどまで僕の手に繋がっていた手錠を取り上げた。 そのままLの手首を掴んだが、抵抗する様子も訝しむ様子もない。 だが少しでも動作が澱めばそこでストップが掛かりそうで。 急ぎすぎないように、しかし躓かないよう、細心の注意を払いながら Lの骨ばった手首に手錠を掛けた。 「……」 Lは不満げでもなく、怪しむでもなく、初めて手錠を見たかのように ただまじまじと自分の手を見つめる。 寝かせたまま鎖をベッドヘッドに通し、反対側の手にも手錠を掛けると、 Lは軽く万歳をした形のまま動けなくなった。 「夜神くん……私を放置して、逃げたりしませんよね?」 「しないよ。このまま写真を撮って、第二のキラに送ってお前の名前を 見て貰うだけだ」 「……」 「怖い顔するなよ、冗談だよ。こういうの、好きだろ?」 「仕事以外で縛られるのは好きではありません」 「そう?監禁とか緊縛とか大好きなのかと思った」 どうせ後数日の命なんだ。 こいつにどう思われたって構わない。 普段しないような下世話な物言いをすると、Lは今日初めて小さく笑った。 「この期に及んで仮面を取りますか」 「何が『この期』か分からないけど、誰でも沢山の仮面を被ってるだろ? 僕の仮面をいくつ剥がしても、『キラ』は現れないよ」 「一応、全部剥いでみて下さい」 「おまえも同じだけ仮面を取るのなら、考えても良い」 「……」 Lが、笑いを消して僕をじっと見つめる。 ……どうしてそんな、Lに興味があるような事を言ってしまったのか。 勝者の余裕なのか、あと少しで失われる「L」の頭脳、パーソナリティを 惜しんでいるのか。 自分でも意外だった位なので、Lはもっと驚いたのだろう。 「それは、面白いですね……。気が変わらない内に続行しましょう。 他人にするのは嫌いじゃないです」 「何が?」 「監禁とか緊縛」 僕はついに吹き出してしまった。 Lが、こんなにも簡単に個人的な性癖を暴露してしまうとは。 いや、これも嘘か? 「余裕だな。じゃあ、一つ縛りを作ろうか」 「どうせ拒否出来ないんですよね?」 「ああ。男とのセックスなんて、余程のお楽しみがなければやっていられない」 「……分かりました」 Lが不承不承頷くのに、下半身がズキズキする程興奮した。 あの、Lが。 鬱陶しくて仕方なかったLが、脱がされ、拘束されて 僕の意のままに頷く。 こんな、無防備な状態のままで。 ……まあ、カメラを切っているという言葉も信用出来ないので、本当に殺しはしないが。 僕にキラの記憶が戻ったと考えているとしたら。 自分の命と引き換えにしてでも、僕がキラである証拠を掴もうとするだろう。 Lならば。 だから、あのワタリという老人が監視していたら、何らかのリアクションを せずにはいられない程度には苛めてみようと思う。 「自分で外す仮面は信用出来ないから、まず、何か聞かれたら必ず答える。 勿論お互いに」 「はい。夜神くんはキラですか?」 「違う」 「必ずしも正直に答える必要はないという事ですね?」 いきなりか……。 Lらしいと言えばらしいが。 「おまえね……まあいい。 とにかく、答えられなかったら、その時点で負け」 「……夜神くんにとっては、セックスは勝ち負けなんですか?」 「ああ、そうだね。スポーツみたいなものだろ?」 「また一つ、仮面が剥がれて来ましたね。 ティーンエイジャーが何言ってやがるんだと言いたくなり……」 Lの言葉が途切れたのは、僕がジーンズを脱がせに掛かったからだ。 ゆるいそれは、Lの協力もあってスムーズに脱げた。 どちらも「用意スタート」などとは言わない。 だが、ゲームが始まっているのは、お互いに分かっていた。 「という事は、おまえは経験豊富なんだ?」 「いいえ。ゼロです」 「……」 「黙らないで下さい。取りたくない仮面を取ったんですから」 「仮面じゃない。童貞っぽいなと思ってたから案の定だ」 「今の酷い言い草であなたは三枚、私は二枚、ですよね?」 「ああ。また何か白状しろよ。 そうだ、セックスがスポーツじゃないとしたら、おまえにとって何なんだ?」 トランクスを脱がせながら言うと、Lは黙った。 童貞である事が明らかになった後となると、常識的な内容であろうが 粋がろうが何を言っても無様になる。 Lは考えた後、ぽつりと答えた。 「……定義するまでもないもの。私の人生には必要ないもの、です」 「性欲はどうする?抜きたくて苛々する事、あるだろ?」 「あまりありませんが……そういう場合は自分の処理で十分です」 「気持ち良くない?」 「普通です」 何が普通なのか分からないが、Lは性的な話題が苦手らしい。 常に飄々と余裕たっぷりに見えたLにも、こんな不得手があったと思うと ますます可笑しかった。 思わず調子に乗って性器に触れると、中空を睨んだ後目を閉じる。 自分から持ちかけた以上、意地でも抵抗したりはしないだろうが 服を脱ぐ以上の協力をするつもりもないようだった。 「見ろよ」 「嫌です」 「拒否るんだ?」 「……分かりましたよ」 Lは無表情のまま目を開けてゆっくりと顔を上げ、自らの足の間にある 僕の手を見つめる。 男の股間……できれば手袋でもはめたい位だが、そうも行かないので ハンバーグの種でも捏ねているつもりで揉みしだいた。 「僕の手、男にしてはきれいだと良く言われるんだ」 「同感です。その手でデスノートに、」 「女の手だと思えよ」 遮りながら意図的になまめかしい仕草で、小指を立てながら茎をさすると、 だんだん硬くなって来る。 意外にもLは、こういう場面では素直だった。 「勃ってきたね」 「……屈辱です」 「セックスする精神状態に、なってきた?」 「なりません。なるつもりもありません」 僕の攻撃を防御する一方で、全く反撃出来ないLに、 また性的興奮が高まる。 Lと出会って、知恵を絞りあう欺き合いは楽しかったが ワンサイドゲームもやはり悪くなかった。 「夜神くんは、女性ともこういうセックスをするんですか?」 「こういうって?」 「相手を縛って、言葉で弄るような」 「するもんか。おまえ相手だからだよ。……足、開いて」 Lの鉄面皮に一瞬、ほんの一瞬だが、表情が過ぎった気がする。 「……怪我はしたくありません。ローションを使って下さい」 「ハンドクリームでいい?」 「何でも」 じわりと体を離し、ベッドの脇に立って改めてLを見る。 全裸で半勃ちで、ベッドに両手を拘束されて横たわったL。 着衣のまま、それを見下ろす僕。 二人の視線が絡む。 圧倒的に僕の方が有利に思えたが、Lは目を逸らさなかった。 ←クリック クロさんより手錠L絵をいただきました! 「頂き物」にも展示させていただいております。
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