022:MD








オレが身じろぎする度に、塔矢の指がピクッと動く。
自分の息が熱い。
塔矢の吐く息も、熱い。
興奮してる・・・物凄く。お互いに。



・・・来いよ。

塔矢が目でそう言っているのが分かる。
けれどオレは動かない。
最近焦らすのがシュミなんだ。変態くさい?

だって勿体ない。
簡単に食べちゃったら。

おまえは、オレの最高の獲物。


もしかしておまえは、自分の方がオレを食べてる、と思ってんじゃない?

罠を張って逃がさない、そう思ってるんだろうけど。
待って、迎え撃ってそして食らいつくそうと思ってるんだろうけど。

違うよ。
食うのは、オレだよ。




塔矢のこめかみに、汗が滲む。
細めた目はやけに遠くを見つめていて、
今にも欲望がこぼれ出しそう。

ぴくぴくと微かに震える瞼。
に心震わされるオレ。



こんな官能、知らなかった。
おまえが教えてくれた。
おまえ以外の誰とも味わえない、


絶頂。






もう、ダメ。
おまえの中に、入り込むよ。

最後まで、いっちゃうよ?

塔矢の口が小さく「あ。」の形に開いて、息を呑む。

ダメだよ。待ったなしだよ。
今更止まれないよ。


激しく動くオレに、
同じく激しく応じる塔矢。

火を噴く玉のように、ぶつかり合う。


何度も声を出しそうになって、飲み込んで。
苦しそうな顔がタマラナイ。
ほら、そんなに唇噛んだら血が出るよ。


ねぇ。

ねぇ。

オマエ、もう、限界なんじゃないの・・・?





・・・と思った途端に、案の定大きく息を吐いて

塔矢の頭ががくりと垂れた。








「・・・ありません。」


きれいな髪が、さらりと揺れる。



「ありがとうございました。」

「ありがとうございました。」

「やっり!これで勝率4割!」

「ふん。すぐに引き離してやるさ。」

「負け惜しみ言うんじゃねーよ。」

「誰が!」







−了−






※MD=ミサイル防衛
  飛来する弾道ミサイルを人工衛星、レーダーなどで探知・追尾し、これを迎撃・破壊するためのシステム。

  ・・・百題も最後の方となりますとね。






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