078:鬼ごっこ
078:鬼ごっこ







塔矢に、君が好きだ。と言われた。

来たかー!と思った。

だって少し前から塔矢がオレを、とても切なそうな目で見てるのに気づいてて
ヤバいなーと思ってたんだもん。

何がヤバいって、オレもそんな塔矢のこと、可愛い・・・と思っちゃってたこと。



実際塔矢は性格が激しくて、おかしいところもあるけれど、
基本的にキレイで、育ちがよくて、男でも女でも、アイツに好きだとか言われて
嫌な気がするはずがない。

三日迷って、オレは塔矢に、オレも。と答えた。



だからってすぐにオレ達の関係が変わるわけでもなく、
両想いのまま友だち以上恋人未満ってな付き合いが続いていたけど、
お互いの気持を伝えあっていたから、オレ達は幸せだった。


でも。
やっぱそういう年頃だしさ。

並んで歩いていて、手の甲が触れ合ったりすると、電気が走ったみたいに
お互いにビクっとしてしまったし。
もう、目を逸らし続けるなんてこと、出来ない。

恥ずかしいけど、オレは塔矢に正直に言った。


「オマエの体に興味がある。」


って。
何喰わぬ顔で言えればよかったんだけど、顔が熱くなってしまうのが返って恥ずかしい。
少し声も震えてしまって。
我ながら情けないったらない。

でも塔矢も。

真っ赤になって、少し泣きそうな表情で固まった後、
コクリ、と頷いた。





それからオレ達は、人目を避けてはキスをするようになった。
棋院のエレベーターの中、碁会所のトイレ・・・
最初は触れるだけの。

その内、口が開き、舌が絡み、そんな危なっかしい場所では時間が足りなくなった。
屋上、資料室・・・
二人の思い出の場所は、多い。

やがて、お互いの服の下に手が伸びるようになって・・・。
外では物足りなくなった。

あとは、お互いの、部屋。





初めてオレの部屋にアイツが来たとき、心臓が飛び出るほどドキドキしたけど、
塔矢に優しく抱きしめられて、気持ちが落ち着いた。

くすくす笑いながら服を脱がせ合って、まだ何もしてないのに
ビンビンなのを見られるのは恥ずかしかったけど、思い切って脱いだら
塔矢のも既に大きくなっていて。

膝立ちのままお互いのに手を添え合って、
抱き合って、
出し合った。

今までの人生で、あんなに優しくて、幸せな時間はなかったと思う。

オマエの体に興味がある、と言ったとおりに、それからもオレ達はお互いの部屋で
体を見せ合い、触り合って、夢のような数ヶ月を過ごした。





それでも。
人間の欲求というのは限りがない物で。

ある日、二人ともいって、裸で寝転がっている時。


「なあ、塔矢。男同士がさ、これ以上の・・・セックスするって、どんなのか知ってる?」


オレはまだ、塔矢にそこまで要求したことはなかった。
それはあんまりだとも思ったし、正直それまではしたい半分、怖い半分だったから。

でも、やっぱり塔矢と一つになりたい、っていう欲求は
抑えることが出来ないほど強まって来てしまっていたんだ。


「・・・して、みる?」


上目遣いで。
知ってる、ってだけでも大概驚きなのに、塔矢は。
そう言えば先に告白したのも塔矢だった。
清純な顔をして突然オレを驚かせる、
大胆な恋人。


頷くと、アイツはオレに覆い被さって来た。

わ。塔矢、そんな、積極的すぎる、
ってか、本当に、

いいの?




焦るオレの耳元で。


「痛かったら・・・すぐに、言って。」


ちょっとまてーー!!!


「え?おい、オマエ、入れるの?」

「・・・・・は?」





気まずい沈黙が流れる。

後ろ手を突いて座ったオレと、前に手を突いて、オレに被さろうとしている塔矢。
お互いのモノは既にというかまだビンビンで、相手に入る気満々。

あちゃー・・・・・。

隠し事なんてしてないし、こんなにお互いのことをよく知ってると思っていたのに、
オレはまさか、塔矢がオレをそんな風に見ているとは知らなかった。
それは、塔矢も同じなんだろう。
ってことが、お互いに一瞬にしてわかってしまったんだ。

どうしたものか。

でも、いくら塔矢が好きでも、これだけは絶対に譲れない。



「・・・僕の方が、背が高いよね。」

「こないだ腕相撲で、オレ勝ったよな。」

「・・・・・。」

「・・・・・。」


しばらくの睨み合いの後、塔矢がいきなりそのままオレを押し倒そうとする。
オレは布団に肘を突っ張って体勢を入れ替え、上に乗ろうとするが、
塔矢はオレの胸を叩いて、怯んだ隙に腕の下からするりと抜け出す。

後ろを取るチャンスだ!

逃げる腰に掴みかかるが塔矢は横を向いてかわし、逆襲の裏拳が飛んできた。
横頭に中たってちょっとクラって来たけど、その手首を掴み、引き倒す。
倒したはいいけど、これじゃあ塔矢が上じゃん!
ってニヤっと笑った塔矢の手を捻り、何とか馬乗りになられるのを避ける。
今度はオレが四つん這いになり、バタバタと逃げ回るが、足首を取られて・・・。

そんな調子で二人して汗だくになるまで、闘争は続いた。



まあそのくらいでオレ達の恋は終わらないわけなんだけど、
出し合いっこの後の、素っ裸の追っかけ合いは恒例になってしまい、
未だに決着がつかないんだ。



−了−






※リバ万歳。


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