あなた、少し亂暴ぢやなかつたんですか? 5 「どうでしたか?」 お互いの息が整った後、Lが僕の顔を覗き込んでくる。 「……」 どうと言われても。 答えようがない。 射精はしたが……嫌だった。 女の名を呼びながら、僕の中に出すLに、嫌悪感を覚えた。 「セックスって、良い物ですね」 「……」 「一緒にイけて、嬉しいです。月さん」 僕は、月(つき)じゃない。 それにあんなのは、セックスじゃない。 僕の体を使った、おまえのオナニーだ。 「……嫌だって、何度も言ったのに」 「その点は、謝ります。すみません。 でも、ライトくんに言われても聞く気になりませんね」 「……」 「月さんにお願いされたら、話は別ですが」 「……」 僕は。 ゲイではないと言うLを、男を抱けるように矯正しているつもりだったが。 LはLで、僕を、月(つき)らしい立ち居振る舞いをするように調教する つもりだったようだ。 「月さん。お互い、この辺りで手打ちというのはどうでしょう?」 ……Lは僕を、手術したりしない。 その代わりに僕は、男ながらに女性である月(つき)を演じ続ける。 という事か。 「そうだね。女にされるくらいなら、大概の事は耐えられる……」 「ありがたいです」 目を細めるのに苛立って思い切り睨み付け、 「とでも言うと思ったか?!」 声を荒げるとLは、目を見開いて仰け反った。 「僕は、僕だ。体も、しゃべり方も、夜神月のままだ!」 目に力を込めてLの目を見ながら言うと、 Lも、これまで見た事がない程険しい目をした。 「ならば無理矢理にでも手術を受けて貰います。 体か心、どちらかが男でも仕方がないとは思いますが 心を譲れないなら、体は改造して貰います」 「それも断る」 「それは出来ません。あなたはキラなんです」 「……」 「ぶっちゃけ、あなたの精神を破壊した上で女性にして、 一生介護し続ける事になっても私は構いません。 廃人になった恋人を愛し続ける、それが私のリアルになるだけです」 「……」 狂ってる……コイツは、狂ってる。 「現実」を歪めてでも、自分の選択したい「真実」を選ぶ。 恐らく彼の言はハッタリではない。 本気で手術をするつもりだろう。 体にメスを入れられては引き返せない……。 今、僕に出来るベストな選択は。 「ごめんなさい……私が間違っていました。 あなたの愛を試した、私が馬鹿でした」 心の中では屈辱に震えながら、Lの手を取って俯くと。 Lは相好を崩して僕を抱きしめた。 「私はあなたを愛しています。 あなたがキラであっても」
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