ディナー・ショー 2 ああ……とても気持ち良かったです。 月くん。 あなたは、女役としても最高です。 多分、そこいらの本物の女性でも太刀打ち出来ないんじゃないですかね? またさせて下さいね。 じゃあ私、シャワー浴びてきます。 ……と思いましたけど、あなたは勃起したままでしたね。 私、下手でした? よく考えれば、あなたは私に入れてイかせてくれたのに、 私はあなたをイかせられなかった。 屈辱ですね。 再トライして良いですか? って今突然起きられたら怖いですけど。 まあ、良いです。 せっかくローションたっぷりついてるんですから、入れさせてあげますね。 意識がないのに、当てがっただけであなたの、もうびくびくしてますよ? 月くんは拒んでいたようですが。 体は正直というやつです。 私も大概疲れてますけどね。 上で動いてあげますから、適当にイッちゃって下さい。 入れますね。入れますよ? ……ぅわ……。 ちょっと、奥まで入っちゃいましたね……。 さすがに痛……、 あ。 ……すみません。またキてしまいました……。 別にあなたの体に満足しなかった訳ではありません。 出したばかりなのに、条件反射というやつですかね。 おなか一杯でもケーキを目の前にすると口の中に涎が溜まります。 大好物のお菓子が、元気が良いんだから応えなくてはと思うんですかね、 私の体が。 まあ、デザートという事で。 別腹仕様です。 って月くん、全然協力してくれないんですね。 まあ良いです。私も意地です。 何がなんても射精していただきます。 でも私より先に達ったら承知しませんよ? ……って、本当に寝ているようですね……。 仕方ないです。 ちょっと自分でやってみましょう。 ……こうして、尻に太い物を入れたまま擦るというのも、また。 入れる感覚とは違いますが、自分で少し動きながらすると 最低限の労力で……っ、……出、た……。 ……う〜ん、我ながら早いです……。 でも時間短縮にはなりますよね。 というか、受け容れ担当の場合は、夜神のペニスさえあればいい? 夜神の動きは不要……? ・・・・・・・・・・ 僕の経験にはあまりない、不快な眠りではあった。 固い床。 落ち着かない頭。 寒いわけではないが、大切な場所が外気に曝されている、 どちらかと言うと不安な開放感。 嫌な夢を沢山見た気がする。 訳の分からない赤い海に溺れて、漸く砂浜に打ち上げられたと思ったら イグアナの群れに取り囲まれて体を食い破られて、内側を荒らされた夢。 ある時は僕は羽をもがれて木の枝に横たわっている虫で。 巨大な蜥蜴……カメレオンがどんどん近づいてきた。 その動きが止まったと、安心した途端に柔らかくて意外と暖かい 舌に絡め取られた、そんな夢。 半分夢だと分かっているのに、目覚められない、焦燥感だけが募る眠りから 救い出してくれたのは差し込むような腹痛だった。 「う……」 体中がだるい。 けれど、どうしても起きなければならない。 腰が重い。 便意を耐える為に肛門括約筋を締めると、鋭い痛みが走った。 腹の上が、内腿から臀部にかけてが、糊が乾いたようにぱりぱりする。 そのまま這うようにしてバスルームに向かおうとすると、左手の鎖に 引っ張られた。 それだけの事で。 ……思い出した、昨夜、気を失うまでの、夢うつつの体験を。 意識が覚醒してからの僅かな時間。 あれは夢だったのだと納得していたが、時間が経つにつれ 夢でなかった確率が上がって来る。 精神力にはかなり自信があったのだけれど。 やはり、男にされた、しかも中に出されたかも知れないと思うと ダメージが大きい。 体に力が入らない。 眩暈がする。 だが。 鎖の先に、ベッドを独り占めしてすやすやと眠る男を見た時、 僕の中で何かが弾けた。 突然、四肢に得体の知れない不随意な力が漲る。 怒りの表情を浮かべるべきだ、と思いながらも 表情筋が言う事を聞いてくれない。 もう少し静かに、エレガントに動いた方が夜神月らしい、と思うのに 足が勝手にどすどすとベッドに上る。 僕は無表情のまま、竜崎にまたがってその首に手を掛けた。 しつこく言うが、僕の意思じゃない。 「ぐっ……ラ、ライトく、」 「おはよう。竜崎」 「キ……ラ……」 わき腹に、ガリッと爪を立てられて我に返る。 思わず腕を緩めると、竜崎は体を丸めてごほごほと大きく咳き込んだ。 「遠隔殺人可能なキラが……まさかこんな原始的な方法で……」 「違うって。何度も言うが僕はキラじゃない」 「そうですか?なら、気をつけて下さい。 ちょっと気持ちよくなってしまったではないですか」 軽く殺人未遂だと思うけど、気をつけて下さい、で済むのか……。 放心しながら考えるともなく考え、それでもその事によって 頭が冷えてくる。 手を握り、開くとだんだん体が自由に動くようになってきた。 考えるのは、後だ。今はとにかく、 「バスルームに行きたいんだ。起きてくれるかな?」 無理矢理笑顔を作りながら言うと、竜崎は仕方ないですね、と体を起こす。 ベッドを降りると、テーブルの上のワインと転がったままのグラスが目に入った。 こめかみの上あたりがズキンと痛む。 このグラス、は。 ……真夜中だというのにきっちりとタイをした老人、 その向かいに立つ全裸の竜崎、 八等分されたケーキ、 高級そうなラベルの貼られたガラスのボトル、 倒れたグラス。 回る視界。 ……その時は。 ただただ、いくつかの風景がスクリーンショットのように流れただけだった。 視覚野以外は真っ白だった。 本当に何も考えていなかった。 なのに。 気がついたら、竜崎を殴り倒していた。 急激に動いたせいでまた血が巡り、頭と尻が割れるように痛む。 蹲る竜崎を視界の隅に入れながら、僕も蹲っていた。 しばらくして竜崎が、顔を上げて物問いたげに僕の方を見る。 ……もしかして、昨夜は何もなかったのか? 全て僕の勘違いか? そう思わせる表情……いや、この状況からはそれはあり得ない。 殴り返して来ないし。 「……何か、言いたい事はあるか」 「……」 何か偶然作り出された状況と、自分の夢が一致したという1%の可能性。 に怯えながら期待しながら低い声で言うと、竜崎は親指をくわえながら しばらく考えていた。 やがて。 「……ご馳走様でした」 「っ!!」 僕はもう一度殴ろうと、思い切って腕を大きく振りかぶったが 下半身に力が入らずそのまま崩れてしまう。 また、頭が……。 「月くん、無理はしないで下さい」 「うるさい……」 それでもこの忌々しい手錠のせいで、竜崎と一緒にバスルームに入らねばならず、 僕は竜崎の肩に縋らせて貰ってずるずると歩いた。 腹が痛い。 「……僕がおまえにレイプされたと言えば、手錠生活は終わるな」 「終わるでしょうが失う物が多すぎませんか? 私だってあなたにされた事を公表しますし、捜査本部は混乱するし 夜神局長は心労で倒れるでしょうし、キラ捜査に差し支えますよ?」 「レイプした事は否定しないんだ?」 「二人きりの場であなたの主観に文句をつけても仕方がありません」 トイレを済ませ、冷たい壁に凭れて熱いシャワーに当たっていると 竜崎が珍しく気を利かせたのか、僕の体を洗ってくれた。 腹と竜崎の掌の間でローションが(ローションだよな)ぬるつきを取り戻し、 そして流れ落ちて排水溝に吸い込まれていく。 「……でも、さっき殴り返して来なかったよな」 「はい。昨夜はフルコースを頂きましたので」 「……」 頭が痛い。 だめだ、頭部に血を上らせると、また二日酔いが。 冷静に。 冷静にならなければ。 「……ははっ。僕は頂かれてしまった訳か」 「ええ。頂いちゃいました。月くんの誕生日が沢山あると良いと思います」 「……」 わざと僕を怒らせようとしているのか! だが、僕がつまらない嘘を吐いたのが事の発端なのは間違いないか……。 僕は、手を握ったり開いたりを繰り返す。 その間、もう一度竜崎を殴るべきかどうか、考えていたが 結局、その手は竜崎の髪に差し込み、出来るだけ遠くへ押しやっただけだった。 --了-- ※11000打踏んでくださいました、ハナさんに捧げます。 カタカナシリーズ ◆シュガー・ボーイ◆ の続編で 【酔い潰れた月の上で自分の欲望を満たす為に奮闘するL(L、襲い受け)】 又は 【酔い潰れた月を自分の欲望を満たす為に襲うL(L、初攻め)】 いずれかを裏要素ありでお願いします。 さらに、 【翌朝、二日酔いを引き摺りながらも罵倒する月に「ご馳走様でした」とLが言う】 〇「愛してます」 〇「ご馳走」 の台詞をLに言わす。サブタイトルは『ディナー・ショー』 夜をL視点 翌朝を月視点 がいいです。 そして追加で。 できれば、せっかくのLからの初キスなので、しっかり読みたいです。 『キスと言うよりは、唇をなめまわして、タコの吸盤みたいに吸い付き、月の唇が腫れ上がるぐらいの、まさしく、¨頂いてる感じ¨のキス』 拙作でのリク、ありがとうございました! 裏要素ありというか裏だけで、しかもエロくないという申し訳なさです。 「ご馳走様でした」良いですねぇ! この、相手を人とも思っていない慇懃無礼さに 月がムカムカってなっちゃうんですよね♪ 今回の一番の悩みポイントはL視点でした。 実はカタカナのLがどういう人なのか考えてなかったんですよ。 L視点で独白となると、Lが白いのか黒いのかはっきりさせないといけないので 会話文でお茶を濁してしまいました。 キスも少し悩みましたが、どうでしょう、Lの言葉だけで リクエストいただいたねちっこい(笑)キスが表現できてますでしょうか? てゆうか全体におしゃべりすぎてかなり変態くさいLですが、 アリでしょうか。なし? ハナさん、こんなんで良かったでしょうか? ご申告&萌えるリクありがとうございました!
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