裏盲日7
裏盲日7






ツイてる。

この辺って三谷の行ってた碁会所の近所だとは気付いてたけど、
本当に通るとは思わなかった。
しかも塔矢に気付いて足を止めてくれた。

観客は多い方が良い。
寄っといで寄っといで、あの「塔矢アキラ」がコンドーム買おうとしてるぜみんな。

静かな路地裏に流れる塔矢の小さな声。


「・・・がですね、その、友だちと自分の間に挟まるというか。」


苦労してますねえ。
自販で買うなよ、と言ったら本当に店で買おうとしてる。
律儀な奴。そんな所も、好きだよ。


と、その時立ち聞きしていた三谷が、何かを察したのか声もなく笑い出して
店に入っていった。


「オヤジ、コンドーム一個。」


怖じることのない大きな声が聞こえる。
チッ。
塔矢にそれを言わせたかったのに、変な所でしゃしゃり出るなよ。



赤い顔をして飛び出してきた塔矢に気付かれないように身を隠すと、
三谷までついて出てきた。
少しキョロキョロした後、塔矢を追跡する。

オレも隠れながらそんな三谷を追う。
これって二重尾行?わあ、なんかかっこいい。



少し先の細い横道の奥で、三谷は塔矢を追いつめていた。

二人とも静かにしゃべってるから、ほとんど聞き取れない。
三谷の肩越しに見える塔矢の顔は、何かに耐えるように眉を寄せていて
とてもセクシーだった。

その塔矢の顔に、
三谷の髪が重なる。

顔を寄せている。

・・・くっつく位。





体が動かない。

塔矢を助けたい、と思う。
今ヒーローみたいに飛び出して行ったらカッコイイだろうなと思う。

でも同時に、
このまま塔矢が犯されていくのをじっと眺めていたい、と思わずにいられない。
誰かの手で汚される塔矢を。
黒く染められて行く塔矢を。


もどかしい快感に苛まれながら
オレはただ見つめる。


やがて三谷が塔矢のシャツのボタンを引きちぎり、
ズボンを脱がせ、地面に引き倒し、
いや、やっぱり立ったまま後ろを向かせ、
馴らしもしないで強引に突っ込んで塔矢に高い悲鳴を上げさせ、
でも塔矢のことだから声も上げずに耐えるだろう。


オレの妄想が進んでも二人の顔は、まだ重なっている。


動けない。
顔が熱い。食いしばった歯がぎりぎりと音を立てる。
それでもジーンズの合わせ目が、はち切れそうで痛かった。



三谷がそれ以上何もせずきびすを返すまでその場に立ちすくんでいたオレは


為す術もなくただオレを見つめる


・・・・・佐為になっていた。









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