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007:毀れた弓 こんな夢を見た。 進藤と碁を打っている。 ぱちり。 盤面はよく分からない。 でも、複雑な様子だ。 ぱちり。 「おい、そこはまずいんじゃないか?」 言っても進藤はこっちを見ない。 誰も居ない後ろを振り向いて、 「なあ、この手、どう思う?」 まるで、幽霊と話しているようだ。 「こうすると、ここはシノげるだろ?と同時に・・・。」 「ああ、なるほど、それは面白い手だ。」 答えても進藤はこちらを見ずに一人でしゃべり続ける。 「でも、ここが薄くなるから・・・。」 いやそこは、っておい!ボクにもしゃべらせろ! 誰と、しゃべってるんだ、進藤。 「あ、そうか、ここに打った段階で、」 自分で気付いたか。 それとも。 「うん、甘いよな。」 「でもここで連絡を断てたのはいいと思わねえ?」 ボクを無視して見えない誰かと話し続ける進藤。 こんなの、いやだ。 こっちを向いてくれ。 ほら、ボクなら中央のここを挟んでおく・・・。 「う〜ん、下辺を放っておくのはまずいか・・・。」 進藤。 キミの目の前に、ボクは居ないのか。 ボクの言葉は、キミに届かないのか。 こんなの、毀れた弓のようじゃないか。 射っても、言っても、届かない。 哀しい、じゃないか。 と、突然進藤ががしゃり、と盤面を壊した。 「・・・な〜んてな。」 「・・・どうしたんだ、進藤。」 ボクで良かったら聞くから、何があったか教えてくれないか。 「いねえもんに言っても仕方ねえよな。」 誰が、いないと言うんだ。 キミは一体、誰としゃべっていたつもりなんだ。 進藤は一人で石を片付け始める。 「・・・なあ。帰ってきてくれよ・・・。」 キミを泣かせる奴。 「なあ。また前みたいに、毎日打とうよ。」 ・・・キミと、毎日のように打っていた奴。 「何故消えた・・・・・・・。」 「塔矢。」 ・・・ああ、ボクだったのか・・・・・。 幽霊は。 −了− ※夢だからやりたい放題。私が。 サイト開設前の遺物。 |
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