ドッグ・イーツ・ドッグ4
ドッグ・イーツ・ドッグ4









「・・・てかオマエ、このシチュエーション楽しんでるだろ。」

「え?」

「傷ついたオレを慰めるフリしてヤッちゃうとか。」


充血したままの目で睨んできた。
バレてたか。


「バッカじゃねーの?そのセリフ、完全に使うシチュエーション間違えてるって。」

「そう?でもどうせ今日はボクの番じゃないか。」

「ひでえな。オレは本当に落ち込んでるんだぞ。」

「だから、本当に慰めてあげるつもりだったよ。」

「・・・アンナの代わりにヤらせてくれるとか?」

「バカ。もうやったじゃないか。まあ大人しく言うこと聞けよ。」


Tシャツを捲り上げ、脱がせる。
進藤は大人しく両手を上げてバンザイの姿勢になった。
その、最後の所で手を抜かせず、胴の部分を手の間に通して縛り、手を拘束する。


「・・・え?おい、ちょっと、どういうつもりだよ。」

「今日はね、少し趣向を変えてみようかと思って。」

「何だよそれ。聞いてねーぞ。やめろよ!」

「そんな泣き顔で言われると、興奮するな。」

「お、オマエ・・・、ホントに変態になっちゃったのか?
 てか分かってんの?オレに何かしたら、次回はオマエに同じ事するぜ?」

「・・・次回っていつだろう。前回も本当はボクの番だったし、
 次はいくらでもさせてくれるって言ったよな?」

「言ったっけ?そんな事。」


言ってない。でも、拡大解釈によってはそのように取れなくない事は言った。


「それに、今日はキミがボクにした事をするつもりだったんだけど?」

「え・・・て・・・。」

「例えば指で馴らさないで入れるとか、ゴムを着けずに中で出すとか・・・。」


進藤の顔が、今度は恐怖に歪む。








「・・・まあ、そういう事はしないでだな、今日はキミを気持ちよくしてあげるよ。」


進藤の引きつった泣き顔を見たら、少し可哀想になって脅かすのを止めた。


「・・・んだよ。」


顔から怯えは消えたが、複雑な表情だった。


「じゃあ、何で縛るの?」

「エッチな事して上げようと思って。」

「いつもしてるじゃん。それに、だからどうして縛るわけ?」


う〜ん・・・。それはボクにも分からない。
何でいつも通りの事をするのに、縛るのか。
だから黙ったまま進藤のパンツのベルトを抜き、それで進藤の手をベッドに繋げた。


「何で、何でこんな事すんの?失恋したオレを慰めるんじゃなかったの?」


進藤が、また涙をぽろぽろとこぼす。
いや、そりゃアンナさんの事を思い出しただけなんだろうけど。
そうなんだろうけど。

頭の横の二の腕の裏側が、白い。

そんな無力な姿でそんなに泣かれても、
泣かれたら・・・。

・・・ゴメン、進藤。
今ボクには少しだけ分かってしまった。
何故・・・縛るのか。





「うん・・・。そう・・・なんだけど。」

「てかオマエ、こういうプレイどこで覚えた訳?」


なんとー!!知ってましたか!


「オレこういうの好きじゃないから緊縛モノとか借りなかったと思うんだけど。」

「・・・・・・・・。」

「オマエがあーいう本買って家で1人でしてると思うと、」


今泣いたカラスがもう、と言った感じでクスクスと笑う。


「・・・買える訳ないだろう。ボクの部屋にもPCはあるんだ。」

「あ、オマエそれヤバい。ちゃんと履歴消しとけよ。塔矢先生一応触れるんだろ?」


履歴・・・。行ったサイトの記録が残るのか?
父がボクのPCに触って、何気なく・・・見られるものなのかどうか分からないが
ああいうサイトを見てしまう事を考えると、ゾッとした。
両親が帰ってくる前にその「履歴」とやらを消さなければ。

ボクが内心狼狽えているのに進藤は、縛られて頬に涙の跡を残しているくせに、
「オマエのってマック?ウィン?」と天井を見つめたままのんびりと聞いてくる。
何となく腹が立って、


「ウィンドウズだよ。」


と言いながら、進藤のパンツのファスナーを乱暴に下ろした。


「オマエ、本気でこのままするの?嫌だよこんなの。」

「まあ一度試させろよ。」


下半身も剥いて、さらけ出す。
本当に嫌なようで、進藤のモノは萎えたままだった。

だが、ボクが背を向けて服を脱ぎ、振り返ると彼はじっとボクの裸を見ていて、
勃ち上がりかけて、いた。


「男の裸で勃つ?」

「いや・・・。勿論オマエだけだけどさ。
 それと、今気づいたんだけど、オマエ少しだけアンナに似てるんだ。」

「へえ?」

「もっと髪伸ばして、少〜し脱色してみようとか思わない?」

「思わない。」

「・・・そだな。それはそれで気色悪いし。ごめん。変な事言った。」

「いいよ。別に。・・・アンナさんと思って貰って。」


と、股間に顔を近づけると、現金な物でピクン、と脈打った。
でも、進藤の顔の方は涙を新たにしていた。


「アンナは、んなこと、しねーよ!全体的に!」


またしゃくりを上げ始めたのを鬱陶しいな、と思いながら舌で触る。
進藤はまた震えたが、それは泣いているからなのか感じているからなのか、よく分からない。

取り敢えずそのまま足の間に蹲り、しばらく舐めていると


「・・・塔矢、オレ、もう、」

「早くない?」

「るせー!オマエが変なこと言うから!」


無視して顔を離し、手にローションを垂らした。


「とう、や?」


片腿を肩にかつぎ、進藤の尻の穴を触る。


「・・・う!」

「まだ指も入れてないのに感じる?」

「この・・・ヘンタイ!」


つぷ、と埋め込む。途端に指が締め付けられる。
泣いているせいか、いつもより中が熱くて、ああボクも理性が飛びそうだ。

そのまま中をまさぐっていたが、進藤は耐えていた。
さすがにアンナさんにそこまでされるというシチュエーションは辛いらしい。
でも、刺激すれば機械的に。


「ヤだ・・・!」


逃れようと身を捩るが、手が固定されているから縦に逃げられない。
指を入れているから横に逃げられない。
やがて諦めたのか目を閉じ、必死に何かを我慢するような表情になって・・・

進藤の呼吸が荒くなって来た所で、すっと動きを止めた。


「あっ。・・・・・・塔矢!」


怒気を孕んだ声。
顔を上げると、進藤も頭を持ち上げてこちらを睨んでいる。
まるで碁でボクが進藤を誘ってスカした時のように。
無理にテンション上げさせられて焦らされるのって、辛いよね。

指を増やして少し萎えた所で、今度は進藤のモノを、くわえる。

再び張りつめて、息が上がった所で顔を離し、また後ろの指を動かす。

動けない事に苛立って進藤が手を思いきり振るので、ベッドの縁にベルトの金具が当たり
ガチャガチャとうるさい音がした。
縁が取れたらどうしよう。安物だし。安物だからいいか。

余裕のない進藤を見るのが楽しくて、追い上げては逸らす、というのを何度か繰り返した。
イきそうになったら軽く歯を当てたり、萎えそうになったら強く吸いながら尻の中の指も動かしたり。

すると・・・
やがて開いたままの喉の奥から声を漏らし、時折狂ったように喉を反らしたりし始める。
色っぽい仕草の大サービスだ。進藤は理性を失いつつあるんだろうか。
額に玉の汗が滲み、流れて涙と混じる。
苦しいのかな。気持ちいいのかな。

次第に進藤は、怒っていたはずなのに懇願口調になってきた。


「頼むから、塔矢、もうイかせて。」


うわあ・・・、進藤の口からそれが聞けるとは。
感無量。
というか、もうボクも危ない。
進藤のあられもない姿を見て、触らずにイってしまうなんて失態を繰り広げてしまいそうだ。


「後ろももうだいぶ広がったみたいだよ。」

「・・・口で、イかせてくんないの?」

「ねえ、進藤。キミがボクの立場だったら、こんな時何て言って欲しい?」

「・・・・・・塔矢!テメエ、覚えてろよ!」

「『いくらでもさせてやる』っていうのは覚えてるけど。」

「るせえ!そんなのなしだ!」

「そう?」


もう一度中で指を動かして、抜くと「ああっ」と切なそうな声を上げた。
顔はもう真っ赤で、涙は出てるは鼻水は啜るわ、大変だ。
でも、その涙の何割かは、悔し涙と、快感から来るものかも知れない、
と思うとまたキて、少し眉が寄ってしまったが、進藤にそれに気付く余裕はなかったようだ。


「『入れて。』」

「え、何を?」

「だー!!うぜえ奴だな!もう絶交だ!」

「絶交、しようか。」

「あー!待って待って!『オレの尻に塔矢のを入れて下さい!お願いします!』」


ぞくりとした・・・。

でも、あ〜あ。
「『お願いします』は?」を言いたかったのにな。
・・・あ、もっとエッチで屈辱的なセリフを思い付いた。
でも、これ以上焦らしたら本当に切れられるかも知れないし、ボクも。

進藤の穴に当てて少し押すと、さしたる抵抗もなくぬるっと飲み込まれた。
中の締め付けと、進藤の上げた女の子みたいな喘ぎ声に、もう、
多分わざとだな。ボクを早くイかせようと思って、
と、ぐっと腰を押しつけると・・・。


「はあんっ!」


進藤はかなりなさけない半裏声を出して、勢いよく射精した。
え、もう?と驚いて、でも動きを止められなくて、ピクピクと震え続ける体に注送を繰り返す。
彼は筋肉を硬くしたままボクが突く度にダラダラと精液を流し続け、その中の締め付けと言ったら・・・

痛かった。




やがて力の抜けた進藤の中(というか勿論ゴムの中)に放ち、身を離したが
まだ彼はぼうっとしていた。
あまりに無防備なので唇をペロッと舐めてみたが、無意識といった感じで少し口が開いただけ。
取り敢えずベルトを外し、Tシャツを解く。
儀式の終了。

それでも進藤は宙を見つめていて、仕方がないので、彼の腹に散った精液は、ボクが拭いた。


「進藤・・・進藤。」

「・・・・ん・・・・。」

「・・・そんなに気持ち良かったんだ?」

「・・・あーーー。ん〜・・・。ヤバいな。尻でこんなに感じてるようじゃ。」

「え。入れるよりいいのか?」

「ん〜〜〜・・・。」

「・・・・・・。
 まあいいじゃないか。偶にはこんなのもありだろう。」

「オマエは?どうだった?」

「そりゃ、良かったけど。主催者としては。でも・・・。」

「でも、何?」

「キミがあんまり長いこと射精してるから、ちょっとひいた。」

「・・・ああ・・・・。ん〜・・・まあいいや。今度やってやるよ。」

「うーん。頼みたいようなそうでもないような。・・・やはり縛るのはポイントだろうか?」

「ああ!ポイントだな!」


始まる前とは打って変わって力強く頷いた進藤。
少し彼が遠くなったような気がした。






「アンナさんも?」

「うん。実は最初アンナにこんな事されてんだと思ったらすげー感じた。」

「そうだ、アンナさんと言えば。」

「ん?」

「キミ、家知ってるんだったら、ボクが行って話して来ようか?」

「何を?」

「キミが彼女を本当に好きだって事を。・・・必要があればキミが間違えた理由も。」

「ああ・・・それはやめて。」


進藤は横を向いて、また少し涙ぐむ。
泣き虫め。


「どうして?このままでいいのか?」

「そりゃ・・・嫌だけど。もう無理って感じがするし、これ以上嫌われたくないし。」

「・・・・・・。」

「それに、もしオマエとアンナがいい雰囲気になったりしたら、オレもう立ち直れない。」

「そんな、友人の彼女を盗るような真似をするか!」

「そう言い切れる?アンナに会った事もないのに?」


言い切れない・・・。
こんな事を申し出たのには、進藤の(元)彼女の顔を見てみたい、という思いもあったからだ。
そしてそれが予想以上に可愛かったら・・・いい人だったら・・・
好きにならずにいられる自信なんて、ない。


「・・・いいよ。オレ。当分女の子は、いい。」


進藤はようやく起きあがって、また最初のようにボクの肩にコトリと頭をもたせかけた。






ボクの知らない、拘束の悦び・・・じゃなくて失恋の痛みを知ってしまった進藤。

女の子というのは、どんなのだろう。
恋というのは、どんなのだろう。


「それにオマエがいるから困らないし。」


・・・やっぱり性欲、か。







−了−




※最後までこんな2人。

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