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呉越同舟 あ〜あ。うぜえ連中だ。 今日は「高校囲碁部交流大会」とやらで海王高校の体育館に大勢の高校生が 集まっている。 集まって碁を打っている。 そして何故かその場にオレもいる。 中学の囲碁大会のようなもんらしいが、代表のトーナメント制ではなく 各校のメンバーが籤でペア碁を打つ、っていう、ぬるいものだった。 さすがに受験を控えた者もいるので熱くならないように気を使ってるんだろう。 同じ高校に行ってる筒井に例によってメンバーが足りないから加賀も出てくれと頼み込まれたはいいが・・・。 面白くねえ。 海王の岸本あたりと当たれば、などと考えてたんだが、何かやたら弱い女の子たちと当たっちまって、 数手で勝負は見えたような気がしたが、どこまで弱いのか全然投了してくんねえし・・・。 大体ペア碁ってなんだ! なんで筒井と二人組で交代ごうたいで打たなきゃならねえんだ! 面白い布石を考えても気付かねえであっさり潰しやがる。 敵は碁盤の向こうではなく隣にいるって感じだ。 こんなんだったらオレ様をかり出す必要ねえだろ!と横目で筒井を睨んだが、 もう勝ってる碁を一心不乱に考え込んでいる。 ・・・たまんねぇな。 ってことでオレは機嫌が悪かった。 『午後からはお待ちかねのイベントです。若手プロ棋士をお呼びしていますので、 なかなか見られないプロの生の対局をお楽しみ下さい。 多少企画を考えていますので手元の番号札はなくさないで下さいね。』 昼食時間に入る前に、海王囲碁部らしい女の子がマイクで呼びかけた。 プロを呼ぶとは、さすが金持ち高校、やることが違う。 だが、もうオレはうんざりしていた。 「おい、筒井。帰るぞ。」 「待てよ!加賀。」 「もう対局は終わったから用はねえだろ?」 「ダメだよ!一応閉会式までいないと。」 「だってオレ碁のプロの対局なんて興味ねえし。見たかったら家でテレビで見るっつーの。」 「進藤くんなんだよ。」 「はあ?」 「今日来るプロって、進藤くんなんだよ。」 「・・・ほう。」 「ね?彼の成長した姿も見たいだろ?」 「・・・ってこともねえけど。」 久しぶりにからかって見るのも面白いかも知れない。 という程度の気持ちだった。 それがまさかあんな事になるとは。 昼休みが終わる頃には巨大な九路盤が前に立てられ、マグネットの碁石が用意される。 ざわざわと席を並べて、全員前を向いた。 やがてざわめきの中進藤が入ってきて、先公たちに挨拶をしていた。 あいつ・・・スーツなんか着て、大人びたな。 まあそうは言っても中身はそんなに急に変わる訳じゃねえから関係ねえけど。 と、少しだけ遅れて、もう一人入ってきた。 ざわめきが大きくなる。 あれは・・・塔矢アキラ? ・・・よくあんなの呼べたな。忙しいだろうに。 ああでもアイツ確か付属の海王中の出身だった。 『お待たせしました!皆さんご存知の北斗杯で活躍された塔矢プロと進藤プロです。』 マイクを持った女生徒が前に立った進藤たちを紹介すると大きな拍手が湧く。 進藤より更に落ち着いた(元々だけどな)塔矢が、ソツのない謙虚風の挨拶をした。 ・・・ムカつく。 未だにガキん時の感情を引きずってるのは自分がガキだからだと思う。 でも、アイツだけはダメだ。 トラウマってんでもないけど、多分何の関係もなくても好きになれないタイプっての? いいライバルだと思えている間はいい。 でも、そうではないと思い知らされた瞬間から。 「好きになれない」は簡単に「嫌い」にシフトした。 今までの短い人生であんなに「負けた」と思ったのはただ一度。 これほど関わりたくない、と思う人間もただ一人。 進藤とは違う。 進藤はどっちかってえとオレと似た種類の人間だからな。 多分塔矢とは性格合わないだろう。 「悪い。オレやっぱ帰るわ。」 「え、どうして?」 「塔矢の顔見てたらなんかムカついてきた。後で進藤によろしく。」 「そんな、待ってくれよ〜。」 席を立つオレの学生服の裾を筒井が必死で引っ張る。 いい加減にしろ、と言おうと思ったときに、マイクの声が一際高く響いた。 『53番!53番の方、前に出てきて下さい!』 「あれ?ボクが54だから加賀は53だろ?」 連られてポケットの中の四角い厚紙を取りだしてみると、正にそこには油性ペンの「53」の文字。 「行ってきなよ。」 「・・・ったく。」 面倒で仕方なかったが、既に周りの数人がオレ達の会話を聞いてこっちを見ている。 オレは仕方なく前に出た。 『いらっしゃいました!ラッキーな53番の方!』 てゆうか、何でオレがこんな目に。 単にプロ同士を対局させても面白くないので、生徒の中で籤に当たった者と 例の「ペア碁」(この言葉だけでなんかイラつく)をさせるつもりらしい。 それで海王の生徒が解説者の真似事みたいなんをしようという企画らしいのだ。 前にはオレ以外に既に、頬を染めた女の子が出ている。 ・・・れ?確か、同じ中学だったような? その隣では進藤が、少し目を丸くした後ニッと笑ってオレに向かって軽く手を挙げた。 『はい!ええっと学校とお名前は?』 『東高の藤崎です。』 『西高の、加賀。』 『ああ、では東対西で正に竜虎の対決になりますね!』 ・・・んだよ。海王ではこーいうしゃべりが受けるわけ? でも、コイツらが当たらなかった所を見ると、他校サービスで海王の奴らは当たらないように なっていたのかも知れない。 にしても奇遇だけどな。この場にいる4人の内3人までが同じ中学出身だなんて。 『ではペアを決める為にあみだくじを引いて下さい。』 あみだくじと言っても二択だ。 何の文化祭ノリなのか、模造紙に書かれた寂しい線路を観客の前で辿っていく。 ・・・頼む。神さんでも仏さんでもいいから。叶ったら一日禁煙してもいいから。 ぺろりとめくり下ろされた端に、隠れていた一本の横線。 ・・・最・悪。 『それでは塔矢プロと加賀さん、進藤プロと藤崎さんのペアで対局していただきます。 憧れのプロとの手合わせ、緊張するでしょうが出来るだけ相談はしないで下さいね〜。』 誰が憧れだよ。誰が緊張すんだよ。 藤崎は進藤と楽しそうに、碁と関係ない友達の近況なんかを話している。 オレはオレで、こうなっちまったもんは仕方ねえかと遠い筒井に向かって肩を竦める。 「・・・今日はよろしくお願いします。」 静かな声に振り向くと、男の癖にさらさらと髪を揺らして小さく頭を下げられた。 オレの事なんて・・・覚えて、ねえか。 ならまぁやりやすいけど。 「あの、」 「何。」 「ボクの事、覚えてますか?」 ・・・ちっ。覚えているも何も。 「小学生の時、少しだけ同じ囲碁教室に通ってました。」 「ああ。」 「強かったのに急に止めてしまったから引っ越したのかと。」 「引っ越したんだよ。」 将棋に。 テメエのおかげで。 っつーかさ。自分がぶちのめした相手に、よくそんな事言えるよな。 やっぱりテメエは天然でヤな奴だ。 「よお。」 「加賀ー!こんなトコで何やってんの?」 こんなトコって、聞こえるぞ海王の連中に。 「いや、筒井に頼まれてな。」 「また?変わってねー!」 「テメエこそプロになってちったぁ落ち着いたかと思えば。」 「落ち着いてたっての。」 「加賀さん、お久しぶりです。」 「ホラ、囲碁部にいたあかり。覚えてる?」 「ああ。だけどこんだけ人数いて顔見知りが集まるとはな。」 「ホンット。なんでここまで来て今更あかりと組む事になるわけ?」 「ひっどーい!」 僅かな時間のくだけた会話に、塔矢が眉を顰めたらしい。 「あ・・・ごめんなさい、塔矢くん。」 「いえ。」 マジ感じ悪りぃ奴だな。 進藤も同じように感じたのか、少し顎を上げた。 知ってるメンバーに1人塔矢が混じっただけで、とにかくつまんねーと言うか、 妙な気まずさがあるんだよ。 こうなったら早く終わらせるしかねえか。 進藤と塔矢の実力が拮抗しているのは確かだから、 この勝負はそのまんまオレと藤崎の実力の差になるはずだ。 また女相手かよ・・・。今日は女難か? まあしかし、それはそれで始まる前から結果は見えているようなもんだ。 ちゃっちゃと終わらせて進藤とちょっとくっちゃべって早く帰ろう。 オレは隣の塔矢は無視して、対局に集中することにした。 先番は向こう。 打つ順番は藤崎、オレ、進藤、塔矢。 藤崎が一手目を、打った。 おかしい・・・。 藤崎の打つ手は、全く妙手じゃない。良くて無難な手、悪ければ悪手と言えるようなものだ。 オレと比べたら、悪いが一対一なら相手にならない位弱いと思う。 だが・・・ 『これはいい勝負ですねぇ。やや進藤プロチームの方がいいでしょうか。 可愛い人とペアを組めて張り切ってらっしゃるんでしょうかね〜。』 ムカ・・・ツク。 隣で塔矢もイラっとしたのが分かった。 膝に置いた左手の指に、僅かに力が入る。 へっ。ポーカーフェイスがどうしたんだよ。っていい気味がってもいられないか。 中盤に差し掛かる頃になっても素人目にすら形勢は五分、以下。 オレのせい?とは思いたくないし、んな訳ねーし。 一体・・・。 と思っていたら、進藤の打った手をしばらく見つめた後、背もたれに寄りかかって 腕組みをした塔矢がぽつりと言った。 「ああ・・・キミは藤崎さんと結構打ってるんだな。」 「そ。」 進藤が、上目遣いに塔矢を見てニヤリと笑った。 あ。 な、る・・・。 進藤は藤崎の棋力も手筋も知っている。 だから先読みしやすい。 藤崎のつまらん一手を、生かすような碁を打つことが出来る。 だが、塔矢はオレの打ち筋をほとんど知らない。 オレが囲碁教室を止めた時のガキのままだったら何とかなったかも知れないが、 あれからオレは本格的に将棋を学び、碁の戦い方も変則的になったかも知れない。 しかも下手にそこいらのシロートより強いから、読みづらいんだろう。 事実さっきから塔矢とオレは味方同士で潰し合ってる所がある。 ペア碁ってのは、相手1人じゃなく、自分以外の3人全員の手の内を読まなきゃならねーってわけか。 面白くなってきたじゃねえか。 そうと分かったら、オレが無難な所に置くようにして塔矢がそれに気付けば勝てる。 だが、オレは・・・そんな碁は打ちたくない。 オレが合わせる必要なんてない。 テメエの方がオレに合わせろよ、塔矢。 これは、ハンデを背負った進藤と、オレの、勝負だ。 『あ、なるほど。ここに来てさっきの布石が生きてきた訳ですね。 これは誰も気付かなかったんじゃないでしょうか。加賀さん、さてはかなりお強いですね?』 オレが苦労して敷いた布陣を、塔矢に潰されなくて良かった。 さすがに何かあると気付いたのだろう、オレとは違う辺を攻めている。 いや、ボクはボクで勝手にやらせて貰います、か? 塔矢を横目で見ると、無意識にだろう、オレを軽く睨んでいた。 自分で気付いて慌てて目を逸らす。 逸らした先は、進藤。 今度は進藤を睨・・・んでるというより? ・・・何だ?あの表情。 敵意、というよりは、憐れむような・・・いや、違う。どこかが痛いような・・・。 進藤は気付かずに藤崎に向かって何か言っていた。 オレの頭の中に疑問符を残したまま、対局は進んでいく。 『進藤プロ、切り込みましたねえ。』 くそっ。これじゃあ一手置きに打ってるようなもんじゃねえか。勝ち目ねえ。 塔矢も恐らく同じ事を思っているに違いない。 「ペア碁って初めてだけど、結構面白いよな〜。」 のんびり藤崎に話しかける進藤を、凄まじい目で睨み付けた。 やっぱコイツら、プライベートでも仲悪いんだろうな、と思う。 棋力の拮抗した、因縁のライバル同士。何もかも対照的な二人。 絶対に負けたくない。 意思が、ビンビンに伝わってくる。 「だー!何でそっちなんだよ!見落としてる!」 「何よお。しょーがないじゃない。」 「オマエもうちょっと強くなってろよ〜。」 「今のは偶々だって。でも、ヒカルなら何とかしてくれるでしょ?」 藤崎が甘えるように進藤を見上げる。 進藤も満更でもなさそうに、でもそれを隠すように敢えてそっけなく「まーな。」と答えた。 ガキめ、と思いながらも何となく微笑ましい。 「考えてる?」 不意に声を掛けられて隣を見ると塔矢が・・・、 目から炎の出そうな勢いでオレを睨んでいた。 「・・・おい、お遊びだろ?何熱くなってんだよ。」 「どんな対局でもボクにとっては真剣勝負です。」 「いやまあそうだろうけどよ・・・。オレにやつあたりすんな。」 ・・・何気なく言った言葉だった。 当てずっぽうだった。 塔矢が「何に」苛ついて、オレに当たってるかとか、そんなことは全く考えていなかった。 だが、無表情を保ってオレを見返した塔矢の、ピクリと震えた下瞼。 ・・・本当にやつあたりだったのか。 一体何に怒ってるんだ?進藤?何故? 目を逸らして前を向いた塔矢は 「絶対に、負けませんから。」 オレにだけ聞こえる小さな声で、呟いた。 相変わらず藤崎が打った下手な石を進藤がフォローし、こちらはこちらでてんでバラバラに打っていたが、 慣れてオレの筋が分かってきたのか、塔矢が邪魔をしなくなって来た分有利になってきた。 それに、何故か塔矢がイライラしているのを感じるとオレは逆に落ち着き、 何とか勝つ方向に意識を向けることが出来るようになる。 しかし・・・ここに来て気付かずにいられないが、どう考えても塔矢の心を乱しているのは 「進藤と藤崎」 なんだよなあ。てってもアイツらの碁じゃ、ねえだろう。 こんなことでいちいちムカついてたらプロ棋士なんてやってらんないはずだ。 対局中に女とチャラチャラしてるのが気に入らないとか? いや、それ程でもない。アイツらは元々友達なんだから馴れ馴れしくて当然だろう。 それとも・・・ 愛用の扇子をバッと広げ、口元を隠しながら塔矢の耳に吹き込む。 「アイツら、デキてんのかよ?」 途端に塔矢の髪が逆立った。ように見えた。 扇子の陰でゆっくりとこちらを向き、怖いくらいの至近距離で、 このオレですらたじろぐ程の強い目で刺すように見る。 「それは、絶対に、ありません。」 思わず気圧されて扇子を畳む。 な、なんだ? 『はい!塔矢プロと加賀さん、アヤシイ雰囲気ですよ〜。相談はしないで下さいね。』 マイクの声と会場の笑い声に我に返って正面を見ると。 何故か今度は進藤がオレを睨んでいた。 ええっ?何だってえんだよ、テメエら。 塔矢とオレのコンビネーションが良くなるにつれ、今度は進藤の様子が変わってきた。 もう藤崎としゃべる余裕もなく、タイトル戦でもあるまいし、といった真剣な表情で 盤上を凝視している。 形勢はまだまだ進藤側が有利。 だが・・・。 「おい。」 進藤に聞こえるように、塔矢に呼びかける。 進藤がチラッと目を上げたのを確認してから再び塔矢の耳に口を寄せ、 ワザと髪に触りながら 「進藤、さっきから様子おかしいよな?」 とごくごく小さな声で囁いた。 進藤は、高い音を立てて、周りの石を撒き散らしそうな勢いで指した。 塔矢は、無言で口の端で笑った。 それからは熾烈な戦いだった。 盤上は勿論だが、盤外戦も。 塔矢は、盤上に顔を近づけて考え込んでいるオレに、密着するように身を屈めて 一緒に考えたりするようになった。 進藤が藤崎と話せば、塔矢が乱れる。 塔矢とオレが近づけば、進藤が苛つく。 この法則に気付いていないのは藤崎だけで。 急に顔を寄せられて「オマエなら大丈夫。」などと熱っぽく囁かれて目を白黒させていた。 今、この場で一番純粋に碁を楽しんでるのは多分藤崎だろうな、と思った。 結局、勝つためにお互い少し我を折ったオレ達が5目半で勝った。 『ちぇ。今日はプロにあるまじき対局ですみませんでしたー。』 『いえいえ、とても面白い一局でしたよ。ペア碁は初めてですか?』 『はい。意外と一般の人の方がこういう面白い対局やってんですね。』 「加賀さんも塔矢くんもありがとうございました。とっても楽しかったです。」 進藤が挨拶をしている間、律儀に礼を言ってきた藤崎に笑顔で頷き返す塔矢。 でもちぃーっとばかし引きつってるぜ? 閉会式の前に学校毎に並び直す僅かな移動時間、 「あかり、来いよ。筒井さんに会いに行こう!」 進藤は藤崎を引っ張って客席の方に走って行った。 藤崎は少し気遣わしげにこちらを振り向きつつ着いて行った。 塔矢とオレは取り残された。 「・・・おい。行かせていいのかよ。」 「何故ですか?」 「オマエ、・・・進藤の事、好きなんだろ?」 「・・・・・・。」 塔矢は無表情でこちらを見上げたが、オレとしばらく目を合わせると、す、と視線を外した。 だがその直前に一瞬だけ見せた表情は恐らく、不安。 「いや別に誰にも言わねえけどよ。いつもあんな調子だったらバレバレだぜ。」 「・・・・・・。」 塔矢は一言も言い返せないでオレの第二ボタン辺りを見つめていたが、 しばらくしてやけに投げやりな仕草で前髪を掻き上げ、 「・・・疲れました。」 とだけ呟いた。 頬に視線を感じて振り向くと、遠くから殺意の隠ったような目でオレを見ていた進藤が目を逸らした。 閉会式の後、司会をしていた女に進藤たちは帰ったかと聞いたら、 まだ控え室で茶を飲んでるはずだ、との事だった。 オレ達の学校と、藤崎の学校の生徒が控え室代わりの調理準備室に向かうと、 中から 「・・・キミのあの手はなんだ!」 「うるせーよ!オマエこそ加賀の布石に気付かなかったくせに!」 怒鳴り合う声が聞こえて、思わずみんな廊下の端まで後ずさる。 「・・・やっぱり、彼ら未だにプライベートでは仲悪いのかな。」 「そうでもねーんじゃないの。」 「ねえ、加賀さん様子を見てきてくれませんか?」 藤崎が顔の前で手を合わせて縋るような目で見る。 ・・・ったく。何でオレがそんな役なんだよ。 再び準備室の前に立つと、もう怒鳴り合ってはいないものの まだ言い争うような声が聞こえる。 引き戸を少し開けたら 「・・・加賀にベタベタひっつきやがって。女か、テメエは。」 「その加賀さんがキミと藤崎さんの事を『アイツらデキてんのか』って・・・」 おいおい、何の喧嘩だよ、と衝立の向こうに回ると、 進藤が塔矢を調理台の上に押し倒してのしかかっていた。 しかも、その頭を押さえ込み、荒々しく唇を重ねている。 オレが棒立ちになっていると、先に気付いた塔矢がバンバンと進藤の肩を叩いた。 「・・・んだよ。い・・」 何か言いかけた所で進藤とオレの目が合い、凍り付く。 三人とも、しばらくぴくりとも動けなかった。 やがて 「・・・邪魔したな。」 オレが帰ろうとすると進藤が 「加賀!」 「・・・何だ?」 「あの・・・その・・・・・・ごめん。」 何が「ごめん」なんだか分からなかったが、とりあえずオレは背を向けて手を振った。 「調理は家でしろ。」とでも言おうかと思ったが、キザすぎるのでやめた。 「あ、加賀、どうだった?まだ喧嘩してた?」 う〜ん・・・。してた、と言えばしていたが。 まあここは一つ穏便に。 「やっぱアイツらプライベートでは仲悪いみたいだ。」 −了− ※20000打踏んで下さった風見愁さんに捧げるリクS 「呉越同舟」は一般に「仲の悪いものが合間見えること」と思われています。 でも本当の意味は「仲の悪いもの同士が、反目しあいながらも共通の困難に立ち向かうこと」らしいよ。 呉越、加賀塔矢でもいいし、進藤塔矢でも。 さて、リク内容は 「皆で集まってペア碁大会。〇〇&ヒカルVS△△&アキラ。そして一応ヒカル とアキラはつきあってる、と」(笑) 難儀でした。 まず付き合ってる二人ってのが、難しい。私にとっては。 てかどんなシチュエーションでペア碁! 「自分以外の人間と組んで碁を打ってる相手に ちょっと苛々してるような2人がみてみたいなーと。」 すみません、ちょっとじゃないですね。異常です。 それより何よりペア碁ってのが分からない! 勘で書いてしまいましたすみません。 こんなんで良かったかな? とにかくカザミンの期待に答えるべく強引にちゅーを入れ、 期待を裏切るべく加賀を主人公にしてみた(笑) 20000打踏んでくれて(&申告してくれて)ありがとう! ※追記。 実はカザミンて加賀スキーでもあったらしい。不覚!(笑) あと、プロがお遊びでペア碁を打つ大会もあるし、宴会で打ったりもすることも、との事。 よく考えたらそうですわな。一般人もすなるペア碁。プロがやってないはずがない! |
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