Blind game 3 ズボンに手を掛けると、本気で暴れ始めた。 「なるほど。分かりました。 あなたが嫌がっていたのは私とのセックスじゃない。 快感を得る事、もしくは私に気持ちよくさせられる事なんですね?」 夜神は顔を青ざめさせ、身体を丸める。 雄弁な事だ。 「傷も治っていないのに、無理矢理突っ込みたくはありません」 「っ!」 「私はただあなたを気持ちよくさせたいだけです」 「余計な、お世話だ……」 「あなたの無私の奉仕には、愛情を感じました。 私もあなたに同じ事をして上げたい」 目を見開いて私を凝視する夜神の眼球の縁が光る。 泣いているのか……?まさか。 「本当に、やめてくれ……」 「何をですか?」 「そんな事を言うのも。これからしようとしている事も」 「あなたの言う『べたべた』って、そんなにおかしい事ですか? 辛い事ですか?」 「それは」 どこか心細げだった夜神が、ぐい、と顎を上げた。 「Lと、キラだから」 私は構わず、夜神の下を脱がせ、のしかかる。 彼はもう抵抗しなかった。 「だから?」 まだ、夜神の唾液と吐き出した精液のおかげで潤っている。 自分の性器と少し固い夜神の性器を一緒に握り込むと、彼は背を反らした。 「駄目だ、りゅう、」 言葉とは裏腹に、夜神はどんどん固くなってくる。 私は半勃ちのまま、重ねて動き続けるとすぐに先がぬるぬるしてきた。 「Lとキラだから、何だと言うんですか。 今更ロミオとジュリエットだとでも?」 「違……けど、」 夜神の葛藤する様を見るのは面白い。 肉体が、続いて精神が、順に屈していく様は見物だった。 最初から世界の大半の人間より上に立っている私には。 ライヴァルと言える者が居なかった。 居るとすれば……それは確かにキラなのかも知れない。 圧倒的に私の庇護の元にありながら、いつか立場を覆そうと今も虎視眈々と機会を窺っている私の猛獣。 だからこそ、面白い。 だからこそ、手放せない。 「……愛してますよ、月くん」 一瞬硬直した夜神が、苦しげに眉を寄せる。 「だからやめろ。そういうの」 「何故ですか?」 私は思わず口元を緩めながらわざと尋ねる。 本当は気付いていた。 「愛」だの「好き」だの、そんな言葉を口にする度に夜神が過剰に反応する事に。 「楽しいんです。あなたが敏感になるのが」 「……!」 「気付いてると思いますけど、入れている時に愛していると言うと、とても絞まりますしね」 夜神は自分が敷いていた枕を取ると、私に押しつけた。 「ちょ、ちょっと待て!ちょっと止まれ」 「嫌です」 「竜崎……!」 固い物を擦りつけあって、先同士が刺激し合って。 夜神が私の手の中で脈打っている。 私が私の手の中で、脈打っている。 「愛しているから、あなたが欲しい。愛しているから、あなたの全てを手に入れたい。 いけませんか?」 「犬……」 「はい?」 「犬のくせに、そんな事を言うな! 射精さえ出来れば、それでいいんだろう?!」 まあ……それはそうなのだが。 言葉一つでその質が上がるなら安い物だと思うのだが。 「ああ……『L』は『Labrador Retriever』という奴ですか。 信じたんですか?」 「……え?」 その引き攣った顔を見ると、本気にしていたのだろう。 まああの時はとても冷静ではいられなかっただろうから仕方が無いが。 「すみません口から出任せです」 「……ああ、そう」 夜神が腕の力を抜いて枕を横に置いたので、思い切りスパートを掛ける。 彼はあっさりと達した。 私もその放心した姿を堪能しながら、自分で扱いてその腹に掛けた。 「おまえの言う事は何一つ、信用出来ないな」 「そうですね。仕方ありません」 「というか、おまえが口にすれば全てが嘘に聞こえる」 夜神が身体を起こすと、どろりと腹の二人分の精液が垂れた。 心底嫌そうに顔を顰めながら、急いでティッシュを取って腹を拭う。 「愛していると言うと違うかも知れませんが、あなたを手放したくないのは本当です」 「……ああ、そう。っていうかどうでもいいよそんな事」 私は膝を抱いたまま、思わず笑ってしまった。 「本当にいつも過剰反応ですね」 「……」 「私があなたを愛していると発言すると、何か困るんですか?」 夜神は怒ったようにティッシュの箱を私に向かって放り投げる。 自分で拭えという事か。
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