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デルタ・カザミンVr. 「オレ、緒方さんのトコ寄るから」 そんな事を言って、進藤がひらひらと手を振った。 「ちょっと待て!そんな事、ダメに決まってるだろう」 午後から詰めていた取材からようやく解放されての第一声がそれか。 「どうして?オレの誕生日だから、今日は譲ってくれるって言ったじゃないか」 「緒方さんの帰りは深夜だ。日付が変われば終わりだぞ。 大体―――キミ、緒方さんの部屋の鍵…」 ちゃらり、と進藤の手の中で弄ばれる鍵とキーホルダーに唖然とした。 「呆れた…それ、持って来たのか?」 今朝、出掛けに緒方さんが残しておいてくれた鍵。 でもそれは外から鍵を掛けたら、そのままドアの郵便受けから中へと放り込んで おくようにと言われていたはずだ。 「いいじゃん。緒方さんも絶対に判ってるよ。オレがこれ持ち出すのなんて」 じゃあな、そうニヤリと笑って進藤が立ち去ろうとするのを、肩を掴んで引き止めた。 「ボクも行く」 「くんな、邪魔」 「緒方さんを譲ったのは今日だけだ。ちゃんとキミがその通りにするか、確認する」 大体、今日は緒方さんは大事な後援会の方達との接待漬けのはずだ。 そんな、疲れて帰ってくるのが判ってる夜に、進藤一人を行かせるワケにはいかない。 もぅ、と唇を尖らせた進藤は、けれど不意に何かを思いついたような顔をして、 「じゃあさ、」 ―――ジャア一緒ニ遊ンデ待ッテヨウゼ。 そう言って、小さく舌を伸ばして唇を舐めた。 ◆◇◆◇◆◇ ガシャン、と音を立ててドアが閉まる。 緒方さんのマンションの部屋には何度も来ているが、主の留守中に部屋に入るのは初めてだった。 少し…ドキドキする。 「あー、つっかれたー!」 勝手知ったると云った風に、進藤は背負っていたディパックを無造作にリビングのソファの上に 放り出し、自分もその脇にどっかりと腰を下ろした。 「取材ってホント、イヤになる。同じ質問の繰り返しだし、お愛想笑いはしないといけないし。 よくやるよなぁ、緒方さんもオマエもさ」 あー、と背凭れに沿って大きく仰け反る進藤の体。取材中はさすがに留めていたシャツのボタンも 今は大きく上から3番目まで外されて、晒された鎖骨の上にあるほの赤い痕を見せつけてくる。 …それは緒方さんの? 緒方さんは普段はあまり痕を残したりしない。 キスマークは所有の印。そんなもの、あの人は必要としないタチだから。 ごくたまに…ボクも強請って付けてもらったり、後はさすがにひどく煽られたりした時につけるみたいだけど。 リビング入り口に突っ立ったままになっているボクを見て、進藤がまたイヤな感じの笑みを浮かべた。 ボクの視線が向かっている先に気付いてる。 「遊んでよ、塔矢」 なぁ、緒方さんが帰るまでオマエも暇だろ? そう笑い、するりとシャツを肩から滑り落とし。 ―――緒方さんがつけた痕を自身の指でゆっくりなぞった。 カッと目の前が真っ赤になる。 嫉妬か羨望か、それとも単に進藤に対する苛立ちか。 キミさえいなければ。 キミさえボク達の前に現れなければ、ボクも緒方さんももっと穏やかで優しい関係で いられたかもしれないのに。 もしかしたら、あの人はボクだけを愛してくれたかもしれないのに。 「そんなワケないじゃん。オマエなんて、恐くて足を踏み出せなかった臆病者のくせに」 くくく、喉奥を鳴らすようにして笑う進藤。 ああ、声に出してしまってたのか。…別に今更取り繕う必要もないけれど。 そのまま進藤の体をソファの上に押し付け、噛み付くようにして、肌に残された赤い印を唇でなぞっていく。 耳元にかかる進藤の笑い声。 けれどすぐに吐息に変わる。 「ん…あっ、そこ、しつこい…ッ」 「黙れよ。遊んでほしかったのはキミだろう?」 緒方さんが抱いた体でなければ誰が。 肌の上に散らされた痕なんて全部全部消してしまいたい。 呆気ないほど簡単に進藤の体は熱をこもらせ、今にも零れ落ちそうな程に張り詰めていた。 「この、淫乱。色情狂。緒方さんでなくてもこんなに―――」 容赦なく扱き上げ、先端を乱暴に擦る。 掠れた声を上げ、進藤がボクの腕に爪を立てた。痛みに、思わず眉が寄る。 焦らす動きに、進藤は意識が半ば以上飛んでいるようだ。 …自分を抱いてるのが誰なのかも判っていないに違いない。 「あっ、やっ!―――ぁん、緒方さんッ…!」 「その名前を呼ぶな!」 酷く凶暴な気持ちで、慣らしもせずに進藤の体に押し入った。 一度ラインを超えてしまうと、どうでもよくなってしまうのか、昨夜のような嫌悪感は もう既にそこにはない。ただ目の前の体を蹂躙する事で頭が一杯になる。 もっともっともっと。 進藤は鋭い悲鳴を上げて、背を大きく反らした。胸元をボクの前に突き上げてくるようにして暴れ、 けれど逃げる体を許さずに、更に深く中へと踏み込む。 「ヤだ、痛いっ!痛いよ、待って、待っ―――ァッ!」 強引に捻じり込めば、ボク自身にも痛みが跳ね返ってきた。 でもその方がいい。あの人以外の人間から与えられる感覚なんて、 マイナスのものの方がいいに決まってる。 悲鳴を上げ続ける進藤の体を何度も突き上げて、痕の残る皮膚に噛み付いた。 「やっ、あ、あっ―――アッ、ンッ!」 不意に。 進藤の体の奥が柔らかくなり、感触が変わってきた。 なんて、淫乱な体。 好きでもない男に抱かれても、無理矢理に押し込まれても快楽を追える。 最低だ。 次第に包み込むような動きに変わりつつある進藤の内部に引き込まれないよう、 もっと乱暴に揺さぶった。 なんで、なんで、なんで。 なんでこんなヤツが緒方さんと一緒に居る。ボクと一緒に居るんだ。 そう思う自分自身も、熱に浮かされている事に気付かないまま―――。 「あッ!もっ、…――アアッ!!」 深く突き入れ、熱く絡みつく内部に放った。 「…んっ、あっ、―――ッア!」 一度到達した後も熱は収まらずに、何度も行為を繰り返していた。 時間の感覚ももうとうにない。 ボクの体の下で、陸に打ち上げられた魚のように跳ねる進藤の体。 揺れ続ける腰。体に絡みつく腕と足。 お互いに服も脱がず。いやらしい遊びを続けるボク達。 「あ」 進藤が何かに気付いたように目際に力を込める。 「緒方さん、お帰り」 ついさっき、背後で聞こえたキィと軋んだ音は、この部屋の本来の主の帰還を 知らせるものだったのだ。 動きを止めて、背後を振り返る。 「お帰り、なさい」 少し息が上がっていたが、緒方さんはそんなボク達の様子を気にも留めずにリビングを横切っていく。 視線は手元の郵便物の束に向けられたままだ。 「緒方さん。ねぇオレ、今日―――、」 ボクの体の下から逃れようと、進藤が体を捻じる。 緒方さんの所へ行かせまいと、ボクは進藤の肩を押さえつけ、細い腰奥に体を押し込む。 彼の開いた口から、嬌声が上がった。 ちら、と緒方さんの視線がようやくボク達に向けられた。 ボクの体を押し退けようと、進藤の手がボクの肩に掛かっていた。首をひねるようにして、 顔だけを緒方さんへと向けている。 快感に濡れた瞳は薄い水の膜を張っていて、点けたままだった照明の光をちかり、と弾いた。 「オレ、ッあっ、…今日が、誕、生日だったのに」 体をボクに揺さぶられながら、必死になって言葉を繋ぐ。 「…それで?」 帰宅してから初めての緒方さんの声。 少しだけ酔っているのか、珍しく揶揄い口調で機嫌がいい。 緒方さんも面白がってくれてるんだ。なんだ、良かった。 進藤はもう舌が上手く回らないのだろう。はっはっ、と犬みたいに喘いでる。 ボクの動きに体を合わせ、揺れながらも、緒方さんへ向けて手を差し出した。 「―――緒方さん、…――て」 甘えた声を出す進藤に、緒方さんは少し考えこむようなポーズをとる。 「…アキラ君に散々遊んでもらってるだろう?」 ちら、とボクの方へ向けられる視線。 嬉しくて鼓動が跳ねた。 「いいですよ、まだ『今日』ですから」 組んだ緒方さんの白い手首から覗く時計。大きな盤に嵌め込まれた石がきらりと光った。 時刻はあと10分ほどで日付を変える頃合い。 ボクも少し機嫌が良くなっていた。 どうぞ、と寛容に促せば、肩を竦めた緒方さんがボクの体の下、押さえ付けた進 藤の顔の側へと屈み込んだ。 カタカタと快感に震える手で、進藤が緒方さんの頬を引き寄せる。 「…誕生日おめでとう、進藤」 緒方さんの唇が進藤のそれに重なった時、ボクも進藤も一緒に昇り詰めていた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ※LANDの風見愁さんから頂戴しました! デルタの続きを考えて下さって、3pです(笑)。 なんでしょうねぇ。エロいですね〜。カザミンの第二の人格炸裂☆ それにしても、今回完っ璧にデルタの3人の性格をトレースして下さって! いかにもあの進藤が言いそうな事、いかにもあのアキラさんがしそうな事、 そしてデルタよりさらに男前度アップの緒方さんv 凄いな〜。私よりずっといいのが出来てるよ。 アキラさんの変な真面目さもピカの淫乱具合も大満足! 特に唇を舐め進藤、「しつこい」アキラさん、いきなり部屋に誰かいて事に及んでいても 気にしない緒方さん(笑)萌えまする。 あと緒方さんが帰ってきても継続な若先生は凄い。肝の据わり方が違います。 誕生日と言うことで最後は緒方さまのお言葉と甘〜い・・・キスだけかい! ちょっとピカ可哀想でしょうか。 誕生日をまるまる一日アキラさんと過ごしてやりまくりって、オガピカとしてどうなんでしょうか(笑) んなこと萌えましたんでいいんです。 とても嬉しかったです!ありがとうございました! |
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