Drive me crazy 3 「〜〜!」 熱く、ざらりとした舌が。 ワイズのそれと絡み、弥や高田と唾液を交わしたであろう肉が、私の口内で暴れ回る。 私も負けじと、夜神の首を捕まえて深く舌を差し入れた。 私達の事実上初めてのキスは。 甘美などとはほど遠い、お互いの領地を侵し合うような、舌同士の戦のようだった。 互いの身体に触れ合いながらの長い長い口づけが漸く終わった時。 私達の身体は二人とも熱くなり、息が上がっていた。 「ヤりたいですね」 「……うん」 「こんな風に、お互い合意の上でというのは初めてじゃないですか?」 「かもね」 「どうします?私を抱きますか? 肛門性交に慣れていないもので、不行き届きがあるかと思いますが」 特に、己の身体に執着はない。 肛門に突っ込まれたからと言って、痛みはあっても命を取られる事はないのだから問題はない。 本当にそう思っていたが、夜神は小さく首を振った。 「……抱いてくれ」 「……ゾクゾクしますね、その台詞」 「誤解するな。慣れない事に掛ける手間が惜しいんだ。 今すぐ、欲しい」 さりげなく殺し文句を言って、夜神はもどかしげにシャツやパンツを脱ぎ捨てる。 私は体勢を入れ替え、夜神の上になって、慣らすのもそこそこにその身体に突き入れた。 「っ!!」 「どう、ですか……」 「もっと、深くっ!」 「!」 「もっと、もっと、くれ……」 こんなに乱れた夜神を見るのは、初めてだ。 ニアとYB倉庫で対決した時は、相当な乱心振りだったと聞いているが。 こんなだったのだろうか。 冷静に頭の中でそんな事を考えながらも、腰が止まらない。 夜神は揺すぶられながらも半開きの口から赤い舌を見せて、上唇を、舐めた。 「しっかり、働けよ。十五万バーツ分、んっ、あ、あっ」 「勿論」 「搾り尽くしてやる」 ヤーマーは、流通していた当時は長距離バスやトラックの運転手に愛飲されていたくらいなので、錯乱作用は無い筈だが。 前後運動を続けながら、前を手で摩ってやると、暴れ馬のように腰を跳ねさせて喜んだ。 「あっ、駄目、だ……イっ、」 最後まで言えず、夜神は大量の精液を自分の腹に撥ねさせる。 動きを止めてティッシュで拭いてやると、少し落ち着いた。 「……悪い」 「いえ。これも男娼の仕事ですよ」 「さっきのキスは、反則だったぞ……」 「ではあなたとワイズのキスも反則だと?」 「……」 夜神は唇を噛んで、天井を睨んだ。 「……おまえだって。あの警官や、きれいな少年と楽しんだんじゃないのか」 「嫉妬ですか?」 「……」 「何もありませんよ、彼等とは。 プーミパットは私が真相に辿り着かないよう、ゲイの振りをして止めていただけでしょう。 プロイの方は、金の匂いがすれば誰にでもしなだれかかる」 「……」 「もう一度聞きます。それは、嫉妬ですか?」 夜神は柳眉を逆立てたまま横を向いた。 だがその頬は、赤く染まっている。 「客のプライヴェートに踏み込むなよ」 「そうでした」 「それより動いたら? 昨夜はおまえばかりが楽しんでいて、僕は全然満足していないから」 「はぁ……あなたの満足は考慮に入れていなかったので当然ですが……。 今日は、あなたを感じさせる事を最優先にしましょう」 「当たり前だ。だが今の僕は、いくらでも出来そうだぞ?」 「同じ薬を飲みましたよね?」 それでも、素直に快楽を求め、悦がって見せる夜神の姿は新鮮で。 私達は日付が変わっても繋がり続けていた。
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