クリスマス・ファンタジー 3
クリスマス・ファンタジー 3








「……監視は、どうするんだ」

「ヤりながらでもモニタチェックくらい出来ます」

「悪いけど」


確かに寝室では、寝込みを襲われたりで流されてしまう事も多いけれど。
さすがにこんな所でする気にはなれない。


「そうですか。では一人でしますので、監視の方よろしくお願いします」

「え……」


竜崎は珍しくあっさりと引き、呆気にとられる僕を尻目に両腕をクロスさせてTシャツの裾を掴んだ。
それから、どこか不器用にシャツを脱ぎ、椅子から下り立ってジーンズのボタンに手を掛ける。


「マジで?」

「気にしないで下さい」


公共の場所であるモニタルームで、僕以外誰も居ないとは言え全裸になれるなんて。
やはりどこかおかしい。


「ほら、もう大きくなっています」


トランクスから取り出した物を、手で握って軽く振って見せる。
僕は顔を顰めてモニタに視線を移した。
馬鹿馬鹿しい、付き合っていられない。

視界の隅で、竜崎はどこかからローションの小瓶を取り出す。
やがてぐちゅぐちゅと嫌な音が聞こえてきた。


「はぁ……は……」


普段の呼吸音と、変わらないのかも知れないけれど、やけに響く気がするのは先入観か。
熱い吐息がこちらにまで掛かる気がする。


「月、くん」

「……」

「月くん、こちらを、見てください」


僕はデスクを少し強めに叩いて立ち上がった。


「ちょっとトイレに行って来る」


これ以上男の醜態なんか見ていられない。
なのに竜崎は小さく噴き出した。


「抜きに行くんですか?」

「はぁ?誰が!」


思わず向き直ってしまい、否応なしに僅かに紅潮した体とぬらぬら揺れている股間が目に入ってしまう。


「興奮、してきました?」

「するわけ無いだろ」

「なら、そこで見ていて下さいよ」

「何。おまえは僕に見られて興奮する訳?」


挑発したつもりだったが、


「どうでしょう」


竜崎は微かに目を見開いて首を傾けた。


「というか、自分が興奮するかどうか試してみたいので、見ていて下さい」

「変態……」

「あなたの視線だけであなたとしているような気持ちになれるのか、自分で興味があります」

「……」


竜崎は僕の顔を見据えたまま、再び手を動かし始めた。
最初に僕が教えたように、裏筋を指の腹で撫でた後、輪を作ってカリ首を擦る。
僕は、努めて無表情を保ちながら竜崎の目を見返した。


「ああ……月くん……」

「そんな事を言ったら、まるでおまえが僕の事を好きみたいだな」


水を差すように声を掛けたが、竜崎は微笑んで喉を反らした。


「条件反射なのか……」

「うん?」

「あなたの声を聞くだけで、性的興奮が高まります」

「……ちょっと怖いね」


濡れた先端を撫でながらも、左手一本で器用にローションを出して。
椅子の上で尻をずらして、自分の尻の穴に指で触れた。


「自分で、入れるのか?」

「ええ……あなたが入れてくれないので」


長い中指が、窄まった穴にめり込んでいく。
明るい電灯の下行われる行為は、まるで何かの実験のようだった。


「あ……この辺りが、イイんです」


第二関節まで埋まった指を、小刻みに動かすと内股の筋肉も引き攣る。
竜崎の唇が少し開いて、犬歯が覗いていた。


「一本で、いいの?」


声を殺しながらも思わず尋ねると、


「いえ……」


竜崎は一旦中指を抜き、人差し指を添えて再び埋め込む。
広がった穴の薄皮が、桃色だった。


「どう?」

「んっ……え、何がですか?」

「僕としているような気持ちになれる?」

「ええ……ええ」


よく、恥ずかしげもなく悦がれるものだ。
右手では相変わらず棹を扱きながら、左手もせわしなく痙攣している。


「イけそう?」

「ええ……もう少し、」


なんだか客観的に状況を見ると、とてつもなく馬鹿馬鹿しく思えてきた。
どうしてこんな茶番に付き合ってるんだ。
絶対イかせるものか。


「ところで、サンタが来た証拠って掴んだ事あるの?」

「はい?」

「プレゼントが置いてあるだけなら、第三者が置いた可能性もあるだろ?ワタリさんとか」

「ワタリでは、ありませんよ」

「世界一の探偵たる者が、ワタリさんに対してだけは盲目なんだな。
 それって少し危険じゃないか?」

「んっ……え、と、どういう意味ですか?」

「万が一ワタリさんが裏切ったり、ワタリさんを人質に取られたりしたら、おまえも終わりだって事だよ」

「それは……」






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