炬燵 3
炬燵 3








どうやらPCか何かの、タイマーがセットしてあったらしい。



「……」

「……」



年が、明けた。

新しい年だ。

……なんて年越しだ。



あけましておめでとう、とでも言うべきか、どうしようか考えていると。


「夜神くん」


Lの方から、顔を寄せてきた。


「The new year's beginningは、隣に居る人誰にでもキスして良いって、知ってました?」

「遂にキラ以外の話を、したな」

「そうですね」

「誰彼構わずキスって、タイムズスクエアの映像なんかで、よく見る、」


途中で僕はもう、Lの唇を貪っていた。
頭を掴み、舌を突き入れる。
Lも僕の髪を掴み、二人でホットカーペットの上に倒れ込んだ。
競うように舌を絡め合い、歯列を舐める。

女相手でも、こんなに情熱的なキスをした事はない。

無意識に、夢中で勃起を擦りつけ合う。
自分でもかなりおかしいと思うが、もう止めるという選択肢はなかった。

息が苦しくなって無理矢理唇を引きはがすと、Lも苦しげにはぁはぁと肩を揺らしている。


「……ミカンか」

「はい。ミカンです。」


ミカンに……薬でも仕込んであったとしか思えない。
頭は冷めているのに、身体は熱くて堪らなかった。


「あなたは、私が出した飲み物や食べ物は、基本的には食べない。
 でも、炬燵にミカンを載せられたら、例外的に食べてくれると思って」

「一応、おまえが食べようとしたのと取り替えたけどね」

「はい。自分は食べずにあなただけに食べさせるのは不可能と、最初から判断していました。
 一応注射針の跡が見えた房は、避けてみましたが」


焼け石に水、と言いかけた唇に、もう一度唇をぶつける。
歯と歯が当たって、頭蓋骨に軽い衝撃が走る。


「死なば諸共、か」

「死にま、せんよ。単なる、興奮剤です」


僕に耳朶を囓られ、耳の穴に舌を入れられながら、Lが喘いだ。


「何故自白剤に、しなかった」

「自分も、食べるんですよ?」

「ああ、そうか……」


僕としては、Lが本名だの協力者だのをぺらぺら喋ってくれた方が助かったけどな。

もどかしくなり、シャツも脱ぎ捨てる。
その瞬間、Lも僕の乳首や腋に吸い付いて来た。


「ねぇ……夜神くん」


暗紅色の舌が、不器用にぬめぬめと僕の肌の上を這うビジュアルが。
くすぐったいような気持ち悪いような、何とも言えない感触が。


「もう本当にね……手詰まりなんですよ」


堪らなかった。
もっと汚して欲しいと、もっと気持ち悪くして欲しいと、欲せずにいられない。

二人のペニスを一緒に握り込んで動いていると、目眩がしそうだ。
ぬるぬると、お互いの肌がミカンの汁で濡れて、男の肌が艶めかしい。


「今夜、気持ちよくしてあげるので、自白して貰えませんか?」

「最高にヨくしてくれたら、口を滑らせるかもね」

「頑張ってみましょう」

「でも、こんな事をして、自白が取れても取れなくても、明日からお互い気不味くなるとは思わなかったのか」

「大丈夫です。朝になれば記憶は消えている薬ですから。羽目を外しても問題ありません」

「なるほど。それなら大丈夫だな。自白しても」

「あ。しくじりました」


意地を張り合っていた訳ではないが、先に出してしまったのは意外にもLの方だった。
先の割れ目からびゅ、びゅ、と噴き出す白濁を見て。
僕も思わず達してしまう。


「ああっ!」


目尻から涙が零れる程の、快感だった。
身体が震える。
治まらない勃起が、Lのペニスを求める。

身体を硬くして快感に耐えていたLが、漸く弛緩して僕の首を引き寄せた。


「まだ……大丈夫ですか?」

「ああ……ああ、問題ない」


「何が」とも聞かず、僕もLの骨張った胴を力一杯抱きしめる。
腹の間でお互いの精液が混じり合ってべたべたした。


「これから、どうする?」

「どうして欲しいですか?」


顔を上げると、至近距離で微笑んだLが、上唇を舐める。
珍しく汗ばんでいるようだ。
湿った前髪の間から、尖った白い歯がちらりと覗く。


「抱いて欲しいですか?それとも」


僕の頭を引き寄せて、先程のお返しのように耳朶に歯を立てて。


「抱きますか?世界の切り札を」


囁かれたのに答えず、僕はLを押し倒して、腹に飛び散った精液を指に取った。
そして太股を広げさせ、その尻の穴を、最早性器にしか見えないそこを、押し広げる。


「あっ!ちょ、初めて、なんですから、もうちょっと、」


ははっ!初めてだって?
それはそうだろうな、男で、殆ど人間と関わった事がないような奴で。
女性とだってあるかどうか怪しい。
この数ヶ月一緒に暮らした経験からすると、自慰を知っているのかどうかすら。


「その割りに、吸い付いてくる、ここ、気持ちいいの?」


指を色々と動かしてみると、腰がびくびくと動く。
勃起している。

その光景と自分の言葉に興奮して、僕はもう堪らずに、Lの了承を得ずに穴に自分を当てた。


「行くよ」

「え……」


一気に突き入れて無茶苦茶に動かしたい衝動を抑え、じわじわと腰を進める。
熱い……。
きつい。
Lはまだ覚悟が出来ていないような様子だったが、力を抜いて、身を任せてくれた。


「……どう?」

「どうって……」

「気持ちいい?」

「……肉体的にというよりは、自分が男のペニスを受け入れている、という状況に、興奮します」

「なら大丈夫だね」


ゆっくりと、腰を動かす。
中は相変わらず熱くて、すぐにでも出てしまいそうだった。


「ちょっと、重いな」

「待って下さい」


Lは蹴散らしていた座布団を引き寄せて、手早く二つ折りにして自分の腰の下に挟む。
その作業の手際よさに思わず笑ってしまった。
しかし、動き始めるともう、汗が出るのに腰は止まらなくなった。


「ご、めん、もう」


射精に向けて動き続けると、Lも黙って自分のペニスを擦り立てる。
もう、僕に自白を強要するような余裕もないようだ。

後から思えば、傍目には何とも間抜けな光景だったと思うが。
Lと僕は夢中で腰を振って、二人とも……満足の呻き声を上げて、果てた。

頭がおかしくなりそうに、淫らに享楽的な夜だった。






元旦の目覚めは最悪だった。
乾いた精液で腹はぱりぱりしていて、ミカン汁まみれでべたべたしていて、そこらじゅうに乾燥したミカンの皮が飛び散っていて。
いつもまとめて捨ててくれていた母のありがたみを知る。
ホットカーペットの上で寝たせいか、喉が痛い。

僕達は無言で、交代でシャワーを浴びた後、辺りを片付けた。

固い所で寝たので、身体の節々が痛い。
正月なのだから多少怠けても良いだろう、と寝室に行くと、Lも着いてくる。


「……嘘吐き」


溜め息を吐くように言うと、Lは首を傾げた。


「朝には記憶が消えてるんじゃなかったのか」

「あー……」


勿論本気で信じていた訳ではないが、何となく詰らずにいられなかった。
我ながらバカみたいだけど。

Lは指を咥えて斜め上を見上げると、二、三秒置いてからぽん、と手を打つ。


「記憶が消えるのは、正月休み明けでした」

「……」


呆れて凝視していると、Lはニヤッと笑って。
僕の肩を捕まえて、ベッドに押し倒した。






--了--








※お題:「炬燵で抜く抜くなLと月」。え?違う?

 自宅の雑記にも書きましたが、シャーロックホームズの映画の中でマイクロフトだったかモリアーティだったかがふざけてホームズを「シャーリー」と呼んでいて萌えました。
 2015お誕生日おめでとうございますゴッドオブニューワールド!(誕生日関係ないネタだった!)





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