帯我到月 5 ぐにぐにと押しつけられていたそれは、少しづつ硬くなって行く。 そして、その動きは卑猥になって来ていた。 「流河!」 人に気付かれる前に、僕は竜崎の腕を振り解いて振り向いた。 「おまえ、吐くならトイレにしろよ!」 「は?」 「ちょっとこいつトイレに連れて行って来るよ」 そう言って無理矢理竜崎を抱え、座敷から出る。 僕に凭れ掛かっていた竜崎は、廊下に出ると共にしっかりと立った。 「おまえ……酔ってなかったのか?」 「何がですか?全然ですけど」 「じゃあ日本人の血が入っているっていうのも嘘か?」 竜崎は怪訝な顔で僕を睨んだ。 「……どうやって調べたんですか?」 「ええっ!自分で言ってたけど!」 「まあトイレに行きましょうか」 思い出したのか、本当に酔っているのか、竜崎は唐突に話を変えて 僕の腕を引っぱった。 「録音室?」 「ああ、ここで良いんだよ」 「良くありません。トイレに行きましょう」 僕が扉を開けると、中は中々広い洋式トイレだった。 「これは……」 「はいはい、吐くなら吐く、用を足すなら足す」 「とんち……ですか?」 「そうそう。日本の昔の看板にはそういう駄洒落が結構あったんだよ。 録音室というのは、」 「言わないで下さい。自分で考えます」 「ちょ、」 言いながら、何故僕のベルトに手を掛ける! 「何するんだ!」 「って抜いてくれる為にトイレに連れてきてくれたんですよね? それとも口でしてくれるんですか?」 「おまえ……やめろよ!」 「騒いだら外に聞こえますよ? 時間が掛かったら誰か来るかも知れませんし」 「っ!」 こんな所でする気には、とてもなれない。 「絶対に、嫌だ」 「そうですか?私に逆らって無事に済むとでも?」 「おまえ、僕の事好きだって言ってなかったか?」 「好きですよ?好きですし好きに出来ますので好きにします。 足を切って、手で這うあなたにも倒錯的な魅力があるかも知れませんね?」 「……」 全く。 やっぱりこいつは頭がおかしい。 「分かった。家に帰ったらイイ事してやるから、今は勘弁してくれ」 「イイ事とは?」 「今までした事ないような事。おまえが気持ちよがるような事」 「……良いですね。挑戦的です」 「だろ?」 竜崎は目を細めて、頬を緩めた。 「分かりました。なら、今は手で結構です」 「……」 結局するのかよ! 僕は溜め息を吐いて竜崎を便器の前に立たせ、後ろから抱くように ペニスに手を回す。 しばらくくちゅくちゅと弄んだが、竜崎は射精しなかった。 「……相変わらず、手はお尻ほど物覚え良く無いみたいですね」 「なら自分ですれば」 「お尻、口、手、やはり性器から遠ざかるほど理性が邪魔するのでしょうか」 そう言って僕の手に自分の手を重ね、殆ど自分で刺激して 便器の中にぼとぼとと白濁した粘液を落とす。 萎えると共に勢いよく放尿して、僕は口や尻でしなくて良かったと 心の底から思った。 「おかえりー長かったね」 「流河くん、もう大丈夫?」 「はい。出す物出したら回復しました」 出す物って……心の中で呆れたが、竜崎は平然と元居た席に座り、 京子さんに日本酒を注いで貰う。 僕はトイレで癇性に洗った手を、更におしぼりでごしごしと拭った。 「そろそろ時間なんだけど、会計3000円ね」 「オッケー。この後どうするー?」 「あ、私帰ります。夜神くんも」 竜崎が勝手に手を挙げたが、アケミがこれまた勝手にその手を押さえる。 「一人で決めないの!カラオケ行こ!カラオケ」 どうやらアケミも酔っているようだ。 元々気の弱い子ではなかったが、明らかに年上である竜崎に こんな言葉遣いをしたのは初めてだろう。 「いいねー。高田さんも行こうよ」 体育会系に誘われた高田が、困ったようなポーズで耳に髪を掛けながら しんねりと僕を見つめる。 「どうしようかしら……夜神くんはどうする?」 「夜神くんも行こうぜ」 眼鏡の大塚が僕の肩に手を置いて言った途端、竜崎がコップを置いて 突進して来て大塚にタックルした。 「な、なな何!」 「いえ。男になら絡んで良いって言ってたじゃないですか〜」 「いやいやいや!」 押し倒されて眼鏡を飛ばされた大塚は足をバタバタさせていたが、 「分かったから、な?カラオケ行こ?ボックスで寝たらいいから」 竜崎を宥めて起き上がった。
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