キング・オブ・プリンセス ―――何でこんな事になったんだっけ? くるくる回る視界とぐるぐる回る意識の中で必死になって考える。 だけど、空きっ腹に一気に流し込んだアルコールがちっともそれを許してくんない。 あーダメだ。何も考えられない。 ふわふわしていー気持ち。 今日は若手棋士の集まりで、 ここは越智が文句を言いながらも提供してくれた越智邸の離れのはずで、 ちょうど大阪から社も来ていたからって、とにかく片っ端から知り合いに声を掛けて皆で集まり、 賑やかに騒いでいたはずだった。 そーいや個人宅だから多少の羽目を外しても許されるだろうと、ケース単位でビールとかが持ち込まれてたっけ。 途中で数人が帰ったけれど、この場で沈没している人間も何人かはいるはずだ。 あ、そっか。オレも潰れちゃったのか。 「へーえ、随分気前いいのな」 妙に弾んだ声がした。和谷の声だ。随分近い。 同時に着ていたTシャツがまくりあげられる感触。火照った体にひんやり当たるクーラーの風が涼しい。 「ん…」 思わず声が出た。 あんまり気持ち良かったんで、いっそ全部脱がせて欲しくて両手を上げてそれを促す。 だって、体が妙に熱くて。 回る、視界。回る、意識。 くらくらする。 「進藤?」 塔矢の声もする。顔が覗き込まれる感覚に、ぼんやりと目を開ける。 目の前に、逆さまからオレを覗き込んでくる塔矢の綺麗なキレイなかお。 少しだけ目を細めた、意地の悪そうな表情は「あの時」によく見せる顔だ。 ゆびでなかをさぐったり。 あかい舌でオレのよわいところをなめて―――。 「ひゃっ!」 思い出した瞬間に、腰の弱いところを強く吸われる。バネのように跳ねる体。 どうして?だって、塔矢の顔はここにある。 キレイなカーブを描いた唇は、目の前でゆうるく笑ってる。 と、それが不意にもっと近付いて。 顎が持ってかれて、かくりと開いた口に―――くちゃりとぬめった肉が入り込んだ。 「ぅ―――、ん…」 塔矢の舌は少しぴりぴりした味がして、 「とぉや…?オマエも飲んだ?」 「少しだけね」 「ふーん。めずらし…―――ッ、あ!?」 塔矢の口はオレの口の上。 じゃあ。今、オレの胸を舐めてんのは…? 「気持ちいい?」 ばんざいの形に上げた腕の肘を撫でられて、背中にぞわぞわとした感触。 気持ちいいけどなんか…。 「なんや、えらい楽しそうやん」 この声は、このイントネーションは…やし、ろ? 一体どうなってんだろ。 よく…分からない…。 「キミも、楽しんでいいよ」 「ほな」 Tシャツの裾が顔を覆って、そのまま脱がしてくれんのかと思ったら、顔を覆った所でまた止められた。 目隠し状態で肘も押さえられて、不自由だけど動くのダルいからもういっか。 胸を舐めてた舌が脇の方に滑って、 「…んっ、―――ッア!」 くすぐったくて、むず痒くて、それ以上に。 股間に熱が集まってくる。 あ、またさっき舐められてた所が。 「…脱がすぜ」 「ああ」 何を?と思う間もなくジーンズの前のボタンが外されて、あ、オレかぁって。 「…ぅ、ん」 分からない、分からないよ、一体? 塔矢が何人もいるみたいだ。 腕を押さえてる塔矢と、胸の辺りを舐めてる塔矢と、オレのジーンズを脱がせようとしている塔矢。 「あの…ちょ…」 一応少し腰を捻ってみるけど、ホントはTシャツと同じく脱がせて貰って楽になりたい。 ジ―――…… 「わ…白いな」 「女みてぇ」 「いいの?塔矢」 「いいよ」 全部脱がされて、顔にだけTシャツを被ったままクーラーの風を浴びる。 汗がひいて少し寒くなってきた。 と思ってたら足の間に誰かが入って風を遮ってくれた。 膝の後ろを持たれて広げられて恥ずかしい。キモチイイ。 固くなり始めたモノに手を添えられる。 塔矢の白い指を思い出すと、それだけで―――、 「あ、ン…」 いつからだっけなぁ。去年の夏ぐらい? きっかけは、そうそう社やみんなとメシ食いに行った後、塔矢ん家に誘われて行った時かな。 塔矢がアイス食べてんの物欲しげに見てたら「キミさっき食べただろう」って言って 舌に乗せて見せびらかすから、思わず舌で取りに行っちゃったんだ。 さすが塔矢家御用達の高級アイス、にまみれた塔矢の舌は美味しくて、 ついべろべろ舐めちゃった。 塔矢も笑いながらまたアイス食べて、オレに口移しで分けてくれて。 それから塔矢は時々家で旨いもん食わせてくれて、代わりにオレを食べるようになった。 ってもホントに食べるんじゃなくて気持ちイイ事するだけなんだけどさ。 服を脱がせて色んな所触ったり舐めたり囓るふりをしたり。 偶に意地悪な顔をして縛ったり尻に指突っ込んだりして痛い事もするけど、 その後は必ずいつもより高そうな肉とか珍しいお菓子を食べさせてくれる。 それに、実は中をいじられるのも最近はきらいじゃない。 だって気持ちイイんだもん。 触られる場所によっては頭が真っ白になって、出ちゃう。 もちろん、前触られるのもスキだけど。 「――ッア――」 なーんてちょっと思い出してたんだけど、先を強く擦られて現実に戻った。 ああ、そんなにしたら痛いよ塔矢、それくらい分かってよ。 「や、だ…」 「なぁ、あのセリフ言ってみてもいい?」 「なんや?」 「『口では嫌がっていても』」 「『カラダは正直だぜ』」 何人かいて、楽しそうな雰囲気だ。 後半塔矢に取られて笑いが起こった。 オレもつられて腹筋を震わせる。 「やっぱりカワイイ顔も拝ませて貰おうか」 顔が、いや顔の上にある布が上に引っ張られた。 やっとTシャツをちゃんと脱がせてくれるみたい。 びよん、と顎から出て抜いて貰って、ぶるんと頭を振って、目を開けて… 最初に目に入ったのは伊角さんだった…! 片足が動きにくいと思ったら伊角さんの足で押さえられてたらしい。 でも、だらしなく崩れた正座で、こちらを見ているけど目が合ってるのか合ってないのか。 赤い顔をして薄ら笑いを浮かべている。 いつもの伊角さんじゃない。目の色が、なんか。 「あれ?」 急に他のメンバーが気になって、頑張って肘を突いて体を起こす。 目の前のかなり近い所に社がいてびっくりした。 足の間にいたの、塔矢じゃなくて社だったんだ。 飲んでもあまり顔色変わらないタイプみたいだけど、目が充血している。 脇には和谷がいたんで、じゃあさっき胸の辺舐めてたのは和谷だったんだ、なんて妙に冷静に理解して。 向こう側の壁には越智がいつになくだらしない格好で半分眠りこけながらこちらを眺めている。 そこまで確認して、腹筋が辛くなってばたんと倒れた。 真上にまた塔矢の顔。 ってオレ、塔矢以外のみんなにも裸見られてんじゃん… 「とぉやぁ、こんなの恥ずかしいよ…」 「うん、そうだね。でも日頃お世話になってる皆さんにサービスだよ」 ん〜〜?何がサービスなんだろ。 「おい、もう我慢でけへん。入れてええか?」 「ゆびならね」 ぬちゃ、と音がして更に足が広げられて持ち上げられる。 尻に指が当てられて、ぬるり、と入ってきた。 「ッく―――やらかっ!気色ええ!」 「ん、ふっ…」 オレだって、むずむずしていた所に入れられて…… 押さえようと思っても恥ずかしい声が止められない。 「もう一本入れてもいいと思うよ」 「じゃあ、オレ入れていい?」 「どうぞ」 和谷の声がして、社の指がまだ入ってるのに別の手の別の指も入ってきた。 「あ」 ほぼ連動する「ひとさし指と中指」とは違って、それぞれ感触も動きも全くバラバラで 気持ち悪…いや気持ちい… 「いや、あ、んッ」 「いいなぁ、いっつもここ使ってんのかよ?」 「いや、まだ」 うそつき。 いつも指入れてるのに。 「指で馴らしてはいるけど、正真正銘の新品だよ」 ? 「マジかよっ?!」 「こんなに感じとんのにか?」 そう、最初からあちらこちら舐められてたのと、前を嬲られたので感じやすくなったオレは 異様な動きにいちいち反応して、ぴくぴくとしてしまう。 多分何か垂れたんだろうな、幹にそって冷たい糸が引いた感触もした。 「…しないのか?」 その時足元で、ぼそりと低い声。 伊角、さん? 「しないんだったらオレいただいちゃうかもー」 和谷が少しはしゃいだ調子で舌足らずに言う。 いただいちゃう?なにを? その答えを塔矢が言ってくれると思ったけど、聞こえたのは笑い声だけだった。 そして 「社、代わってくれる?」 指が抜かれる感触がして、足の間から立ち上がった足音はみしりみしりと頭の方に来た。 そしてオレの手を押さえる。 少し疲れてたから閉じようとした足をまた開けられて、今度は入れ替わりに塔矢が間に入ったらしい。 「お。マナイタショーか?」 「なんだよそれー」 またいくつかの笑い声が聞こえて。 「進藤、するね」 「え?何を?」 「ホラ、以前から入れるって言ってただろう?」 …そう言えば。 そんな事を言ってた気がする。いつか塔矢の、その、アレをオレの尻に入れるって。 そんな事を言ってた気はするけれど。ほとんど冗談だと思ってたんですけど。 「…今?」 「そう」 「そんなの、やだ。恥ずかしい」 「いいじゃないか。みんなに繋がってる所を見て貰えば」 よくないっての! さすがに腰を浮かせて暴れようとしたが、足を押さえられて逃げられない。 「やっあっ」 「大人しくしろよ」 「やだっ!絶ッッッ対やだっ!」 顔を持ち上げて涙目で思いっきり塔矢を睨む。 そういうのって、なんか違うと思う。 いくら気持ちよくても。 それにもし感じちゃったりして、入れられたままイッちゃったりしたら明日からどんな顔して仕事行ったらいいんだ。 オレの思いが通じたのか、塔矢は小さく溜息を吐くと「わかった」と呟いた。 「これでいいだろう?」 寝た奴がお腹冷やさないように用意されてたバスタオルの一枚を掴み、ふぁさり、とオレの股間に掛けた。 「う…ん…」 局部が隠されて、すごく落ち着く。 その場所だけ見えなきゃいいってもんでもないかも知れないけど、だいぶマシ。 だけど、オレの勃った所だけがテントの支柱みたいにツンと立ってるのだけは意外と直接見えてるより恥ずかしい。 なんて思ってると、二人掛かりぐらいで足を持ち上げられて、浮いた腰の下に蕎麦殻の枕を入れられる。 「おい…そんな事で…汚すなよ…」 って越智まだ起きてたのか? お子様はもう寝ろ、て言う前にもう沈没寸前だけど。 「あ、悪りぃ。大丈夫、タオル敷いとくから」 誰かが答えてそれからなんかごそごそして、チ――っていよいよ塔矢のファスナーが下ろされる音がして。 バスタオルの裾を持ち上げて中に入ってくる。 「おおっ!スカートみたいでこれはこれでエロいな」 尻の穴に、すごくあったかいものが押し当てられる。 バスタオルを二人の体の間に隙間無いように詰めて調整して… 「ああ―――――ッ!」 なんだ!こりゃ?! い、痛い!痛すぎる! ぐい、と腰が押しつけられて引き裂かれるかと思った。 ありえない。息も止まる苦しさ。 「いっ!痛いよ、塔矢!やめて!」 オレが泣きわめいてるのにじりじりと進んでくる。 「無理っ!絶対無理!裂けちゃう!」 もうこの状況も和谷も社も他のみんなも全部吹っ飛んじゃって、ただやめて欲しいという思いだけが頭を支配していた。 「進藤…ちょっと、力抜いて」 無理! 「ほら、お腹に力入れないで枕に預けて…大きく息を吐いて」 それでも優しく話しかけられてお腹を撫でられて、言うとおりにしてみたら少し痛みが減る。 そのスキにつぷ、という感触がして先が通されたらしい。だいぶ楽になった。 それからまた少しづつ入れられて…塔矢の足が尻に触れたとき、これでやっと最後かと思ってすごくホッとした。 全身から力を抜いて頭をがくりと落として横を向くと、涙がつつ――と鼻筋を横切って落ちる。 誰かがごくりと喉を鳴らすのが、聞こえた。 しばらく入れられたまま、自分のはぁはぁ言う息の音を聞いてたけど、やがてまた和谷がオレの腹辺りを触り始めた。 唇で腕の裏を撫でられて、 「は、ァんッ!」 自分でもびっくりするほど高くて情けない声が出た。 痛い、はずだったのにもう慣れて来てる? 「…じゃあ進藤、動く、ね?」 ずるりと抜かれて、また押しつけられる。 内臓が押し上げられてゲッて吐き気がしそう、って最初は思ってたけど。 塔矢はオレが「出ちゃう」場所をよく知っている。 そんな所を太いので擦られると。 「――――ッ、んんっ!」 痛みと快感が入り交じって、堪らない気分になる。 「進藤…ええん?」 頭上からする声にも答えられず、ただ涙を流しながら頭を激しく振る。 良くない…んじゃなくて、答えたくない。 だって、だって、 「やっ、あ、あっ―――アッ、ンッ!」 こんなの、変だ。 恥ずかしい格好してみんなに見られて、尻に入れられてそれでもこんなに感じるなんて。 「進藤、イッてもいいんだよ…?」 塔矢の、熱い息がくちに触れた。 動きに、なかを深く抉られてまたいやらしい声が出る。 「あ、あ、アアァ――――ッ」 頭が、おかしくなった。 ぺろ。ぺろ。 剥かなくて良い果物ってなんて美味しいんだろ。 生まれて初めてってぐらいの絶頂に、オレはちょっとの間気を失ってたらしい。 気が付いたら出したはずのものはキレイに拭かれててて、ちゃんと枕して楽な体制で寝させて貰ってて、 声を上げたらみんなが飛んで来てくれた。 で、塔矢が膝枕してくれて。 伊角さんが残ってたさくらんぼを口に入れてくれる。 社は葡萄を皮から吸い出して、身だけを口移しでくれる。 美味い。 口の端から果汁が垂れても、和谷が舐め取ってくれて。 誰彼なく代わる代わるキスをして、種を舌で押しつけても笑いながら引き取ってくれた。 オレって指いっぽん動かさなくていいじゃん。 こんなのってはじめて。 い〜、気分。 あれだ、こういうのってさ、ホラ、 「オレって王様みたい」 そういうとみんな笑った。 塔矢はオレの前髪を撫でて 「どちらかというと……お姫様だよ」 と言った。 −了− ※16万踏んで下さいました風見愁さんに捧げます。 リク内容は、ええっと 「本文中のいずれかの部分を私が書いて、それにキスケさんが追加」 です(笑) 継ぎ目がバレないように、との事でしたのでその辺頑張りました。(バレバレだったらすみません) ということで、今回の眼目はあくまでも「どこまでカザミンの文体をトレース出来るか!」 エロじゃなく(笑) ・・・こういう疑似匿名方式、いいですね。心置きなくシモれます。 そうそう、「ヒカルアイドル」「ヒカルの最終貞操権はアキラさんのもの」も カザミンのリクってのも言っておきます。 あと何となくご希望っぽいので拙作「045:年中無休」の続きにしてみた。 カザミンから書いておけと言われたコメント(笑)「おほほほー、これ、私のですけん!」 「気分はみせびらかしアキラ(笑)」らしいですがご自分と恐らくごく少数の 方しか喜ばれないだろうと予想しておられます。私もそう思います(笑) 御申告とマニアなリク、ありがとうございました! |
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