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裏盲日11 結局社は三日間我が家に滞在した。 勿論進藤もその間泊まり込んでいた。 「はぁ〜。」 東京駅に見送りに来た進藤とボクの前で社は大きな息を吐く。 「何溜息ついてんだよ。」 「いや、濃い夏やったな、と思て。」 「まだ夏終わってないし。」 「アホ。この後は手合いと宿題で詰まっとるっちゅうねん。」 「宿題〜!」 昼間の社は変わらない。 でも、夜はどんどん扱いやすくなった。 社は進藤を抱いた。 疲れて果てて裸のまま横たわったボクの前で、進藤がさせたのだ。 見つめるボクと目を合わせたまま、社に貫かれて進藤は 高い嬌声を放った。 倒錯的な快感があった。 いつもボクを抱く進藤が、別の男に抱かれて、よがっている。 進藤もボクに見られて異常に興奮しているように見えた。 それにしても彼は・・・初めてではない。 が、問うても進藤は「初めてだよ」と言った。 そんなはずはないだろうと詰ると、笑いながら 「気になる?ん〜ホンモノを入れられたのが初めてってった方が正しいな。」 社と顔を見合わせると目が「それ以上聞かん方がええ」と言っていた。 ボクもそう思った。 「・・・ひと夏の経験、か。」 社がホームの時計に目をやりながらぽつりとつぶやく。 彼はそう思って、日常と切り離して割り切ったのだと言う。 でもボク等にとってはそうではない。 「そう!オマエはオレの最初のオトコなんだからな〜。忘れるなよ。」 「・・・・・。」 「んで塔矢にとっては二人目。だよな?」 無邪気に笑いかけてくる進藤にボクが頷き返すと社は 「・・・頼むから、こまい声でしゃべってくれや。」 脱力したように言う。 「オマエも普通にしとんなや塔矢。あんな、悪いけどオレは忘れるで。 新幹線乗ったらもう忘れたる。」 「あかん!そんなこと言うならここでキスする。」 「・・・忘れません金輪際。」 「よろしい。次の休みにも遊びに来いよ。」 「あのなぁ。」 「塔矢も喜ぶよ。な。」 喜ぶ、というか彼のお陰で暗い快感を知ってしまったのは確かだ。 でも進藤を抱いたというのがまだ少しひっかかる。 ボクも進藤を抱きたいという訳でもないし、第一自分も抱かれておいて それはどうかとも思うが。 進藤は社にされているボクを見るのが好きだった。 壁際で蹲って。 まるでボクを寝取られたかのような暗い目をして。 それをさせたのは自分なのに。 社が果てると怒ったように社を押しのけて、今度は自分が・・・。 まるで我が儘な女王様だ。 付き合っていたら体が持たない。 だよな。 と社を見ると、同じ事を考えていたのかニヤリと笑い返す。 「おい!」 「なんや。」 「塔矢を盗るなっつったろ?」 ・・・って。 そんなこと、言ったのか? それってまるで・・・。 「そやから。オレは惚れとる女がおるっちゅうねん。」 「ふ〜ん。じゃあその子にこんな事知られたくねえよな?」 「・・・自分最悪。」 ・・・まるでキミがボクに「惚れ」てるみたいじゃないか。 そんなこと、ボクには言ったことなかったじゃないか。 社も気付いたのかニヤニヤしてからかう。 「そやなぁ。碁でオレがオマエに勝ったら貰いに来るかも知れん。」 「言ったな!ぜってー負けないっての。」 「はいはい。ごちそーさん。」 人をまるでモノみたいに。 それにキミが碁でボクに敵わない頃からボクを好きにしているじゃないか。 『ひかり』がホームに滑り込んでくる。 社がそちらを向いている隙に進藤がボクの腕を引き寄せ、 風と音に遮られないように耳に唇を寄せた。 「オレが見てないところで、浮気すんなよな。」 一体何様?キミはボクの夫か? ちゃんちゃらおかしい。 「・・・するわけ、ないよ。」 −了− |
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